表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/90

敵兵の捕虜

その後も、

地雷と落下物のコンボは

何度も繰り返され

敵兵は既に相当数を失っていた。


それ以上に敵兵の

士気は下がりまくっており、

逃亡し出す者もちらほら。


それもその筈で、

目の前に明確な

敵がいるならいざ知らず、

敵らしき敵は全く見当たらず、

ただただ不思議な現象が

起こり続けているだけなのだ。


敵前逃亡は重罪、死刑

などとよく言われるが、

兵からすれば

敵が前にいるのかすら

わからないのだから、

敵前逃亡ではないだろうと

言いたくもなる。


これを罰するとするならば、

規律を乱したということに

なるのだろうが、

そもそも規律正しい魔族などが

いるのかどうかもよくわからない。



こうして魔王軍は

戦ったのかどうかも

よくわからいまま敗走し、

引き返して行くことになる。


勇者は敵軍を

撃退することが出来たにも関わらず、

浮かぬ顔をしている。


『毎回、

魔王軍が侵攻して来る度に

これを繰り返すというのは

さすがに面倒だな』


-


魔王軍の兵、

傷つき動けない者は

その場に置き去りにされていた。


『こういうところは

魔族っぽいんだよな』


勇者はその者達を

どうずべきか考えている。


このまま

ここに放っておいたら

まず死ぬだろう、

それも一つの選択肢ではある。



捕虜として利用する、

それも悪くはないのだが、

むしろ問題なのは

居住区エリアの人間の方だ。


あんな年寄りと

子供しかいないような所に

捕虜を連れて行ったところで

手に余るのは目に見えている。


連れて行ったはいいが、

あそこで暴れられて、

余計な死傷者が出るところまで

手に取るようにわかってしまう。


人質を取られ

何か要求を突きつけられる、

それも充分ありうるだろう。


そう考えるとあそこには

最初から連れて行かないに限る。


と考えを巡らせていると

勇者はあることを思い付く。


-


動けない敵兵が

まだ体に武器を隠し持っていないか、

勇者は一人一人を身体検査する。


武器を持っていた場合は、それを奪い、

とりあえずは反撃されない、

危険がない状態を確保した。


その後、少年少女魔道士団を呼び出し、

敵拠点に帰れるギリギリぐらいまで、

敵兵をヒーリングで

回復させるように指示を出す。


もちろんヒーリングで

余計にダメージを

くらってしまう敵兵もいたが、

そこは相性が悪かったと思って

諦めてもらうしかないだろう。


その後、勇者は捕虜の身柄を解放し、

魔王の領内に戻るように言って、

彼等を帰した。


当然それは勇者の優しさなどではなく、

策略の一つなのだが、

それが判明するのは少し先のこととなる。



こうして人間の居住区エリアを防衛する

第一回勇者の迎撃作戦は幕を閉じたが、

この先何度もこれをやる羽目になるのか、

そう考えただけで勇者は頭が痛い。


『こりゃ、万里の長城でも

転移強奪して来るしかないかな』


この勇者が言うと、

割と本気でやりそうなところが怖くもある。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ