風になる。。。!
。。。本文。。。
「なんで、バイクの免許取っちゃいけないの?」
爽風は、母である教子に話しかけた。。。
「危ないでしょ! 女の子なんだから何か事故でもあれば大怪我してしまうじゃないの!」
母の教子は、一人娘の爽風が大怪我をするかもしれないと心配していました。。。
「だって! お父さんだってバイクに乗ってるじゃない!」
「お父さんは、バイクに乗っているけど大怪我しないじゃない!」
爽風は、お母さんにお父さんもバイクに乗っているから自分も乗りたいと言いだしたのです。。。
「それはそれ! お父さんだって昔は事故にもあって怪我したのよ!」
教子は、やはり爽風が怪我をするのが心配でバイクの免許を取って欲しくなかった。。。
爽風は、高校を卒業し父の進める地元の企業に就職することになっていた。。。
「お父さんからお母さんに説得してよ!」
「お父さんだってバイクに乗ってるんだから、バイクの良いところいっぱい言えるでしょ!」
爽風は、子供のころから父親、大斗の赤いバイクの後ろに乗り大斗の背中で風を感じるのが好きだった。。。
お父さんに言いより、お母さんを説得しようと試みるが一向に 教子は意思を曲げようとしなかった。。。
高校の卒業式の後、爽風は、家を飛び出した。。。
「この際だから、家出して東京にでも行きバイクの免許を取ってバイクに乗るぞ!」
勢いよく家出した爽風は、念願のバイクの免許を取りバイクに乗り東京で暮らていた。。。
あれから何年経ったのだろうか?
母の教子が亡くなったと風の知らせを友達から聞かされた。。。
「家を飛び出して、かれこれ7年が経つのか?」
「お母さんが死んだなんて!」
「久しぶりに家に帰りお線香でもあげなきゃ!」
爽風は、母の訃報の知らせがあり急遽、実家に帰ることにした。。。
「お父さん、元気!」
実家に帰り爽風は、父親の大斗に声をかけた。。。
「ああっ! 爽風こそ元気だったか?」
「少し縁側で話をしないか?」
大斗は、寂しそうに切り出した。。。
「母さんはな!」
「昔バイクが大好きで乗っていたんだが、大事故で死にそうになりバイクを乗らなくなったんだ!」
大斗は、上を見上げながら笑顔で話しだした。。。
「母さんは、バイクに乗るといつも風になれるって言っていたんだよ!」
「それで、生まれたお前に大好きなバイクに乗ると風を感じ爽快になれるからと『爽風』と名付けたんだよ!」
爽風が、突然の父の話に驚き涙がこぼれだす。。。
「そんなっ!」
「お母さんが、そんな理由で私の名前をつけてなんて!」
「なのに、なんでバイクに乗るななんて言ったんだろう?」
大斗が言いだした。。。
「久しぶりに父さんのバイクの後ろに乗らないか?」
爽風は、無言で顔を縦に振り涙を拭いヘルメットを手にしていた。。。
「久しぶりのお父さんの背中!」
「懐かしい! この風! この背中!」
爽風と大斗は、風を感じ言葉はいらなかった。。。
爽風は、風を感じお母さんの笑顔を思い出し涙が風に舞うのを感じていた。。。
おしまい。。。