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真眼と翡翠  作者: 島りすた
接近遭遇
5/10

兄の友人

迷いすぎて間が空いてしまいました…。次はもうちょっと早く書けるといいなぁ。

 何故か急に能力が使えなくなった。

 その事に少し混乱した香緒里だったが、わりとすぐに切り替えた。使えないものは仕方ない。

 家に帰ると養母の美夜子(みやこ)が笑顔で迎えてくれる。いつもの笑顔にほっとしていると、お使いに行ってきて欲しいと頼まれた。

 まだ玄関先なのですけど。

 どうやら兄の友人が来るそうで、材料が足りないからそのまま買いに行って欲しいのだと。どうせならもう少し早くLINEでもしてくれれば途中で買ってきたのに。

 香緒里がそう思っていると「さっき連絡があったばかりなの」と美夜子が呟く。

 よく見れば携帯と財布とエコバッグのセットを持っている。つまり、買い物に行こうとした所に香緒里が帰ってきたのだった。

 仕方がない、と思った香緒里はエコバッグを受け取ると、また玄関を出て買い物に出かけた。


 夜8時頃になって、兄の春樹(はるき)が友人を連れて帰宅した。

 お皿や箸等用意しながらその人を見て、心底驚いた。

 軽い調子で「おじゃましまっす♪」と挨拶してきた兄の友人は担当教師の谷崎。どう見ても向こうは知ってたとしか思えない笑顔である。

 驚きすぎた香緒里は、危うくお皿を落とす所だったが谷崎が華麗にキャッチしてくれた。

「やっぱ驚くよねぇ。ごめんね?何も言ってなくて」

 苦笑気味に言われ、お皿を返してもらう。

 春樹が「こんなに驚いてる香緒里は初めて見るなぁ」なんて呟いているので睨んでおく。正直、能力のせいで驚くという事がほぼなくなっていたせいなのはわかる。だが谷崎の事を何も教えてくれていなかった兄の笑顔が少々腹立たしい。

「睨むなよ。俺だって香緒里が清凌女子に行くって知らなかったんだからさ。教えておいてくれたらもうちょっとどうにかできたのに」

「どうにかって何。意味がわからない。ていうか言ってなかった?あ、最近の春樹忙しそうだから言ってないかも」

「そうだよ!聞いてないよ!」

「でも教育実習行くのは知ってたんだから、そっちから何処に行くか聞いたらよかったんじゃない?」

「え、そうくるの?俺のせい?」

 兄妹で言い争っていると料理を運んでいた美夜子が「やめなさい」と言って割って入る。

「どっちのせいでも何でも良いけどお友達に失礼よ。さあどうぞ座って?ご飯にしましょ」

 そう言って谷崎を座らせ、ニコニコしている。たぶん『お友達』がイケメンだから機嫌がいいのだ。逆にずっと黙って座っている父、利明(としあき)は仏頂面で谷崎を見つめている。と思ったら口を開いた。

「君は香緒里とも知り合いなのか」

「今日知り合ったばかりです。俺は谷崎柊といいます。清凌女子高校で教師をしていて、お嬢さんの担当教師になりました」

「それで、あの口喧嘩になったわけか」

 谷崎が妙にかしこまっているのが何だか不思議な感じがした。利明はすぐに納得して頷き、何やら笑顔になる。

「俺だって驚かせたくて黙ってた訳じゃないんだよ」

「だとしても帰ってくる前にLINEで教えるぐらいは出来たよね」

 春樹の呟きに香緒里が反論すると「うぐぅっ」とか変な声を出して黙った。

「いい加減になさい。谷崎さんもごめんなさいねぇ。ほら、ご飯が冷める前に食べましょう」

 美夜子の言葉を合図に全員が揃って「いただきます」と手を合わせた。


「あ、この煮物最高に美味しいです」

 谷崎が言うと美夜子がとても嬉しそうにお礼を返す。

「ありがとう。若い男の子にそう言われると嬉しいわぁ。春樹は煮物なんてあんまり食べてくれないし褒めてもくれないもの」

「美夜子のご飯は美味しいよ!っていつも褒めてるじゃん。確かに煮物はあんま食わないけど」

「春樹が褒めるのはお肉入ってるものばかりだし。もっと煮物もお野菜も食べるべき。美夜子さんもいつも言ってる」

「そうだな。春樹はもう少し、野菜も食べた方がいい」

「ちょ、香緒里に利明まで!」

 食事をしながらいつもの会話をしていると、ふふっと谷崎が笑う。

「仲が良いですね。もしかして、全員が名前で呼びあってるんですか?」

 谷崎が気になるのも無理はない。佐山家では当たり前のように全員が名前呼びなのだ。

「私の方針でね。子供たちが小さい頃迷子になったり、大きくなってからも災害なんかあった時に『お父さん』『お母さん』『お兄ちゃん』では呼びかけですぐには分からないだろう?世の中にお父さんもお母さんもお兄ちゃんも、沢山いるからね。名前で呼びかければすぐにわかるから。まあ、うちの父親が元々そういう方針で、私も真似したわけさ」

 利明がどこか誇らしげに語る。

「なるほど。確かにそうですね。素晴らしい」

 谷崎の笑顔での賛辞に利明も嬉しそうだ。

「では俺の事もどうか名前で呼んで下さい。…香緒里さんは本当にいい家族に出会えたんですね」

 そう言って目を伏せる谷崎。そこで何故香緒里の名前が出てくるのか分からなくて、全員の視線が谷崎に集まる。

 それに気付いた谷崎は苦笑する。

「香緒里さんとは今日知り合った、と言いましたが実は初対面ではないんです。とはいえ、今日来たのはまた別の事でお話があって来ました」

「どういう事かな」

「食べ終わってからにしましょう。…少し話が長くなると思うので」

 そう言われ、釈然としないものの食事を再開した。

 全員が気になるがとりあえずは気を取り直し、いつも通りのたわいない会話をしながらの夕食に戻る。

 いったい、なんの話だろうか。

 いつも通りを装いながらも、香緒里の心が、少しざわついていた。

どこまで書くか、どう書くかで迷いすぎてちょと迷走してるかも。

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