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真眼と翡翠  作者: 島りすた
接近遭遇
3/10

接近遭遇

ちょっとふざけましたが後悔はしていない。


呼び名を統一する為修正しました。(7/4)

 職員室で先生方に紹介される。

 少し緊張気味に挨拶をすると見知った先生方に少しの間だけれどおかえり、なんて言われた香緒里は嬉しくなった。

 全員が知っている先生ばかり、とはいかないのは仕方がない。

 ただ、新しく赴任している教師に、若い男性がいるのが少し不思議だった。

 ここは清凌(せいりょう)女子高等学園。

 女子高にはあまり若い男性教師がいるイメージがない。

 偏見かな、と思いながらその教師に目を向ける。

 切れ長の目に高い鼻筋、薄い唇。綺麗にパーツが整っていて、かなりの美形だ。少し長めの前髪がサイド付近で少し跳ねて寝癖なのかわざとか。身長も高く、足が長い。モデルかと言いたくなるようなスタイル。なんで教師をしているのかと不思議に思うようなイケメンである。

 そんな彼はこちらに興味がないのか半分寝ているような表情。

 欠伸した。

 朝に弱い人なのか、夜更かしをしたのか。

 どちらにせよあまりに堂々と欠伸をするので凝視してしまった。

「あの欠伸した彼が、佐山さんの担当教師よ」

 学園長が苦笑して言う。

 香緒里の記憶に残る学園長は白髪の混じった髪をひっつめ、真っ直ぐに伸びた背筋がいかにも教育者らしい人で、いつも優しげに微笑んでいた。

 そんな彼女の少し困ったような苦笑いを初めて見た香緒里が、その男性教師と上手くやっていけるのかと不安になったのは仕方がない。

 問題児、いや、問題教師の予感しかしない。

 学園長に促され、その教師に近づく。

「谷崎先生、彼女の担当教師は貴方です。しっかり、お願いしますね」

 学園長が声をかけ、やっと彼がこちらを見た。


 目が合った。

 何故だか彼の右目が揺らいで見えたうえ、違和感を感じた。


 急速に熱を持ち始める目。

 まずい、と思った瞬間、脳裏に『知識』が浮かび始める。


 ――光の地りゅ…――


 少しひんやりとした大きな手が両目を覆うと同時に熱が冷めていき、『知識』が中途半端に途切れる。

 こんな風に途中で途切れ、どんな『知識』かわからないのは初めてだった。

 母から切りつけられた後から時々起こる両目の熱さ。

『何故』

『知りたい』

 そんな気持ちが強くなった時に起こり、その解答が元々持っていたかのような『知識』として脳裏に浮かぶ。時には映像付きだ。

 現在の家族が言うにはそういう時の香緒里の瞳は淡い光を放っているらしい。

 今はそこまで『知りたい』とは思っていなかったのに発動した。

 暴走だったと思う。

 思い出すのは母の最期。

 母はあの時、同じ能力が暴走し、1%にも満たない未来の可能性を『視て』いた。その未来に至ってしまったのだろうかと恐怖が心を冷えさせるが、暴走が止まった。

 大きな手はまだ目を覆ったままだ。

「谷崎先生?何を…」

 学園長の戸惑った声がする。

 あー…と何かを迷いながら漏れ出た少し低めの良い声が近くから聞こえた。

「この娘、視線が強すぎるなぁ~なんて思ったら…つい?」

 何処かおちゃらけたように言って、覆っていた手が離される。

 ごめんね?と言って顔を覗き込んできたのはあの男性教師だ。

 香緒里の頬が少し熱くなる。

 いえ、大丈夫です、とかもごもごと言ったら目の前のイケメンは安心したようにふにゃっと笑った。


 近い。

 この近さでその顔ずるい。


「俺は谷崎柊(たにざきしゅう)。君の担当教師なんだって。よろしくね?」

 さっきまですこぶる眠そうだった顔どこいった。と思いながら心臓がドキドキと高鳴るをのをどこか他人事のように感じる。

「あ、あの、佐山香緒里(さやまかおり)です。2週間、よろしくお願いします」

 慌ててぺこりとお辞儀をして言うと何故か頭を撫でられた。

「かぁーわいいねぇ。よしよし。今日は近くで見学だけしてれば良いからさぁ。そんなに緊張しなくて良いからね!」

 そう言って頭を撫で続ける谷崎。そろそろやめてほしい。

「俺の事は是非!柊ちゃんと呼んでくれ!」

 強めに言ってくるがそんなフランクにいきなり呼べない。

「無理です、谷崎先生」

「えー?かたいかたい、せめて名前にしてよー」

「学園長先生は『谷崎先生』と呼んでいましたよ?谷崎先生」

「学園長は…もう、諦めたし…でもでも他の先生には柊先生とか柊ちゃん先生とかで呼んでもらってるから!生徒達もみんなそうだから!むしろ一部には普通に柊ちゃんって呼ばれてるから!」

 眠そうだったのが急にハイテンションで名前を呼ばせようとしてくる谷崎。

 まだ頭を撫で続けている。

「だからといって私がそう呼ぶ理由はありませんよね。っていうかそろそろ頭を撫でるのやめていただけませんか、谷崎先生」

 頑なに『谷崎先生』と呼び続け、いい加減撫でるのを止めるために冷ややかな視線を送る。

 高鳴っていた鼓動は通常へ戻っていた。

 視線を受けた谷崎は衝撃を受けたように数秒静止する。

 やっと手を離したと思うと、ふるふると震えながら自分の胸を押さえだした。

「その冷ややかな目!!!ウチの弟みたい!!!何それもうホントかわいいヤバイ!!!」

 この男のほうが遥かにヤバイ。たぶん彼の言っている『ヤバイ』とは別の意味で。

 変態だ。ただの変態だ。しかもブラコンだ。

 香緒里は目の前で悶えている変態を心底嫌そうに見てドン引きしている。そんな香緒里を見てさらに「ちょうもえる!!!」とか言ってさらに悶える谷崎(へんたい)

 数分前の自分を思い出しながら香緒里は思う。

 私のトキメキ返せ、と。

変態は書くの楽しいです。

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