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ウサギとカメ

作者: 問道 火偉


誰もが一度は読んだ事のある童話、ウサギとカメ。

けれど、これは誰も見た事も聞いた事もない童話。

こんな話だったらいいのになと思って書いてみました。

そんなウサギとカメをどうぞ……


これは、遠い遠い国のお話


あるところにお山がありました


ふつうの生き物は「つよい」が「えらい」なのに


その山の生き物たちは「はやい」が「えらい」でした



だから、その山で一番「えらい」のは、力持ちのクマさんでもなく、


おりこうなキツネさんでもなく、足のはやいウサギさんでした


そして、足のおそいカメさんは一番「えらい」じゃないでした



「えらい」じゃないカメさんはいつもみんなにバカにされてました


「やあ、カメさん。君はいつもノロノロして大変そうだね」


「やあ、カメさん。一休みかい?ああ、違ったそれでもうごいていたんだね」


みんなにバカにされたカメさんはとってもくやしくなりました。



そんなある日、カメさんはみんなをみかえしたくなって


ウサギさんとかけっこをしようと思いました


ウサギさんはこの山で一番「はやい」で一番「えらい」です


誰もウサギさんにかけっこで挑もうなんて思わないほどです



だから、そんなウサギさんにかけっこで勝てば


きっとみんなにバカにされなくなると思ったのです


「やい、うさぎさん。僕と山のてっぺんまでかけっこでしょうぶしろ」


「カメさん……きみじゃ僕にかてないよ?」


「そんなのやってみなけりゃ分からないだろ!」


カメさんはウサギさんの言葉に耳をかさずかけっこは始まってしまいました



ウサギさんが山のてっぺんまであと少しという所まできても


カメさんはまだまだ下の方にいました


(このままじゃ僕が勝ってしまう……


そうなればカメさんはまたみんなにバカにされちゃうだろう……


それはかわいそうだな……よし、こうしよう!!)


ウサギさんはカメさんが可哀想に思い、わざと負けようと


近くの木にもたれかかると居眠りをはじめました



どれぐらいの時間がたったでしょう


(もう、そろそろいいかな……?)


ウサギさんがそう思って目を覚ますと、


「やあ、ウサギさんお目覚めかい?」


目の前にカメさんがいました


「それじゃあ、勝負をさいかいしよう」



「カメさん!どうして僕が眠っている間にゴールしなかったんだい?」


そうたずねたウサギさんにカメさんは言いました


「そんなズルをして君に勝っても意味がない!僕は正々堂々勝ちたいんだ!」


ウサギさんはカメさんにズルをさせようとした事を恥ずかしく思いました



かけっこがさいかいするとウサギさんはおもいきり走りました


そして一気に山のてっぺんまで行き、かけっこはウサギさんの勝ちになりました


「やっぱりウサギさんは足がはやいな〜オラよりのろまなカメさんに負けるわけないよ」


そう言ったのはクマさんでした


「すばやい私でもかなわないのにのろまなカメさんがかなうはずないよ。


そんな事もわからないなんてカメさんはバカだな」


と、キツネさんが言いました


カメさんはくやしくてくやしくてなきだしそうになりました



すると、ウサギさんがこう言ったのです


「この山で一番「えらい」はこの僕だ」


その言葉にみんながうなずきました


「でも、二番目に「えらい」はカメさんだ」


けれど、この言葉にはみんなビックリしました



「ええ!?」「どうして!?」


「オラ、カメさんよりずっと「はやい」よ!?」「私もです!」


不満そうなクマさんとキツネさんにウサギさんは言いました


「君たちは僕に敵わないからとはじめからあきらめていた。


けどカメさんは正々堂々、僕と勝負した。


スタートラインに立つことすら出来なかった君達より


ずっと「えらい」だろう?」


クマさんもキツネさんも何も言い返せませんでした。



そして、ウサギさんはこうも言いました。


「一番「えらい」僕の命令で今日から一番「えらい」はカメさんにすること!」


「ええっ!?」


これにはみんなみんなとてもビックリしました



そして他の誰よりもカメさんが一番不思議に思いました


「ウサギさん……どうしてそんな事を?」


「カメさん……僕はかけっこのとちゅうでわざと負けようとズルをした……


けれど君はズルをせずに正々堂々と最後まで走りぬいた。


それは「はやい」よりずっと「えらい」ことだと思うんだ。


だから、一番「えらい」はきみだよ」



カメさんはどうしていいか分かりませんでした


「そんな……」


けれど


「そうだよ。カメさんが一番「えらい」だよ」


「あたしもそう思うわ。カメさんが一番「えらい」よ」


リスさんも小鳥さんもうんうんとうなずいてくれました



ポカンとしているカメさんにウサギさんはいってあげました


「カメさん。みんなもこういってくれてるんだ。


この山で一番「えらい」は君だ。


クマさんやキツネさんにどんな事を命令してもいいんだよ?」


「ええ!?」「そんな!?」


これにはクマさんもキツネサンもビックリです



そして今までずっとカメさんにひどい事を言ってきたので


どんな仕返しをされるんだろう、とブルブルふるえました


だから、カメさんは言いました


今までずっと言いたかった事を



それから、カメさんの命令でその山は少し変わりました


もう、一番「えらい」は「はやい」ではありません


でも、カメさんでもありません


一番「えらい」は「みんな」


みんなが一番えらい


だから、だれかがだれかをバカにするような事はなく


みんな仲良く楽しく


幸せに暮らすようになったのです


――おしまい――



いかがだったでしょう?

アレンジを加えすぎてほとんどオリジナルに近いものになってしまったウサギとカメ。

本当はもっと原作に近い物にしかったんだけど……

感想・コメントお待ちしております


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― 新着の感想 ―
[一言] 良いお話じゃん! 原作よりオリジナリティがあった方がいいねぇ 作者さんの気持ちがわかるし おもしろかったでーす^^
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