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天還

終わりがはじまり


side ???


「バルト、リード、シン

そろそろ街に着きますね」

「あぁ、ジル」

「ん・・・」

「そうだね、兄さん」


「私たちの守護すべき人が昨夜

現れたようです」

「うん、感じたよ」

「証が疼いた」

「うん、これ」

シンが肩の服をずらして肩を見せる。

そこには、守護者の証

白い石が埋まっている。


バルト、燃えるような肩までの紅い髪に

黄金の瞳

背中には自分の背丈以上の剣

リード、漆黒の短髪に灰色の瞳

腰には二本の刀をぶらさげている

シン、金色の髪に碧い瞳

背中には弓を背負っている

ジル、腰までの銀髪に碧い瞳

その手には杖をもっている。

皆、整った容貌をしている、青年達だ。


「守らねばなりません。この身に変えても」

「わかっている。

守るために今まで鍛えてきた心も身体も」

「ん・・・」

「アルテミス様が死す前に残した言葉。」


(いずれ現れる最上色を持つ聖灯者。

その者はこの世界を救ってくれる。

けれど、この世界でその者はひとり。

守って支えてやる者が必要です。

私にも居た守護者たち。

聖灯者と同じ証を持つもの。

お願いです。彼女を守って支えてあげて。

力をつけて、この世界を平和へ)


「うん、ひとりだって」

「大丈夫です。守りましょう。」

「あぁ」

「ガルからの知らせで街にいるようですよ」

「ガルか・・・」

「久しくあってないな」

「そうですね。アルテミス様が死す前に

一度だけ会わせてくれましたね。

私たちが守る聖灯者が現れるまで眠っていたのです。」

「アルテミス様が亡くなって20年・・・

魔核の結界がどんどん弱ってる。

魔の者も力を増してるよ」

「ええ、

聖灯者もたくさんいるわけではないので

返せない死者も増えています。」

「・・・」

「うん」


「ついたぞ・・・」

「ここに20年待った僕らの光がいるんだね」

「あぁ」

「・・・ん、感じる」

「行こう」







ガルが街の人々に聖灯者が

死者を天に返すと言った。

フードを深く被ったまま墓地にむかう。


100くらいの墓石がある。

真っ白な野花が咲き乱れて

墓地なのに暗い雰囲気がなくホッとする。


たくさんの街の人々が自分の身内の

墓石の前に座り込む。

街に入ってすぐみた女性も来ている。

ご主人は布に包まれ置かれている。


墓石の真ん中に祈りを捧げる場所がある。

『ガル?ここで謳うの?』

「そうだ」

『手を繋いで?』

「あぁ」

ガルの手を左手で握って

その場で座り込む。

息を吸い込んでゆっくり謳う。


すると、


100ある墓石から光が溢れ始め

みな人の形になっていく。


「あっあなたなの?」

「メリル、すまない、

君を置いて先に逝くなんて」

「ダンっ!!」

「最後に君にお別れをいいたかったんだ」

「ダンっダンっ」

「子供たちを頼む。愛してる」

「わかってるわ!私も愛してる。

守ってくれてありがとう…」


そんな光景があちこちで起こっている。


「ジル!どうなってる!?」

「兄さんっ死者の姿が現れるなんてっ」

「っ!」

「アルテミス様でもこんな事にはならなかった」

「あそこに聖灯者がいる。行こう」


『はぁ、』

「よくやった」

『ガルっ悲しいよ!胸が苦しい!』

「だが、お前のおかげでみな

最後の別れができた。」

涙が止まらない。

これで良かったんだろうか。

みんなの傷を余計広げたんじゃないだろうか。

忘れていたかったものを思い出したんじゃないだろうか。

胸が苦しくてたまらないっ!

私は走って墓地から離れる。


「ガル!!」

「来たか。」

「聖灯者はどこにっ!?」

「はじめての天還だ。心が乱れた。

少し独りにしてやる。」

「だけど!!」

「お前たちはまだ聖灯者に会わないでくれ。

次の天還をした時に会わせる。」

「なぜです?」

「まだだめだ。もう一度だけ独りで天還させる。」

「理由は?」

「はぁ、お前たちに会うと魔核を壊しに行くことが

アキナの中で決定する。少し時間が必要だ。」

「・・・」

「わかった」

「バルド!なんで!」

「シン、落ち着きなさい」

「アルテミスが話した。自分の守護者が死んだ事も

自分が死んだことも。

アキナは死を知らない。恐れるのは当然のこと。」

「・・・」

「次の天還はいつですか?」

「3日後だ」

「この街にあるもう一つの墓地ですね」

「あぁ」

「しかし、さっきのはどういうことだ?」

「死者が現れるなんてっ」

「あれが聖灯者アキナの力

アルテミスでも声を届けるのが限界だった。

だが、アキナの力は」

「死者の望む別れ方を」

「そうだ。最後に最愛のものを抱きしめたい。

それを実現させる。」

「・・・そんなことが」

「見ただろう」

「うん」

「とにかく3日後に会わせる。」

「わかった。3日後にもう一つの墓地で」

「あぁ」



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