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聖灯者

ガルガル~


ガルが人成らざる者を倒した。


『あっ』

大きな真っ白な獣。

だけど怖くなかった。


「謳うんだ」

『謳う?』

「あぁ、なんでもいい。謳を」


とてもじゃないが混乱していて

歌を歌える気分じゃなかった。

すぐそこに倒れている者も怖い。


「早く謳を」

『わ、わかった』


『~♪~♪』


泉に歌声が響く


すると、人成らざる者が光り出し

アルテミスと同じように天に消えてしまった。


『どういうこと?』

「お前を待っていた。我はガル。

お前を護るためだけに生まれた存在」

『え?』

「とにかく、ここは危ない。

場所をうつす。乗れっ」

真っ白な獣、ガルは私の前で

伏せの格好になる。

『乗るの?』

「ギィヤァァァァァ」

遠くからまた声が聞こえる。

「急げ」

『わっわかった!』

ガルに跨がる。

「行くぞ」

『わわっ』

ギュッとガルの毛を掴む。


それから走って走って

着いたのが今いる街だった。


朝日の中、着いてすぐ、人の死を目にした。

異形の者に切り裂かれ絶命した人を。


その場を離れ吐いた。胃の中のものが

すべて上がってきた。


「あぁ!!そんな!あなた!」

女性の叫び声が聞こえ、死人に

しがみついて泣いている。


みんな俯いて悲痛の顔をしている。


『ガル、どうなってるの?

あの人は本当に死んでるの?』

「・・・あぁ。魔の者にやられた」

『魔の者ってあのガルが倒した?』

「そうだ。」

『そんな・・・私もガルがいなかったら・・・』

「・・・」

『ガル、私・・・』

「アルテミスが話しただろう」

『ガル、アルテミスを知ってるの?

どうやったらもう一度会えるの!?』

「アルテミスが我を解き放った。お前を

護るために。アルテミスはもう、天に還った。

二度と会えない。」

『っ!私は帰れないの?

自分の世界に』

「・・・帰れない」

『でも!来たんだから帰る方法も!』

「ない。アルテミスは今回、神の悪戯で

お前を見つけた。幾多もある世界から。

お前に強い聖灯があっても幾多ある世界から

自分の世界を見つけるのは困難だ。

見つける前にその身が尽きる」

『そんなのってないっ!』

「・・・」

涙がボロボロ出て地面に染み込んでいく。


「・・・お前を守る守護者達を呼ぶ」

『ヒック、守護者?』

「そうだ、我はお前を守るために生まれたが

我だけではない。魔核を壊しに行くには

仲間が必要。我だけでは魔核近くでは守りきれない。」

『だけど!アルテミスも死んだって!

私にも魔核を壊す力なんてない!』

「・・・とにかく落ち着け。しばらく

この街に滞在する。」

『・・・』

「我は少し行ってくる。」


すると、ガルが獣姿から人間の姿に変わる。

『えっ』

真っ白な短髪に褐色の肌

真っ赤なルビーような瞳

『ガル・・・なの?』

「そうだ。我の本来の姿は目立つ。

しばらくここで待っていろ。

その格好では怪しまれる。お前の額の

聖灯者の証もなるべく見られたくない。」

『額?証?』

おでこに触れてみると

『なにこれっ』

「聖灯を宿している証だ。」

おでこにツルツルした何かがついてる。

「とにかく、ここを動くな。すぐ戻る。」


ガルが行ってしまって

近くの木の根元に座る。

『どうしたらいいの・・・』


元の世界の私はどうなるんだろう。

失踪?行方不明とかになるのかな。

存在そのものがなくなってたり?


『うぅ~』

しばらくうずくまって涙を流した。


「おい」

『んっガル?』

「まだ泣いていたのか」

『うぅん大丈夫。』

「これを」

ガルが差し出してきたのは

真っ黒なフード付のコート

「お前の聖灯者の証をなるべく

見られたくない。」

『どうして?』

「人は欲深い、聖灯者が傍にいれば

自分は守られる。」

『狙われるってこと?でも私、魔の者を

やつけたりできないよ』

「謳だ。お前の謳でしばらく魔の者は弱くなる。

倒すのも楽になる。」

『謳・・・』

「着たか?謳を謳えるか?」

『ここで』

「いや、墓地でだ」

『え?』

「さっきの魔の者にやられた人間を

送ってやってくれ。ここには聖灯者が今いないようだ。」

『出来るのかな?』

「お前の額にある聖灯者の証は白だ。」

『白?色があるの?』

「そうだ、色によって聖灯者の強さが決まる」

『白ってどうなの?』

「白は最上色だ。

この世界でこの色を持ってるのは一人だけ。」

『わたし?』

「そうだ。以前はアルテミスが最上色を持っていた。

だが・・・」

『亡くなった』

「そうだ。アルテミスは魔核を封印したが

死んでしまった。アルテミスは強い聖灯を宿していたが

そのアルテミスが自分よりお前が強いと言った。」

『だけど・・・』

「最上色以外の色を持つ聖灯者は

赤は10人、青は8人、緑は6人

まとめて死者を天に返せる。しかし白は未知数。」

『未知数?』

「アルテミスは30人まとめて天に送った。」

『30人!?天に送られなかった人はどうなるの・・?』

「どこかで魔の者になる。」

『そんな・・・』

「だから、送ってやってくれ。」

『・・・うん。私に出来るなら・・・』


『ガル・・・』

「なんだ?」

『私が謳う間、手を握っててくれる?』

「・・・お前が望ならば」

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