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エルフさんは怒っているそうです

作者: 時計追人

 私はエルフである。

 名前は……いや、今はそれはいい。

 私は非常に怒っている。

 何に対してか……だと?

 それは勿論世間一般の認識に対してに決まっているであろう!

 確かに私達は綺麗な種族だ。

 だがな……耳が尖ってるだとか、瞳の色が変だとかで種族的に差別される事が多すぎると思うのである!

 あまつさえ、奴隷といえばエルフだよねー、等とそんな扱いを受ける始末!

 これが激昂せずにいられるか!

 エルフはひ弱で森の中に潜んでるのは迫害されているからだとかそんな推測は大きなお世話だ! 単純に森が好きだからだ! バカモノ!

 それとな! まだ私は怒っているぞ!

 確かに私達は綺麗だ。美しい。それ故にエルフ。キミ達に劣情を催させてしまう容姿のエルフも多い。

 だがな! エルフだったら簡単にヤラせてくれそう、とか思っている諸君。それは多いに誤解を含んでいるといわざるを得ない!

 それは幻想だ! 私達だって好みがある! 誰彼構わず股を開くと思うな!

 私達は性格的に強く断れないがな! 内心はイヤイヤだったりしてるからな!

 それとな! まだある。

 まだこれはいい方だ。私達は綺麗だからな。人間を魅了して狂わせてしまった事もあるだろう。

 だがな! だからといって別の種族を利用して、その歪んだパトスを解消させるのはやめろ!

 なんなんだ、このエルフとオークはセットでえ、えっちというか、その、なんだ、如何わしいどーじんしなんかで無理やり絡められなければならないんだ!

 それもこれも……ぴゅあぴゅあソフトが2007年にリリースした『それでもエルフ!』というエロゲーが発端になったといっても過言ではないと私は考えている。

 なんだ! プレイヤーはオークを操作して、のどかなエルフの村を蹂躙するゲームって! ふざけるな! 立派なエルフ差別だ! どこがピュアなんだぴゅあぴゅあソフト!

 それにコンボシステムってのも訳が分からないからな! あの要素はいらない! 無駄に熱くなってしまったじゃないか! それと完全クリア後に出てくる隠しEDでオーク同士を絡ませるんじゃない! もっとご褒美感溢れる1枚絵を用意しとかんか! 

 他にもある! 私は同士のエルフに対しても怒っているのである!

 らぶりーめいかーが2011年にだした『駄目な男は何処にいってもモテまくる!?』のヒロインの一人として出てきたエルフのココ先輩! エルフの認識がここまで著しく低下しているのはアナタのせいだと私は考えているのである!

 なんなのだあの、働かない、動かない、何もしない、のくせに態度だけはでかいあの主人公! いや、それはまだいいんだ。だがな! ココ先輩はその主人公に甲斐甲斐しく奉仕をしすぎだ! 駄目な男は放っておけばいいだろう! その優しさが男を更に駄目に、そして世間一般のエルフの認識をゆがめているんだ!

 騙されてどんどん、男の人に奉仕するち、ちょ、調教? をだな、されていくなんて情けなさ過ぎるぞ! 

 た、確かに可愛いと言われれば嬉しくなってしまうのは認めるが……それでも流されすぎだといわざるを得ないぞ! ココ先輩! もっとしっかりしてくれ!


 ぜぇ……ぜぇ……。


 ちょっと水を飲ませてくれ……。あぁ、ありがとう。

 ――、――。

 ……ふぅ。

 ……なんだ、キミは気が利くな。え、そのお菓子も食べていいの?

 じゃあ……ひとつだけいただこう。あ、そこのイチゴ味ので。

 ……。

 は!

 こ、こんなもので私の怒りを押さえ込めると思ってるのは大間違いだぞ! 

 そーゆー態度がもう……。

 え? かっこいいエルフもいるって?

 …………ふむ、お前もその先輩を知っているというのは評価してやろう。

 確かにその先輩はエルフ界隈でも英雄として認められている。エルフという存在が世間に広く認知されているのはその先輩のお陰だろう。

 剣と弓を駆使して魔王を倒すあの先輩の勇姿はこれからも多くの人間を魅了してやまないだろう。

 だがな、あの先輩を知っているか? 1998年、クリエイトムーンから発売された『月に駆ける狼と狩人』シリーズの第2作。

 エルフのクークル先輩が仲間に加わるんだが……これが泣けるんだ。

 彼は仲間の為に自らを犠牲にして仲間を守るんだよ。

 これなんだよ。エルフというのは弱弱しい種族だと思われがちだが、やる時はやる種族なんだ。

 何? そのゲームをやった事がないだと?

 キミ……エルフ抜きでも月駆けシリーズはやっておけ。画面のドット数と面白さは比例しないという事を顕著に表してくれている古きよき名作だぞ。

 ほら、そこの棚にしまってある。貸してやるから持って行け。

 って、あー! 馬鹿馬鹿! 余計な棚を見るな!

 っ、――っっっ!!! だ、駄目だ! その棚だけは駄――っ!

 ……っっ、……っっっ。

 …………。

 悪いか?

 悪いのか!?

 エルフの私が人間の男同士の絡みのゲームを持っているのがそんなに悪い事なのか!?

 まぁ。

 なんだ。

 その……。

 だから……、その…………、皆にはナイショにしといてくれないか……。

 ……は、はぁ!? ナイショにしてほしければキスしろ、だとぉ?

 うぅ、それは……。

 …………ま、まぁキスくらいなら……してやらんでもない。

 えぇ? そ、それ以上!??

 それはつ、つまり……、あ、あのえっちなゲームみたいなことを……す、するって事、だよ……な。

 …………、いやいや! そ、そんなの駄目だ! 私が簡単に流されると思うなよ! そんな事だから私は怒って――、

 えぇ~? 先っぽだけでいいからぁ? そんなの嘘に決まって……うぅ、そんな土下座をするな。みっともない。

 かわいいエルフ様お願いします……? かわいいって……へぁ!? そ、それは私の事か!?

 う、うぅ~……キミはずるいなぁ。

 うーん、むー……ん。

 …………………………わ、わかった。

 そ、その代わり先っぽだけ! それよりはぜ、絶対駄目! 痛いのとか絶対嫌だからな!

 ば、ばか……いきなり顔を近づけ……――、


 ん。



 …………。

 ………………。

 ……………………!




 !!! !!!!

 や、約束と……、っ、ち、ちが……、!!

 ――! ――っ、……。




◇◆◇




 諸君!


 私は本当に怒っている!

オーバーラップ文庫に投稿した結果


1次落ちでした (´・ω・`)

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