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06 メリウス

 ここで少しばかり【メリウス】と言う世界の事を説明致しましょう。


 あ、どうも数話ぶりでございます《デイズ》です。


 いや〜、中々の波瀾万丈(はらんばんじょう)ぶりにワタクシも手に汗(にぎ)って語っていましたよ。

 ワタクシの語り口調(くちょう)はいかがでしたでしょうか?

え? (しゃべ)り過ぎ? もっとキャラを立たせろ?


 ハハハ、これは手厳(てきび)しい!

 

 まぁ、話が進むにつれてワタクシも慣れますので生暖かい目で見て頂ければ幸いです。


 おっと、話が()れてしまいましたね。

 それでは少し、ミヤビさんが転生された【メリウス】と言う世界の事をご説明致しましょうか。


 読者の皆様がお住まいの【地球】に似た星なのですが、そことは違い少々、いやかなり? 文明が遅れている世界です、まぁ異世界ファンタジーにありがちな中世ヨーロッパとかのイメージです。


 もはや今となっては王道な、剣と魔法の異世界ですね。


 【メリウス】には様々な種族が住んでいるのですが、代表的な種族として《人》《魔》《エルフ》《ドワーフ》《獣》《龍》の6種族が、桜の花びらの様に広がった6つの大陸をそれぞれ(おさ)めています。

 その他にも小島や空に海なんかもありますが、《大陸》という括りで言いますと6つになります。

 それぞれの大陸と代表的な種族が、


《人》が治める《セントラル》


そのセントラルを中心にしてすぐ上に


《魔》が治める《ノスコンティ》


そのノスコンティから時計回りの形で


《エルフ》が治める《イノイス》


《ドワーフ》が治める《サルスト》


《獣》が治める《ウェイダ》


《龍》が治める《ドラウノ》


と6つの大陸をそれぞれの種族が治めています。


 他にも様々な種族がいますが、大きくまとめますとこの6大種族がそれぞれの大陸を治め、日々の生活を営んでおります。


 あ、あと大陸ではなく地図でも表せない場所に《精霊界》や《浮遊大陸》、少しお話に出てきた《天界》や《魔界》なんてのもあります。


 fantastic!(ファンタスティック) 素晴らしいですね!


 そんな世界に生まれ落ちたミヤビさんには(うらや)ましさから嫉妬(しっと)してしまいそうです。


 ……まぁワタクシの感想は置いといて。


 今でこそ友好的な6大種族ですが、少し、と言うか1000年前まではそれはもう血で血を洗うような争いが日常茶飯事(にちじょうさはんじ)だったそうです。

 まぁどこにでもありそうな全大陸の支配者に、どの種族もなりたかったんですね……。

 それがなんで今は友好的なのか?

察しの良い読者の皆様にはお分かりでしょう。


 そう! あのミヤビさんや女神田中を窮地(きゅうち)に追い詰めた《ハブリシン》ですよ!


 奴がこの世界に来た経緯(けいい)はご説明出来ませんが、奴が来た時から【メリウス】の世界は少しずつ変わり始めました……。


 ハブリシンがこの世界に降り立った後、色々な争いがありながらも拮抗(きっこう)を保っていた種族間のパワーバランスが徐々に崩れていきました。


 どういう訳かは分かりませんが、奴は【メリウス】に来た時にはすでに、この世界では並ぶ者が居ない程の強さを持っていたのです。


 各地で起こる大小様々な争いに乱入しては好き勝手に暴れていくハブリシンに、それぞれの各大陸の(おさ)達は頭を悩ませました。


 争いを起こしても必ずハブリシンが乱入し、どちらかに味方するなどせず、ただひたすらに戦場で暴れる事によってめちゃくちゃされ、争っていた同士は疲弊(ひへい)し、勝敗は付かず、勝った者が相手の領土や財産を奪うといった事が出来なくなったのです。


 それだけを見れば、ハブリシンは本人の意志ではないにしろ、やり方は褒められたモノではないにしろ、戦争を次々止めていったのですから、争いを好まない人々からは好意的に見られるかもしれませんでした。


 しかし奴が暴れるのは戦争だけではなく、各地の街や村等の人々が住む場所でも好き勝手に振る舞い、殺しや盗みといったモノから、自分のチカラを試す為だけに村1つを消し去ったり、山深くに住む眠れる古代龍を起こし(ふもと)の街に大きな損害を与えたり、【メリウス】に住む全ての人々から嫌われ、畏怖(いふ)されていったのです。


 その間にも、現地の事などはお構いなしに《天界》から転移•転生者が送られてきますが、ほぼ全ての方が何らかの形で(さず)かった能力を奪われていきました、ある者は(むご)たらしく殺され、またある者は愛するパートナーを人質に自死(じし)を突きつけられ、そのどれもが言葉ではとても表現出来ない(つら)い最期を迎えていました。


 そんな状況では全大陸の支配なんて言っていられない6大種族は、渋々(しぶしぶ)ながらも手を取り合う事にしました、(のち)の歴史で語られる《6大陸同盟》の誕生です。

 そうなってからの種族間の団結は素早く、すぐにハブリシンに対する対抗措置(たいこうそち)が取られ、全ての種族のチカラを結集した侵入防止装置を開発したのですが、奴には効果が無く、【メリウス】に住む人々には絶望感が(ただよ)っていました……。

 


 ですがそんなある日、転機が訪れます。



 どの大陸の種族も戦争を起こさなくなった事により、ハブリシンは6大陸に面白味を感じなくなり、どこで知ったのか《精霊界》に興味を持ち出しました。

 ハブリシンが色々な場所で得た情報によると、どうやら《天界》の神である《ロキ》という男が《精霊界》にいる女王に一目惚れし、度々【メリウス】に降りてきているというのです。

 自分のチカラを試したい気持ちと、精霊女王とあわよくば神のチカラを奪おうと、奴は《精霊界》に侵入して、精霊女王を人質に《ロキ》を殺そうと(くわだ)てました。



 だが、その計画はハブリシンの認識の甘さから(もろ)く崩れる事になりました

 


 好意から何度もちょっかいを出しまくっていた《ロキ》に《精霊女王》は呆れつつも、そんな日々が嫌いではなかったのですが、ロキがしたある事が原因で女王の逆鱗(げきりん)に触れてしまい、ハブリシンが《精霊界》に侵入して来る少し前に大喧嘩をして、しばらく会っていない状態でした。


 そんな事など知るよしもないハブリシンは精霊女王を人質に取る為に近づくのですが、ここで誤算(ごさん)が生じてしまいました。

 手間をかけたくなかった奴は精霊女王が寝静まった頃を見計らって、彼女の寝室に忍び込み、上からマウントを取る体制で彼女を拘束しようと乗ったタイミングで、怒らせてしまった事を謝ろうと精霊女王が好きなお菓子を持参したロキと鉢合わせたのです。


 もちろんロキに寝込みを襲う勇気など無く、ただ時間に無頓着(むとんちゃく)だっただけなのですが……、その状況を見たロキは激昂(げきこう)してしまいます。

 付き合ってるわけではなかったのですが、お互いに気の置けない大切な存在だと思っていたロキは精霊女王に浮気されたと誤解してしまいました。


 ハブリシンに上に乗られた瞬間に目を覚ました精霊女王は何が何だか分からない状態ながら、ロキの哀しそうな怒った顔と自分の上に乗る謎の男を見て、すぐさま状況を把握し、誤解だと(うった)えようとしましたが、その状況を逆手に取ろうとしたハブリシンが無理矢理に彼女の唇を奪った事で、ロキの怒りは頂点に達してしまいました。


 そこからは《神》と《精霊女王》の大いなる力がぶつかり合う大喧嘩……、ではなく人間の男女がする様な口喧嘩が始まります。


 ……まぁ口喧嘩の内容はご想像にお任せしますが、ここでもロキは怒りから普段は思ってもいないような言葉を口にし、それを受けた精霊女王もロキの言葉にヒートアップしていきました。


 その両者の口喧嘩の間でハブリシンは隙を窺って精霊女王の息の根を止めようと近づきますが、それに気づいたロキが口喧嘩を継続しながらも素早く阻止、なおも続く痴話喧嘩にそれならとロキに標的を変更したハブリシンが瞬時に近づくも、これを精霊女王が阻止するという喧嘩しながらも息の合った連携になんども(はば)まれます。


 ハブリシンは、初めてまともに相手すらされないこの状況に苛立ち、両者を一気に(ほうむ)り去ろうとその当時に所持していた最強の極大魔法を放ちますが、ここでようやく自身の誤算に気付きます。


 数多いる神達の中でも《格》というものがあります、《全ての始まりの神》と言う最初の神を筆頭にピラミッド型に《上級》•《中級》•《下級》•《見習い》といった序列が存在し、そこから細かく分類されるのですが、その中で《ロキ》は《上級》に位置する神だったのです。


 上級神なのですが、普段やっている事はもっぱらイタズラばかりで、強大な力を持っているにもかかわらず、誰かの驚く顔が好きで、イタズラを仕掛けては(しか)られるちょっと残念な神だったロキですが、ただ嫌われているわけでも無く、仕掛けられた側は、「またか」と笑ってくれるような親しみを持って叱ってくれる愛された存在でした。


 彼は誰かの驚く顔と笑った顔がとても好きで、そのおかげでイタズラ好きの精霊にも好かれ、精霊に誘われ興味本位で訪れた《精霊界》で、女王に一目惚れしてしまったのです。


 しかももう片方の《精霊女王》と言う女性も、上級神のロキが惚れるだけあって、ただ見目麗しいだけではなく《豪滅》と言う二つ名が与えられる程の戦闘狂だった過去を持つ生粋の実力者だったのです。


 そんな2人に挑んでハブリシンが無事で済むと思う読者の方はいませんよね?


 もちろんご想像の通りフルボッコです。


 【メリウス】に来てから初めての完全敗北に負け犬の様に命からがら逃げたハブリシンは、上級神ロキと精霊女王から《呪い》をかけられ《精霊界》と《天界》には2度と足を踏み入れなくなります。


 それと同時に【メリウス】の現状を知った精霊女王の計らいで、ハブリシンにかけた《呪い》を織り交ぜた結界装置を6大陸全ての長に強制的に譲渡し、初キスを奪ったクソに対する特大の嫌がらせを行いました。


 そのおかげで6大陸はハブリシンに悩まされる事は無くなったのですが、奴も色々頭を使っているようで……、この先は追い追い話していくとしましょう。


 結局、上級の神なんですが中身はほとんど子供のロキの誤解は解けたのですが……、お互い口喧嘩で思いっきり罵詈雑言(ばりぞうごん)の応酬をしたせいで現在まで仲直り出来ずじまいで……、ですがそのおかげでミヤビさん達が窮地を脱する事が出来たのだから結果オーライですね。


 テトがハブリシンを出し抜く為に放ったあの詠唱は、未だに仲直り出来ないでいる若干ヤンデレ気味の《精霊女王》にイタズラ好きの精霊を使って、彼らの憧れであるロキはここに居るぞ! と宣言し、女王のことが大好きな精霊のチカラでその場所を女王に気付かせ、普段は閉じている《精霊界》のゲートを強引に出現させる詠唱です。


 ただそれだけでは開かないそのゲートを女神田中のチカラで無理矢理こじ開け、その影響でロキを強制的に引き寄せたいヤンデレ真っ最中の《精霊女王》のチカラも合わさり、《エルブの森》の大半が《精霊界》に移動することになったのです。


 ヤンデレとはこうも恐ろしいものなのでしょうか……。


 ちなみに女神田中や女神レティは《下級》に位置し、テトにいたっては《見習い》に位置します。

 女神田中を窮地に追いやったハブリシンの強さは、時間をかけてチート能力を積み重ねた結果なのですが、この序列を見てもらえればその異常さの一端を分かってもらえるでしょう。

 人間族であるにもかかわらず、《下級》とはいえ女神田中を圧倒出来る異常さです。


 【メリウス】に来たばかりのハブリシンであれば、まだ女神田中でも余裕で勝てましたが、《天界》が彼の異常さに気付くのはそこから約500年後、つまりテトが降り立った時期の少し前だったりします。

 色々と手遅れだったんですね……。


 さて!


 少し語り過ぎた気もしますが、これからミヤビさんがどう生きて行くのか、また《転移》を選んだレンさんがどう生きて行くのか、そしてハブリシンは何故チート能力を奪い集めるのか、この先もワタクシと見守って下さると幸いです。


 では、お話はミヤビさんの飛ばされた《精霊界》から再開いたします、どうぞリラックスしてお読みください。

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