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01 選定者

 「め••なさ••」


 「(誰?)」


 誰かに呼ばれた気がした(みやび)は、少しずつ意識を覚醒させていく。


 「んぅ、…ここは?」

 

 何も無い真っ白な空間で雅は目覚め、ふと横に目をやると、もう1人、自分と同じような状況の男の子が横たわっていた。


 「誰? なんか見た事あるような…、あ! 地後(ちあと)くん!?」


 雅は横たわっていた少年をよく見ると知った顔で少し安心した。

 こんな何も無い空間で目覚めて心の中で(ふく)れ上がってくる不安に意識を向けないようにしていたが、15歳という年齢の少年にそれは無理があった。

 だが、知った顔がすぐ側で自分と同じ境遇に置かれている状況に、ほんの少し不安が(やわ)らいだのだ。


 「地後くん! 起きて!」


 そんな安心したのも束の間、雅は知り合いがなかなか起きない事に焦りを感じ、体を揺すって声をかける。


 「んぅぅ…、何? まだ眠いよう、ママあと5分…」


 「あ、ママって呼んでるんだ」


 バッ!


 「えっ! あ、アレ? 天前(あままえ)くん!? 何でココに?」


 人前では決して出していなかった母親の呼び方を聞かれた反射で地後 燐(ちあと れん)微睡(まどろ)みの中から覚醒する。


 「いや、オレもなんでココにいるか分かってないんだ」


 雅は燐の質問に答えながら、目を周りに向ける、辺りを見回しても何も無く、ただ2人の少年がいるだけなのだ、…全裸で。


 「えっ! ココどこ!? ってか何で服着てないの天前くん!?」


 「いや、地後くんも着てないよ?」


 そう言われて燐が自分を見下ろすと、スッポンポンのモロ出しだった、何がと問われれば、ナニが、である。

 慌てて隠そうとするがあいにく辺りになにも無いので仕方なく手で隠す燐。


 「えっと、下は分かるけど、上隠す意味ある?」


 何故か下と上を両方隠す燐に雅は苦笑する。


 「だって恥ずかしいじゃないか!」


 「地後くんってたまにそういうとこあるよね…」


 そういう雅は恥ずかしがる事もなく、その場から立ち上がる。


 「よっと、とりあえずどうしようかなぁ、なーんにも無さ過ぎて何すれば良いかも分かんないや」


 「そ、そうだね、目覚める前の事もよく思い出せないから、どうやってココに来たかも分からないし」


 雅の言葉に返す形で、座ったままの燐はココに来る前の記憶を探りながら話す、…何故か雅の一点を見ながら顔を赤くして。


 「ん? 地後くんどこ見てるの? 顔赤いし、もしかして熱でもあるの!?」


 「や、ちが、アッチに何か見えた気がして!」


 あまりにガン見し過ぎて雅に気付かれそうになり、焦って自分が見てた方向に何かあると適当にでっちあげて気を()らそうとする燐、ナニかはあったが…。


 「アッチ?」


 燐が指差す方向に注意深く目を向けていると、確かに何かある気がした、いや、あると言うより居ると言った方が正しいか…。


 「何か…居る?」


 「えっ、」


 適当に誤魔化したのだが、本当に何かが居る気配がして、燐は雅の背に隠れながらその方向に目を向ける。


 最初はゆらゆらとした蜃気楼(しんきろう)のような空間が揺らめくその存在は次第に形を成していく、だんだんとハッキリとした形に。

 しばらくしてその存在は、少年2人が認識出来るほどに人の形になっていく、何かを呟きながら。


 「••ば、•••でそう•••何コレご褒美?」


 「な、なんか言ってるぞ」


 「き、キレイ…」


 何かをぶつぶつと呟きながら人の形をしたその存在は少年2人をガン見している。

 雅はすぐに警戒するが、燐はその存在の見た目に釘付けになっていた。

 おそらく誰が見ても分かるような美の集合体がそこにあったのだ。

 スラッとした手脚に肉付きのイイ体、美人とも可愛いともとれる綺麗な顔、そしていやらしくない程度の露出した服装、どこをどう見ても、ため息が出る程の美がそこにあった。


 「えっ? めっちゃ2人が見てくる何コレ何のご褒美? 美少年2人が全裸でこっち見てるとか何? えっ? もう食べてイイの? 食べちゃうよお姉さん、余すとこなくドッロドロのグッチャグチャになるまで堪能し尽くしてえっぐい事しまくっちゃうよ? ねぇ?」


 少年2人が見ている存在がぶつぶつ言っている内容を一部抜粋(いちぶばっすい)するとこんな感じだった、実際はちょっと表現が(はばか)れるような事を延々と呟きながら2人に近づいてくる。


 「な、なんかヤバくない?」


 「お、おう、すっげぇ背筋が凍る感じがする」


 少年2人の貞操(ていそう)の危機である、このままだとこの物語の本筋である異世界ファンタジーがただのエロ同人になりそうなので、それは倫理的、又は昨今のコンプラ的にもアウトなので少々修正をさせていただきましょう。


 ゴゥ!

 バチン!!


 このままでは少年2人に襲いかかるのも時間の問題であったその存在に、急に頭上から物凄い勢いで白い手袋をした《手》だけが現れ、その存在に思いっきりのビンタをかました。


 「はぃ、すいません、いや、大丈夫です、やります、ホントすいません、いやそれだけは!? …いえ、はい、分かりました、もうしません、すいません」


 ビンタされたその存在は誰かと話してるような言葉を発した後、気落ちした顔で少年2人にゆっくり近づいてきた。


 「貴方達ね、今回の選定者(せんていしゃ)は。 私はレティ、転生、又は転移を担当する女神です、よろしくね」


 レティと名乗る女神は、2人の前まで来るとそう言いながらゆっくりと振りかざすようにスッと手をかざした。

 その瞬間、雅と燐の体が光に包まれ、一瞬にして服が着せられていた。


 「「…」」


 2人は一瞬の出来事に声も出ず、自分に着せらた服とレティを交互に見ていた。


 「あら、ビックリして声も出ないのかしら? まぁ当然ね、こんな綺麗なお姉さんが目の前にいるんだもの、見惚(みほ)れるわよね」


 ウフっとでも言いたげた表情でレティは2人にそう言うが、雅の言葉に逆に言葉を()まらせた。


 「お姉さんほっぺた大丈夫か? すっげぇ赤いけど…」


 雅の言うとおりレティの右頬(みぎほほ)が物凄く赤く()れていた、引くぐらいに真っ赤である…。


 「えっ、ちょ、ちょっと待ってね」


 雅にそう言われたレティは、急いでどこからか出した手鏡(てかがみ)で自分の顔を確認する、…なるほど、頬が腫れてめっちゃブスになっていた。

 すぐにレティは自身に回復を(ほどこ)し、元の顔に戻ったのを確認すると、何事も無かったかのように再び同じセリフを吐き出す。


 「フゥー、あら、ビックリして声も出ないのかしら? まぁ当然ね、こんな綺麗なお姉さんが目の前にいるんだもの、見惚れるわよね」


 「あ、ハイ、キレイデスネ」


 「レティさんすっごい綺麗!」


 先程の焼き回しのセリフに雅は棒読みで答え、燐は素直にレティを賞賛(しょうさん)する。


 「あら、2人ともそんな()めても何も出ないわよ? チート一個いる?」


 褒めただけで、チート一個貰えるとかチョロいを通り越してアホである、

これはまた少々修正を加え

 「ってのは冗談でぇ!」

ずに済みそうなのでこのまま続けましょう。


 「2人共、急にこんな場所に連れられてさぞ意味が分からず混乱している事でしょう、まぁ私の先程の自己紹介ですでに少しは(さっ)しているでしょうけど、貴方達(あなたたち)2人には転生、又は転移してもらいます」


 「オレ達、死んだのか?」


 「えっ? そんな…」


 レティの言葉に、雅はすぐにその事に思い(いた)る、好きで読んだり見ていた異世界モノの主人公はたいてい元の世界で死んでから異世界に渡っているのだ、そう思ってしまうのも無理はない。

 その雅の言葉を聞いた燐も、その可能性に思い至り、ショックで動揺してしまう。


 「う〜ん、まだ大丈夫って言う感じかなぁ?」


 悲壮感漂(ひそうかんただよ)う2人にレティはなんとも言えない声のトーンで、微妙な言葉を返す。


 「どういう事だ?」


 雅はレティの曖昧な言い方にそう言葉を返す。


 「まぁ、詳細は言えないんだけどね、貴方達2人には選定者として、ある世界に行ってもらいたいのよ、そこでどう過ごすかは貴方達の自由なんだけど、そこで人生を終えた時に、その世界が存続していいのか、滅ぼして消した方がいいのか聞かせて欲しいの」


 「どういう事?」


 レティの言葉を聞いてもますます意味が分からない燐は雅と同じ言葉を投げかけてしまう。


 「だから詳細は言えないんだって、ただ存続にせよ滅ぼすにせよ、貴方達が元の世界に戻りたいなら戻してあげれる可能性はあるわ、もちろん存続を選んでその世界に(とど)まる事も出来る可能性も」


 燐の言葉に困ったような笑みを浮かべてレティは説明を続ける。


 「その世界って、まぁ私が会えもしないような(はる)かに上の存在の神様がなんかの目的で作った世界でね? その目的の為に定期的(ていきてき)に存続か滅亡かを決める役割をもった選定者を送ってるんだけど、それが今回の貴方達2人なのよ、喜びなさい、こんな機会人生何回あっても無いわよ」


 レティはそういうが2人はたまったもんじゃない、いきなり連れて来られて、とある世界の存続か滅亡かを決めろなんて、生まれて15年しか生きてないまだまだ子供の自分に決めれるわけがない。

 そう思い、雅は(ことわ)ろうとするが、それを察したのかレティは雅より先に口を開く。


 「あ、ちなみに拒否権(きょひけん)無いのよ、断ってもいいんだけど、その場合はこのまま魂ごと消滅(しょうめつ)って形になると思うから、(あきら)めてね」


 ごめんね、という軽い感じで、まさかの退路(たいろ)無しの強制に、2人は反論しようとするが体が動かず声も出せない。


 「ごめんねぇー、こっちも毎度の事で相手の反応とか分かっちゃうのよ、だからちょっとだけ身体的に拘束させてもらうわ、貴方達がどれだけ(わめ)こうが泣き(さけ)ぼうが、これは(くつがえ)せないのよ、だから大人しく聞いていてね」


 定期的に選定者を送りこんでいるのなら、慣れていて当然なんだろう、有無を言わせずにレティは続ける。


 「で、選定者にはその世界【メリウス】に行くにあたって二つの選択肢あるの、勇者としてチート多めでその世界の希望を背負って召喚される《転移》かチートは少ないと言うかあんまり無いんだけど赤ちゃんから今の意識を持ったまま1から鍛えて行ける《転生》か、どっちが良い? 2人にはどちらか選んでもらってそれぞれの人生を歩んでもらうの」


 いきなり突き付けられた選択肢に、2人は次々に入ってくる情報を整理出来ず混乱してしまう。

 だが、そんな2人を見てもお構い無しにレティは選択を迫る。



 さぁ、《転移》か《転生》か選びなさい



 ここでの選択を雅は後で後悔する事になる…。

自分は楽したいんで転移っすね!

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― 新着の感想 ―
P〜ちゃん先生、お疲れ様です。 続きを読ませて頂きました。 今回のお話しですがテンポが良くて、冒頭からぐっと引き込まれました。 何もない白い空間で目覚めるという、不思議な始まりが印象的で、徐々に異世…
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