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選定者による異世界革命  作者: P〜ちゃん
プロローグ
10/29

09 裏切り

前話のあらすじ


 再開を喜び会う女神田中とティバニアだったが、ロキの名前が出た事によりティバニアのヤンデレが発動し、仕方ない腹パンで黙らす女神田中。

 彼女に仕える執事であるセバスを呼び、事の次第を説明するのだが……。

 「して、何故ヤツに狙われたのですか?」


 「んなモン知るかよ、こっちが聞きてぇっつうの、何がしてぇか知らねぇがコイツの転生先に待ち()せしてたんだよ」


 セバスの問いに、女神田中はここに来るまでに起こった事を話し始める。


 「はぁ……なるほど、当たってるかは分かりませんが彼奴(あやつ)がミヤビ様を狙う理由に一つだけ心当たりが有ります」


 「なんか知ってんのかセバス!」


 女神田中から事の詳細を全てを聞き終わると、セバスは深い溜息(ためいき)の後、ハブリシンがミヤビを狙う理由に見当が付いているように言い、それを聞いた女神田中は食い入る様にセバスに迫る。


 「知っていると言いますか、お嬢様がヤツに襲われてからワテクシの方でも少しばかり調べていたのですが、その中で少々疑問に思うところがありまして……」


 「なんでもいい、情報が少しでもあればこっちも動きやすくなる」


 セバスの自信なさげな口ぶりに女神田中は何も分からないよりはと思い先を(うなが)す。


 「今までどれくらいの転移者や転生者が送られて来ているのかは分かりませんが、ヤツに(むご)たらしく殺されているのはどうも転移者ばかりらしいのです」


 「それって今までの転生者は全部(さら)われたって事か!? どうなんだテト?」


 セバスの情報に対して女神田中は、寝ているミヤビを(にら)みつけているテトに問い詰める。


 「えっ? ……俺様がこっちに来る前は知らねぇッスけど、こっちに来た後で言うなら正直分かんねぇッス、毎回なぜか俺様より先に転移と転生者の情報を掴んでるアイツのせいで、俺様が向かった時には選定者の周囲の人間(ごと)殺されてるんすよ」


 「殺されてる人間の中に転生者は居なかったのか?」


 「そんな一人一人確認出来るような状態じゃないんスよ……、胸糞悪(むなくそわ)りぃ話ッスけどほぼ毎回と言って言いほど殺された人達は、人の形すら分からないぐらいミンチにされてるんスよ……」


 女神田中の問いにテトは、自身の過去の記憶を辿(たど)凄惨(せいさん)な現場を思い出したのか、悔しさや怒りが入り混じった不快そうな表情で答えた。

 それは任務とは関係無く、自分が助けられなかった悔しさと、簡単に命を奪うハブリシンに対する怒りだった。


 「そんな状況なら確認は出来ねぇか……、悪かったな思い出させて」


 「姉御が心配してくれてる? まさかついに俺様にもデレてくれた?」


 「ちげぇよ!」


 「ハハ……大丈夫ッスよ、ここ10年ぐらいはなんとかアイツの妨害出来てるんで」


 (つら)い過去を思い出させた事の罪悪感から女神田中はテトに謝るが、その気遣いに暗い雰囲気にさせまいとテトは明るく振る舞う。


 「話を戻しても?」


 「あぁ悪りぃな、テトの話を聞く以上ハッキリした事は分からねぇが、状況から考えると転生者がその時点で死んでるかの確認は出来てねぇって事だな」


 「そうなりますな、まぁ聞いた状況なら転移者も同じですが……、コチラで集めた情報からワテクシが立てた予測を話しても?」


 「あぁ、話してくれ」


 女神田中とテトの話に、セバスは自分の予測を話し始める。


 「今まで送られて来た転生者が(さら)われたと仮定しての話なのですが、……おそらくヤツは転生者の身体を使って生きながらえてるのではないかと」


 「そんな事が可能なのか!?」


 セバスの予測に女神田中は、寝ているミヤビを起こさない様に言葉を返す。


 「やり方は分かりません、ただ、それならただの人であるヤツがこの1000年程の年月を生きている説明がつきます」


 「確かにそうだが……、テト! 今まで見てきたオマエならアイツの顔が見るたび違ってたとか分かんじゃねぇか?」


 セバスの言葉に女神田中はテトに確認を取るが、


 「いや、俺様オンナの顔はすぐ覚えるんッスけどオトコの顔って全然覚えれないんッスよね」


 「ハァ、……セバスの予想が合ってるとしたら尚更コイツを守ってやんねぇとな」


 「えっ、無視?」


ドヤ顔でそう返すテトに女神田中は呆れて彼をスルーしてセバスの方に顔を向ける。


 「そうですな、……そういえばテトがこの10年ぐらいで助けた選定者はどこに?」


 「確かに、どこで保護してんだテト?」


 先程のテトの話から、ふと思い(いた)ったセバスは彼が助けた選定者の行方を(たず)ねる。


 「あー、……いや、それは姉御達だろうと言えねぇッス、どこで情報が漏れるか分からないんで」


 「別に俺らぐらいはいいだろ」


 「ダメッス、ちゃんと保護はしてるんで今はそれで勘弁して下さい」


 聞かれたテトは、少し煮え切らない態度で2人にそう返す。


 「まぁ無事ならいいんだがよ、その件はテトに任せるとして、とりあえずこれからどうするかって話なんだが……」


 「何か問題でも?」

 

 テトの煮え切らない言葉に一応の納得を見せ、女神田中はこの先の話をしようとするが、言い方に何かを察したセバスが彼女に質問する。


 「問題っちゃ問題だな……、ここに来るまでに結構チカラ使ってしまったせいで俺がこの世界に顕現(けんげん)出来るリミットが来ちまった」


 「えっ! 姉御ずっといるんじゃないんッスか!?」


 「そもそもこっちの世界に来るつもりじゃなかったんだよ、レティに頼まれてミヤビに加護与えて見守るだけの予定だったってのに、あんなクソみたいな状況になってたから無理矢理来たんだよ」


 セバスの問いに女神田中はこの【メリウス】に滞在出来る時間が少ない事を告げる、テトは姉御と慕う彼女がずっとこちらにいると思っていたので、それを聞いて焦ったように彼女に詰め寄る。


 「なるほど……それは問題ですな、ですが《精霊界(ここ)》にいる限りは大丈夫でしょう、なにせヤツはここには入れないのですから」


 「あぁ、そこは安心してるよ、ただせっかく来たってのにコイツのこれからの成長に関われないってのが少し残念でな……」


 「これは珍しい、情でも湧きましたかな?」


 「そうなんだろうな……、まぁそこは仕方ないと諦めるさ、チカラが戻ったらまた会いに来れるしな」


 セバスの言葉に女神田中は(いと)おしいそうに自分の腕の中で眠るミヤビの頭を撫でる。


 「大丈夫ッスよ姉御! ガキなんてほっといても勝手にデカくなるんスから、姉御がいなくても余裕ッス」


 「そう言ってくれて助かるよ、ちょうどオマエに頼みたい事があったし」


 「なんスか? 姉御の頼みならなんでも聞くッスよ!」


 名残惜しそうにミヤビを撫でる彼女にテトは元気付けようと声をかけ(はげ)ます、そんな自分を慕うテトに女神田中はそう言い、それを聞いたテトは頼られる事が嬉しかったのか、(はず)んだ声で聞き返す。


 「俺が戻ってくるまでコイツの面倒宜しくな」


 「えっ?」


 「えっ? じゃねぇよ、セバスにも協力してもらうが、セバスはティバニアの執事兼護衛だからな、基本オマエがコイツの世話すんだよ」


 「いや、俺様も結構色々忙しいんでそんなにこのガキに時間()けないッスよ……?」


 テトに誰もが見惚れるような満面の笑顔で女神田中はミヤビの世話係を命じるが、言われたテトは嫌そうな顔でそう言葉を返す。


 「俺が見込んだオマエなら大丈夫だろ?」


 「はい! 余裕ッス! 任せてくださいッス!」


 そんなテトに女神田中はミヤビを片手で抱き、空いたもう片方の手で近くにいたテトの胸ぐら掴み抱き寄せ耳元で(なまめ)かしい声で囁くようにそう言うと、急に引き寄せられ慕っている彼女の頬と自分の頬が触れた事でドギマギしたテトは、先程の嫌そうな顔はだらしない笑顔に変わり、即座に女神田中の頼みを聞き入れる。


 「ヨシ! 言質(げんち)取ったからな! 俺が戻った時にコイツがグレたりしてたら脅しじゃなくガチでコロスから」


 「おぅ、笑顔と言葉がこんな合わねぇ事ってあるんッスね……」


 無邪気な笑顔で殺害予告する女神にテトは彼女の頼みを了承した事を少し後悔した。


 「まぁワテクシもお手伝いしますから、田中様が言うような事にはならないでしょう」


 「頼んだセバス!」


 「オマエがやるんだよ!」


 ゴス!


 「うっ!」


 セバスの助け舟にテトは全力で役目をぶん投げようとするが、そんな彼に女神田中は横腹を拳で小突き叱る。


 「それで、後どれくらいこちらの世界に滞在出来るのですか?」


 「どれぐらいっつうか、もうあと1時間も無ぇよ」


 「はぁ!? どんだけギリギリまでチカラ使ってんスか! こうなりゃ姉御! 人前だろうが(かま)わねぇから帰る前に一発お願いします!」


 「構うわ!」


 バチン!!


 セバスの言葉に女神田中が答えるが、それを聞いたテトは驚き、謎のテンションで彼女にそう言いながら詰め寄る。


 「なにが一発だ! オマエ相手にガード崩すほど安い女じゃねぇんだよ!」


 「ではこのワテクシと」


 「それ本気で言ってるなら今すぐぶっ飛ばすからな?」


 詰め寄るテトに全力ビンタを喰らわせる彼女に、セバスが真顔でそう言ってくるが、その言葉にただでさえ残り少ないチカラを使おうか真剣に迷う女神田中。


 「とにかく! 俺はもうすぐ消えっから後の事は頼んだぞ? どれぐらいで戻れるかも分かんねぇからちゃんとコイツをこの世界で生きれるぐらいにしとけよ!」


 「分かったッスよ、姉御が戻るまではこのテトがしっかりコイツにこの世界のイロハを教えてみせるッス」


 「微力ながらワテクシもお手伝いさせていただきます」


 「最初からそう言えっつうんだよ、……そういえばなんだけどよ?」


 もう時間が無い中でふざける男2人に強引に後を(たく)す女神田中だが、ふと何かに気付き2人に話しかける。


 「どうかしましたかな?」


 「どしたんスか姉御?」


 「いや、今の今まで忘れてたんだがコイツの親ってどこだ?」


 「「あっ……」」


 女神田中の言葉に、2人は揃って声をあげる。


 「あー! ヤッベェ! そういえばアイツら何処に飛ばされたんだ!? ちょっとそこら辺見てくるッス! 姉御まだ帰っちゃダメッスよ!?」


 「コチラでもすぐ確認させましょう、少しお待ちください」


 彼女の言葉に思い出したテトはまだココにいて欲しい事を告げ、焦ったように《空間転移》でどこかに飛び出し、セバスは部屋にいたメイドと共に部下に命じる為に扉から出ていった。


 「……ったく、もうちょい静かに出来ねぇもんかね、まぁ帰る前にコイツと2人きりなのも悪かねぇな」


 そう言って優しく微笑んだ顔で彼女はミヤビの頭を撫でる。


 「〝慈愛の神ヘスティアよ、この者にわずかばかりの貴方の愛を〟《プロテクト》」


 女神田中は、残り少ないチカラを使い上級の神である慈愛の神ヘスティアに護りの力を借り受ける。


 「これでちょっとは安全に過ごせるだろ」


 「(んぅ、……あれ? みんなは?)」


 「おっと起こしちまったか、みんな用事で少し出てったよ、まだ時間あるからもう少し寝てていいぞ」


 「(ん……、分かった……)」


 詠唱による光で(うつ)ろげに起きたミヤビに、女神田中は安心させるような声色で、まだ眠るように促す。


 「……元気で育てよ」


 ミヤビが再び眠ったのを確認した女神田中は、抱いていたミヤビをそっとソファに移動させ、彼の頭を撫でながら一言そう言い残し、静かに消えていった。




 女神田中がミヤビを残し消えた少し後、戻ってきたセバスは部屋にミヤビしか居ない事に彼女が帰った事を察し、メイドにミヤビをソファから専用の部屋のベッドに移すよう指示し、自らが仕える主人に、彼女の古い友人が帰った事を何と説明しようかと頭を悩ませる。

 久々会った友人に強引に気絶させられ、目覚めたらいなくなっていると知ったら悲しむだろう。


 「せめてお嬢様に挨拶なさってからにして欲しかったですよレブルナ様……」


 少しだけ困った表情でセバスは女神田中のファーストネームを呼んで恨み言を(こぼ)した。


 その後に汗だくで帰って来たテトは、女神田中が居ない事にもの凄く悔しそうにしていたが、


 「ま、帰っちゃったもんはしょんがないッスね」


と、すぐに気持ちを切り替えていた。





 その夜




 セバスが、自分が目覚めた後に古い友人の女神田中が居ない事を知って泣き喚くティバニアを必死で宥めているその時。


 「ち……あせ……です」


 「(ん? 誰かいる?)」


 眠っていたミヤビは近くで聞こえた人の話す声に目を覚まし、声がする方に視線だけを向ける。


 部屋の灯りはミヤビが眠っていたからか消されており、外から入る薄らとした星明かりが差し込む窓の方へ視線だけを移すと、その窓にもたれ掛かるように外を見つめながら誰かがそこにいた。


 「えぇ、上手いこと入れましたよ、……え? いやいや大丈夫、疑われてなんていないっしょ」


 「(この声って……)」


 窓から入る薄灯りだけでは、窓際に居る人物の顔がハッキリ見えず、ミヤビはおそらく誰かと話しているだろうと思われるその人物の声に目を(つむ)って耳を傾けて聞いていると、聞いた覚えのある声に何故かドキッとする。


 「いや、しばらくは無理だな、でも女神の方も帰っちゃったんで、時間はあるからなんとかなるっしょ」


 「(なんか、話し方が違う?)」


 その聞き覚えのある声だが、話し方が違うその人物を確認しようと、薄目を開けて窓際にいる人物を確認しようとミヤビが(まぶた)を少し開いた瞬間。





 「やっぱ起きてたか」





 ミヤビが薄ら開いた視線の先に、先程まで窓際にいたその人物が、ミヤビのベッドまで一瞬で近付き、こちらを見ていた。


 「(っ!!)」


 「盗み聞きは良くねぇなぁクソガキ、……ったく、あの女神が護りの結界張ってなきゃすぐにでも意識を奪って人形に出来んのに」


 「(な、なんだコイツ……、昼までと雰囲気がまるで違う)」


 その人物は、女神田中が離れる際にミヤビに(ほどこ)した悪意のある者から護る結界に対して憎らしそうにそう言う。


 「まぁ、どうせなんのチートも持ってないガキになんか出来るわけねぇか、まぁせいぜい頑張って生きな」


 「(なんで……、なんでこの人が……)」


 窓際から雲に(さえぎ)られていた月明かりが差し込んだ事で、ベッドに近づいたその人物の顔をハッキリ確認したミヤビは混乱する。


 「おっと、申し訳ない、え? あぁ、ちょっとガキが起きたんで、ハハ、大丈夫ッスよ、どうせ何にも出来やしないんだから」


 「(この人も……、敵?)」


 「まぁ計画に支障は無いんで安心してゆっくりしていて下さいよハブリシンの旦那」


 「(っ!?)」


 この世界に転生してから見て来た彼の雰囲気とはまるで違うその人物の、ドス黒いオーラを(まと)う姿から聞こえてきたその名前にミヤビは驚きから目を見開く。


 「あ、言っちゃった、まぁいっか」


 「(な、え? 冗談キツいだろ!?)」


 「おー、なんか目見開いてビックリしてら、姉御なら何思ってるか分かるんだろうけど俺様にはさっぱりだわ」


 その人物はつい滑らしてしまったその名前に特に焦る事も無く、驚くミヤビを見て楽しそうにそう言う。


 「(なんで!?)」


 ガチャッ


 ミヤビが混乱している中、部屋の扉が開かれメイドが入ってくる。


 「あぁ、ここにいましたか、夕食のご用意が出来ましたのでセバス様がお呼びです」


 「りょ〜かい、すぐ行くよ」


 「(なんでだよ! テト!!)」


 メイドの横を通り過ぎ、部屋から出ていくテトに様々な感情が入り乱れるミヤビは声に出来ないその言葉を心の中で叫ぶ……。




 プロローグ 完


 次章


 〔第一章 迷走編〕

ゾワゾワしました?(⊃ ॑꒳ ॑⊂)ワクワク

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