最終話
ルベルの本拠地であるメラント島の陥落によってルベルは壊滅した。生き残ったルベルの兵隊は他の組織に組み込まれるか新しいマフィアになった。
結果としてムステルは様々なマフィアが乱立し覇権を争う時代に逆戻りすることになったが、それでも以前のように夥しい血が流されることはなくなった。
ヘラルトは小銃を抱いたまま、1人小さな穴の中で手紙を読んでいた。辺りには銃声が鳴り響き、突撃を合図する声が聞こえてくる。
『拝啓、親愛なるヘラルトへ。お元気ですか? ムステルは今、ヴォスがまとめています。皆、相変わらず忙しいようでたまにしかお店に来ませんが、日々銃声は聞こえなくなってきています』
懐から煙草を取り出すとライターで火をつけ、おもいっきりふかす。
『貴方と、貴方の戦友が待ち望んだ平和がもうすぐそこまで来ています。私は、貴方が銃を執らなくてもよい時代が来ることを祈ります。ですのでどうか、どうか生きて、私のもとへまた顔を見せにきてください。待っています』
手紙を最後まで目を通すと、ヘラルトは口角をほんの少しだけ上げ手紙をライターで炙った。
そうすると紙に文字が浮かび上がる。
『バカ』
ヘラルトはそれを見て、声を押し殺し、笑った。
『ヘラルト、仕事の時間だ』
ヘッドホンからアントンの声が聞こえてきた。
手紙にライターで火をつけるとヘラルトは煙草を咥えて立ち上がる。
「平和の邪魔になるやつはぶっ殺してやる。アントン、帰ったら一杯やろう」
ヘラルトの戦いは、まだほんの少しだけ続くのだ。




