第17話 その白衣を撃て
中庭を抜け、倉庫のある方へと走る。しかしそこは既に侵入された後だった。
コンクリート製の壁には無数の弾痕と血と肉片がこびりつきシェフィール兵が倒れている。
ヘラルトはすぐさま人狩り隊との交戦に入った。しかしヘラルトが狙うのは人狩り隊の隊員ではなく、彼らが連れていこうとする研究員である。
倉庫の近くにある建物の2階に上がり、窓から連れていかれる研究員を銃撃した。
「眼鏡野郎共を守れ。これ以上やらせるな」
「ひぃいいいい! やめろ撃つな我々は味方だ! 俺はシェフィールの人間だァッ!!」
ヘラルトの眼下で複数人の隊員が白衣の研究員を守っていた。しかし彼らは精鋭、ヘラルトが銃撃をする前に素早く隠れつつ発砲してきた。
「眼鏡野郎。お前達の兵士なら全滅した、2階から撃ってきてるのは我々の敵で我々を妨害しに来ただけ。つまりお前達も殺される対象だ」
「もう嫌だあああああ!! 助けてくれええええ!!」
「人間いつかは死ぬんだ。腹をくくれ眼鏡野郎」
人狩り隊は急いで研究員たちを連れ去り、爆弾も確保しようとしていたが、ヘラルトがそれを許さなかった。
──さすがは精鋭だな。うまく隠れる。
ヘラルトは短機関銃で人狩り隊に向けて射撃を仕掛けていた。既に倉庫は襲撃されていて、間に合わないと踏んでの判断だったが……
「撃て」
ヘラルトの居る2階に向け、人狩り隊は容赦なく小銃や短機関銃で銃撃を加えてくる。そしてそれだけでは終わらない。
「熱い歓迎だな。こういうのは一個でいいだろうに」
黒々とした手榴弾をまとめて数個投げこまれ、ヘラルトは慌てて後ろにあった部屋の中へと飛び込む。
壁1つ隔てた場所で手榴弾が炸裂し、コンクリートや手榴弾の破片、窓ガラス、ありとあらゆるものが爆風と共に吹き飛んできた。
「流石に数が違いすぎるな……どこまでやれるか」
ヘラルトは自分の武装を確認する。機関砲は喪失、ダミアンから奪った短機関銃1丁と予備弾倉があと2つ、手榴弾が2個。加えてダイナマイトが2本。大振りのナイフ1本、武装が足りない。
「眼鏡野郎共を早く輸送船に向かわせろ!」
「そうはさせんぞ」
ヘラルトは眼下に向けて再び射撃、研究員の1人に弾を当てることが出来た。
「しぶとい奴だ。ついてこいお前等」
眼下ではヘラルトの居る建物に向かって突撃してくる人狩り隊の姿があった。しかしそれを阻むことはできない。他の兵士が援護射撃をして頭を出すことを阻んでくるからだ。
「これは本格的にまずいな。サインやるから帰ってくれないか?」
援護射撃は終わった。
既に下からは複数名の足音が聞こえてくる。ヘラルトの居る建物は南北に長い建物、入り口は4か所あり、階段は2つ。ヘラルトは北側の階段付近にいる。このままでは挟み撃ちに合うのは間違いなかった。
「…………」
足音が不意に聞こえなくなった。
──どこからくる?
耳を澄まし、人狩り隊の出てくる場所を探ろうとする。どちらからか? ヘラルトの近くにある北側? それとも遠い南側? 手榴弾を投げ込まれる?
攻撃に備えるために、ヘラルトはナイフを握りしめ備えた。




