第15話 見知った男
機関砲を撃ちながら走り続けると、ヘラルトの前にコンクリート製の巨大な建物が目の前に現れた。
「アントン、研究所まで来た。どこに爆弾がある?」
『北に保管倉庫がある。だがどれかまではわからん。片っ端からやってしまえ』
「了解。いつも通り皆殺しだ」
ヘラルトが北に見える倉庫に向かおうとした、その時だった。
「ッ!?」
目の前の建物の2階、そこにある窓から銃口が顔をのぞかせたかと思うとすぐさま発砲してきた。何とか近くにあった木に身を隠そうとしたが、脇腹に弾を受けてしまった。皮と筋肉に傷がついただけで命にどうこうということは無いが。
「狙撃手か」
ヘラルトは機関砲を窓に向けると引き金を引く。
狙うは窓枠の少し下、狙撃手が隠れているであろう場所だ。放たれた20mm弾はコンクリートの壁を易々と貫通し、隠れている狙撃手を破砕する。
はずだった。
「なに?」
崩れた壁から1人の男が現れる。そしてその男にヘラルトは見覚えがあった。
「よう賞金稼ぎ! 奇遇だなこんなところで会うなんてよ! 歓迎のキスをしてもらおうか俺の軍用27.5cmブーツにな!」
下品な言葉遣い、そして夜でも良く見える金髪、青い瞳、そしてニヤついた顔……
モーレンを撃破する際、ヘラルトが背中を預けた男。ダミアンの姿がそこにはあった。
そして顔が見えるのと同時、銃弾の雨がヘラルトを襲う。
「ダミアンか。維持局が消えて何処に行ったのかと思ってたがよりにもよってルベルに付くとはな。節操のない奴は女にモテんぞ」
木に隠れ、ヘラルトは銃弾の雨から身を守る。だが脅威なのはこのダミアンだけではなかった。
「穴熊きめてていいのか!? もうテメェのケツにゃあ火が点いてるぜ!」
「もうちょっと品のある言い方したらどうだ」
叫びながらヘラルトはちらと後ろに目をやる。ダミアンの言うとおりだった。時間はもうない。銃声が近づいてきているからだ。
「そっちに付いたことを後悔するなよ。それと神様にお祈りでも済ませとけ」
ダミアンに向けてそう言った瞬間、ヘラルトは機関砲を建物に目掛けて射撃した。
「撃ってきた! 撃ってきやがったぜ! ひゃっはああああ!! ぐへぇっ!?」
「ネズミみたいな野郎だなお前は!」
笑い、叫びながらダミアンはヘラルトが狙いをつけるよりも早く建物の中を逃げた。銃撃で頭がいっぱいになっているかと思えば退くことも知っているようだ。
「なるほど、流石にここまで生き残ってきただけのことはあるという事か。面倒な野郎だ」
ヘラルトは追いかけず先を急ごうと決めた。
「ん?」
その瞬間、ヘラルトが進もうとする先に何かが転がってきた。
「ダミアンめ」
転がってきたのは見慣れた柄の付いた手榴弾だった。ヘラルトは瞬間的に足を向けてその場に伏せた。
「ぐううッあの野郎ッ!」
手榴弾が炸裂、頭が揺れ、足と尻に破片を食らった。
「もう少し手前に投げられたら死んでたな。狙いを外したか、助かったぞ」
その後窓から顔を見せたダミアンに再び機関砲の弾を撃ちこんだ。
「東部戦線がままごとに思えるくらいのお仕置きをくれてやる」




