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最後の

ーエンドレス王国道具屋ー


「イン様、これからどうしますの?」

「どうすっかねえ」

「ねぇねぇ、レベル上げしない?」

「あぁ??レベル上げて何の意味があるんだよ?」

「お?いいな!」

「バウンドもか」

「あの、魔王様もよろしくて?」

「ふふふ、リミットとやら、私の事はアンと呼ぶが良い」

「分かりましたわ。アン様、よろしくお願いしますわ」

「私も!私はエターナル!よろしくね。アン」

「俺はバウンドだ」

「お前ら、まぁいいか。魔王じゃねえか、アン、どうする?」

「レベル上げといこじゃないか」

「お前までもか?何故?」

「分からぬか?お前は、自身の考えを押し付けすぎだな」

「そんな事ないだろ?」

「ニット!ニットだけ卑怯でしょ!」

「はぁ?」

「そうですわ。自分だけレベル999なんて卑怯です」

「だよな!俺も999になりてえよ」

「そういう事だ。勇者よ」

「なるほどな。分かった!アン、俺はインフィニットだ。もう仲間だろ?名前で呼べ」

「そうだったな。インフと呼ぶとしよう」

「この世界は巨大な力が働いている。世界と相対する為にレベルを上げておくか」

「やった!」

「イン様嬉しいですわ」

「ようし、やるか!」

「ふふふ」


ふと俺は何の意味もなく道具屋の店主に声を掛けた。


「オヤジ、レベル上げてくるぜ」

「何言ってるんだ?レベル?」

「ん?レベル知らないのか?」

「何だ?そりゃあ?」

「ステータスは?」

「俺を揶揄からかってるのか?」

「いや、変な事言って悪かった」

「商売の邪魔するなら帰りな」

「悪かったな。邪魔した」


店を後にする。そして、メタキングの生息エリアに移動する。アンの浮遊魔法で。数年掛かったが皆999になる事が出来た。道具屋の前に戻って来た。この道具屋が世界を倒すヒントなのかも知れない。俺は②と③にセーブをした。


「ふっふっふ。みんな平伏すがいい!この大賢者様の足下に!」


このレベルになれば死なねえだろ。ターナの頭の中心に、俺の拳骨が落とされた。懐かしい。


「痛ーーい!!もーー!!何で!!」

「ふふふふ♪」

「ああ!ミットが笑ったああ!酷くない?」

「ごめんなさい。でも、エターナル様が叩かれてる姿、いつもの様に似合ってたので」

「バウンドォ〜!ミットが酷い事言うんだけど!」


バウンドが豪快に笑うと、それがトリガーとなった。皆が笑う。ターナも笑っている。おう?お前が笑われているんだぞ?そして、俺は見た。恐ろしい事に魔王であるアンも笑っていたのを、俺も一緒に笑った。


「アン、いや、魔王・・・俺と最後の戦いをしないか?」

「ええ?折角仲間になったのに?」

「嬢ちゃん、勇者と魔王の宿命だ。俺達はお邪魔ってなもんよ」

「分かった」

「皆、私の城近くに、森に囲まれた草原がある。そこでどうだ?あそこと私の城なら破壊されても構わない。どうする?」

「分かった。お前範囲魔法使えるだろ?」

「ああ。使えるがどうした?」

「ルールを設けよう」

「ほう・・・怖気づいたか?レベル対等になったしな。クククク」

「折角サシでやるんだ、範囲魔法で終わりなんてつまらねえしな。この戦い本気で楽しむつもりだ」

「なるほどな、私も楽しむとするか、でどの様なルールだ?」

「まずは・・お前のケツに付いてる椅子を取る」

「取ったら私は私でいられる保証が」

「大丈夫だ、何故か確信めいたものを持っている。お前がその手に印を付けた時、すでに世界の呪いは解けていると思っている。ありえねえしな・・魔王が勇者の仲間になるなんてな」

「言われてみればそうだな・・ふん!」


アンはケツに力を入れたみたいだ。腰紐の千切れる音がする。すると椅子が弾丸の速さで飛んで行き、道具屋の壁に穴をあけた。道具屋店主の声が聞こえた瞬間ターナのルート魔法で魔王城前まで転移していた。さすが大賢者様だ!う~ん・・大賢者・・か・・


「ねぇ、私に何か言う事ない?」


なるほどな。俺は心に秘めた思いを拳に乗せる様に拳を握り息を吐く


「はぁぁぁぁぁ」

「ちょっとおお?ニット何するつもり?ま、待って!!」


両手で頭を押さえて目を瞑っているターナの姿が目に入る。可愛いなぁ~。む?俺がターナにそんな事を思うとは・・この女出来る!そんな事を思いながらターナの手に俺の右手を重ねる。思えば、初めてだな、ターナの手を触るのは、初めての感触を楽しみながら


「ありがとな」

「え?あ、うん・・・・」

「ターナ」

「なあに?」

「リミー、バウンドと一緒にスカイで空中に結界を張りそこから動くな。巻き込みたくないからな」

「うん。わかった。頑張ってね」

「おう!」

「イン様、アン様、どちらも頑張って下さい」

「くぅぅぅ。小僧卑怯だぞ。俺が相手してえぜ」

「バウンド悪いな。ターナ頼む」

「うん!指定、リミット・レス、バウンド・レス、スカイ!」


まるで、手品でも見ているみたいに3人の姿が無くなった。上を見上げると空中に3人が立っている。青白い魔法陣が現れると3人の周りを包む。ターナが結界を張ったのだろう。


「さぁ、始めるか。勇者よ」

「あ?」

「ん?どうした?今更止めると

「リミーのパンツが見える」

「は?」

「いやっほおおお!!リミーのパンツが見える!!!!!」

「お前は・・・」


甲高い声がそらから雨の如く降り注ぐ。「きゃあああああ。見ないでーーーーーー」

体育座りをして膝に頭を埋めているリミーが見える。可愛いなぁ。等と思っていると、上空よりとてつもない殺気が雷の如く俺の体を貫いた。ターナがバウンドを制ししようとしてる風に見える。


「いい物を見た。うし!魔王!アン・エンド!行くぞ!」

「ああ!こい!貴様を葬り去ってやろう!インフィニット・アンリミテッド!!」

「あ、そうだった・・」

「何だ!貴様さっきから!!」

「いやあ・・ごめん。ルールを」

「そうだったな。しかし、締まらないな貴様。そんな事だからいつまでも童貞なんだ」

「ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」


魔王は見下した目で俺を笑っている。


「と、とにかくルールだ。範囲魔法、即死魔法、この2点は禁止だ。いいな?」

「ああ、分かっている。使うつもりもないがな」

「よし。じゃあ、やろう」

「ああ」


魔王より距離を取る為足を動かす。これが魔王との最後の戦い。魔王との奇妙な友情が芽生えていた事を心の奥に感じていた。




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