オープニング
魔王の城にたどり着いた勇者パーティーは、最後の決戦に備えて息を整えた。
魔王は彼らの到着を予感していたようで、城の門は開かれていた。
勇者は仲間たちに合図をし、城に入っていった。
城の中は暗くて静かだった。魔王の部下たちはどこにも見当たらなかった。
勇者パーティーは不気味な雰囲気に戦慄しながら、魔王の間へと進んでいった。
やがて、彼らは巨大な扉の前に立った。扉には魔王の紋章が刻まれていた。勇者は扉を押し開けた。
扉の向こうには、広々とした部屋が広がっていた。
部屋の中央には、高い玉座に座っている魔王がいた。
魔王は黒いローブに身を包み、顔は影に隠れていた。
魔王は勇者パーティーを見て、冷たい笑みを浮かべた。
「ようこそ、勇者よ。私は魔王アン・エンド。君たちは私を倒すために来たのだろう?」
魔王の声は低くて響くようだった。勇者は魔王に向かって剣を構えた。
「そうだ。お前はこの世界に苦しみと悪をもたらした。お前は人々の幸せを奪った。お前は許されない。俺たちは神の遣いとしてお前を滅ぼすのだ」
勇者の言葉に、魔王はさらに笑った。
「神の遣いか。なるほど、君たちは自分たちの正義に酔っているのだな。だが、君たちは本当に神の意志を知っているのか?君たちは本当にこの世界の真実を知っているのか?」
魔王はそう言って、玉座から立ち上がった。そして、ローブを脱いだ。
すると、魔王の姿が明らかになった。魔王は人間で女の姿をしていた。
「驚いたか?私は勇者の一人だった。私は魔王を倒すために旅に出た。だが、私は途中で真実を知った。この世界は神によって作られた虚構の世界だったのだ。神は自分の楽しみのために、この世界に善と悪を創り出した。神は自分の思い通りにこの世界を操った。神は自分の退屈を紛らわすために、この世界に戦争と災害を起こした。神は自分の娯楽のために、この世界に勇者と魔王を生み出した。そして、神は、自分の見世物のために、勇者と魔王を戦わせた。私はその真実に気づいた。私は神に反抗し私は魔王になった。私は神の遊びに終止符を打つためにこの世界を滅ぼすことを決めた。私は君たちにも真実を教えるためにここで待っていた。だが、君たちは私の言葉を聞く気があるのか?」
魔王は勇者パーティーに問いかけた。勇者パーティーは魔王の言葉に動揺した。
魔王の言うことが本当なのか、嘘なのか、判断できなかった。
自分たちの信じてきたことが崩れるのを恐れた。
自分たちの使命が無意味だったと知るのを拒否した。
彼らは魔王に対して怒りと憎しみを感じた。
「黙れ、魔王。お前の言うことは全て嘘だ。お前は私たちを惑わすために、そんなことを言っているだけだ。お前は、この世界の敵だ。俺たちは、お前を倒しこの世界を救う。俺たちは、神の遣いだ」
勇者は、魔王に向かって叫んだ。そして、魔王に突進した。
勇者パーティーの他のメンバーも勇者に続いた。
魔王は冷静に戦闘態勢をとった。
魔王は彼らに対して哀れみと悲しみを感じ最後の言葉を呟いた。
「君たちは神の遣いではない。君たちは神の道化だ」