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【50万PV突破】 戦国の世の銃使い《ガンマスター》  作者: じょん兵衛
第一部 1章 『少年期千代松の修行編』
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第7話 人質交換

PV3400ありがとうございます!!

 大蛇の一件からだいたい1年くらい経った。今はもう1549年の春だ。那古野に来てからの俺の生活もだいぶ安定してきた。午前中は銃の研究、製作など。午後は日によるが月と木は橋本一巴師匠に銃を習う。火と金は兵法を習うことになった。

 信長はいずれは俺を一部隊の隊長にしたいらしく信長が兵法を習っている平田三位という先生に習うことになった。ちなみに信長はさぼりがちだ。信長いわく、


「今の時代には今の時代の兵法がある。こんな昔の兵法をうのみにするのは愚かだ」


 だそうだ。じゃあなぜ俺に昔の兵法を習わせているのか?

 あとこの半年で会ったことと言えば信長と犬千代改め利家が初陣した。犬千代が前田利家になったときは驚いた。秀吉の作った五大老の1人じゃん。加賀百万石の。高校で覚えさせられたわ。

 信長たちの初陣は今川軍との戦いだった。今川軍が織田の領地に攻めてきたため、信秀の命令で信長が奪還のために平手政秀とともに出陣した。見事に吉良・大浜の砦を奪還し帰ってきた。見事な快勝だったらしい。


 あと信長が結婚した。相手は美濃の斎藤道三の娘・濃姫。何度か話したことがあるがめっちゃ可愛いけど、どこか恐怖感を覚える女性で俺は少し苦手だった。この結婚は平手政秀が話をまとめてきたらしく信長は、


「爺、勝手なことを…」


 と言っていた。濃姫は容姿だけ見ればめちゃめちゃ可愛いので信長もまんざらでもなさそうだが。結婚式の時のちょっと照れてる信長が印象的だ。



 銃の研究の方はあまり大きな成果はなかった。やはり俺は連射できる銃を作りたかったのだが、この時代のからくりでは厳しいようだった。人に頼むのではなかなか満足いく部品ができないため、最近は金属加工も学んでいる。

 あとは剣術だ。信長や利家に「銃も強力な武器だが、最後に頼れるのは己の剣だ」と言われたので俺も剣術を学ぶことにした。最近は信長や利家、信長の小姓の池田恒興にボコボコにされる日々だ。竹千代とはライバルみたいな感じで最近はいい勝負ができるようになった。

 日曜はよく信長に連れまわされる。市場に行ったり川で泳いだりなど。だいたい、信長が平手政秀に連れ戻されて解散になる。

 空いている時間は銃の研究や製作。射撃の練習などだ。銃もそこそこ上手くなった。もうすぐ免許皆伝をやろうとこの前一巴先生に言われた。

 あとは俺の父親、坂井大膳が織田信秀と和睦したらしい。一悶着あったらしいが平手政秀のおかげでうまくいったらしい。



 そして明日、竹千代とお別れだ。彼は信長の兄と人質交換で今川義元の駿河に送られるらしい。いわゆる人質交換だ。そして今、俺は竹千代と剣をもって向かい合っている。


「竹千代、明日には駿河に行くんだろ?」

「ええ、尾張での生活は千代松や信長様、利家のおかげですごく楽しかったです」

「駿河は第二の京と言われるほど発展しているらしいな。尾張よりいい生活を送れるかもしれないな」

「そうですね、わたしもすごく楽しみです」

「では、そろそろ始めるか」

「はい」


 俺と竹千代が木剣を構えなおす。竹千代との最後の試合だ。さっきはいい勝負と書いたが本当は勝率4割ほどだ。緊張し木剣を持つ腕に力が入る。おっといけない。力の入れすぎはダメだ。

 ジリジリと間合いを詰める。剣術において最も大事なのは間合いの管理だ。これができないと空ぶったり逆に近すぎたりしてしまう。お互いいつもより慎重だ。まだ剣を振っていい間合いじゃない。

 だが、その時竹千代は振りかぶった。当然お腹に隙ができたと思った。そして振った。《《振らされた》》。まだ間合いは広かった。そして大きく1歩踏み込んで空ぶった俺に竹千代の木剣が振られる。無駄のない一撃。



「はーーーっ、負けた・・・」


 木陰で休みながら嘆く。


「千代松もあの空ぶった一撃すごい綺麗でしたよ」

「空ぶったの褒められても嬉しくねーよ」


 天然で煽ってくる。現代でもそうだったけどこういうのが1番質が悪い。


「はーーっ、絶対リベンジするから」

「そうですね、またこうやって戦いましょう。信長様達ともまた一緒に遊びたいですね」

「だな、また生きて会おうぜ」

「はい!!」



 翌日、竹千代は信長や利家に三河の国境まで送られて駿河に旅立った。人質としては破格すぎる待遇だ。それだけ信長にとって竹千代は大切な存在だったのだろう。


 竹千代はこの後、駿河と尾張の中間にある笠寺観音で今川家に引き渡される。信長の兄の織田信弘と交換になる。

 彼が今後、この乱世で生きていけるよう、俺はひっそりと願った。


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 竹千代を見送る時の信長と竹千代の会話

「お別れだな」

「はい。信長様のおかげで尾張での生活はとても楽しかったです」

「そうか、また会った時にはまた面白いことをしよう。爺も犬千代も千代松も誰もがあっと驚くことだ。な?」

「はい!また会いましょう!」

「では、達者でな。駿河でも元気にしろよ」

「はい!信長さまもお元気で!」


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