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【50万PV突破】 戦国の世の銃使い《ガンマスター》  作者: じょん兵衛
第一部 2章 『尾張統一と桶狭間』
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第61話 桶狭間の戦い(1) 本陣突入

「彦三郎、大吾、常道、隆康!! 全員戦の準備だ!! 急げ!! 隊を集めたらすぐに出れるようにして待ってろ!!」

「「了解!!」」

「氷雨!! 俺の甲冑用意してくれ!!」

「ん、もう出来てる」

「お、おう。ありがとう。さすがだな」

「ん」

「じゃあ馬を……」

「もう用意できてるっす!!」

「て、天弥。ありがとう」

 俺の雑用2人が優秀すぎる。

「各自用意が終わったら城門の前に集合しろ!!」

「了解!!」「おうよ!!」「御意!!」

 そう言い残し、清洲城に向かおうと屋敷を出る。

「大助」

「ん? 利家じゃん」

「俺も連れて行ってくれないか?」

「お前は戦に出るなって言われてんのに?」

「ああ、俺は信長様を守ることが使命なんだ。信長様に来るなって言われても俺は行く」

「……わかった。今回は俺の隊の一員として参戦しろ。信長様には手柄を立てて許して貰え」

「!! 感謝する!!」

「言っとくけど、俺は信長様に怒られるのは御免だからな!!」

「ああ、わかってるよ」

「ほら! さっさと行くぞ!!」

「ああ!!」

 利家が槍を肩にかけ、馬に飛び乗る。晴れ晴れ、とまでは言わないけど利家の顔には笑みが戻っていた。


 清洲城・城門前。俺の4つの隊が整列している。利家は彦三郎の隊の30人を率いることになった。

「来たか、大助」

 信長が森可成、池田恒興、木下藤吉郎の3人を連れて清洲城内から出てきた。

「信長様!! なんで3人だけ?」

「俺の兵は熱田神宮に集結させている。俺たちも今からそこへ向かう」

「了解です」

「いや。大助、お前だけは別行動だ」

「は?」

「お前は上忍だろ? その腕を見込んで頼みがある」

「なんでしょう?」

「義元本陣の位置、兵力、陣形などを偵察してこい。期限は正午、場所は善照寺砦だ。いいな?」

 なかなかハードな任務だ。時間4時間ほどしかない。ぜんぜん足りない。

「伊賀の上忍は高くつきますよ!!」

「構わん!! いけっ!!」

「了解ッ!! この隊は常道に任せる」

「御意」


 雨が降り始め、山道がぬかるんでいる。だがこういう時の走り方も、ちゃんと習った。さらにスピードを上げる。

 はたして義元はどこにいるんだろう。桶狭間の戦いというくらいだから桶狭間っていう所にいるんだろうが……俺には桶狭間がどこなのかさっぱりわからない!!

 お!あんなところに家が……ちょっと聞いてみよう。

「朝早くにすみません!! 桶狭間という場所がどこか知りませんか?」

「あらあら、兵士さん? こんな朝早くから大変ねえ。今川との戦?」

「え? はい。そうです。それでおけは……」

「駿府の今川って言うと大大名だからねえ」

 今はおばあさんの井戸端会議に付き合ってる暇はないんだよ!!

「あの! 桶狭間っていう場所のことを!!」

「ああ、桶狭間? たしかあのちょっと奥に見える丘が桶狭間山のはずだけど……」

「ありがとうございます!!」

 大声の感謝の言葉で強引に話を終わらせ駆け出す。ちょっと泥が飛んだかもしれない。申し訳ない。


 そして全力ダッシュで30分ほどで桶狭間山に到着した。

「だ、誰もいねえ……?」

 桶狭間山は今川軍どころか人、それどころか嵐のため獣すらいない。

「どういうことだ? 桶狭間の戦いって桶狭間で起きたんじゃないのか? いや、これが桶狭間の戦いじゃないとか? いや、そんなことないはずだ。どういうことだ? 他に桶狭間があるとか? いや、そんな偶然あるわけがない」

 様々な考えがよぎり、それを片っ端から否定する。

「この近くを探してみるしかないか」

 この周辺は山&窪地&湿地と探しづらい場所だ。なるべく時間をかけないようにしなくては。

 

 雨で視界が悪い中、周りよりさらに一段低い窪地、木に囲まれた場所にそれはあった。

「見つけた。今川義元の本陣!!」

 黒い丸に白い線が二本入った今川の旗印。

「兵数は6000といったところか。だが戦闘していない部隊っていうだけあって大した連中じゃないな。なのに多くの家臣が揃ってる、好都合だ」

 これからここを奇襲するなら今川の上位陣は皆殺しにできるだろう。だが奇襲するときに障害になりそうなのがいるな。松井宗信、岡部直定、井伊直盛この3人は特に腕が立ちそうだ。今のうちに……

「殺すか……」

 暗殺は忍者の得意分野。なるべく音を立てないように銃は使わないほうがいいだろう。

 

 気配を消す。この状態で俺を見つけられる奴はそうそういないはずだ。

 最速の忍び足で本陣に突入する。毒の吹き矢で一人目、岡部直定を討ち取った。

(次ッ!!)

 短刀で松井定信の首を掻き切った。

「な? 殿!?」

「何者だ?」

「誰にやられた?」

 大丈夫。まだバレてない。

(最後、井伊直盛。)

 後ろから刀で首を……

 カキンッ!!

(は? 防がれた!? 完全な死角からの攻撃だったはずだ)

「賊、殺気が出ていたぞ」

「お前、なにもんだよ? ただの武士じゃねえな」

「しがない田舎武士さ。ただうちの里にそういうのが得意な奴がいるんだ」

「そうかよ!! だが二度は防げねぇぜ?」

「どうかな? お前ら、囲え!! 井伊直盛!! 参る!!」

「「おおおぉぉぉ!! 直盛様ーー!!」」

 16人の兵士と直盛が連携して攻撃を仕掛けてくる。さすがに分が悪いな。仕方ない、銃を使うか。

「む、貴様。銃使いか」

「ああ、リボルバーを持った俺はおそらく……戦国最強だ」

「ほう、楽しみだ」


 右手に刀、左手にリボルバー。かつて丹波と戦った時の俺の装備。つまり、本気だ。

「シッ!!」

 刀を振り、3人の首を跳ね飛ばす。続いてリボルバーで後ろから来た奴の脳天を撃ちぬいた。

「私が手塩にかけて育てた部下をそんな雑に殺されるのは不愉快だな!!」

 そう言いながら刀を振るってくる直盛。それを受けながら叫び返す。

「知るか!! これが戦だ!!」

「その通りだ!!」

 わかってんのかい!!

 右手の刀で直盛を相手にしながら左手で忍術を発動させる。

「火遁ッ!!」

「おわっ!?」

「こいつ!?」

「何をした!?」

「お前、草の者か?」

「ピンポーン」

 

「はァ、はァ……」

「よく頑張ったな。私の16人の家臣もみな殺されてしまった」

「はァ、はァ……」

「そのみなの仇を私が討つ」

「……」

「最期に、言い遺すことはあるか?」

「俺は死なねえよ」

「ほう? その前身傷だらけでどうするつもりだ?」

「こうするんだよ!!」

 俺は煙玉をたたきつける。煙がこの近辺を覆い、俺の体を隠す。

「また会おうぜ!! 井伊直盛!!」

 つい負けキャラみたいな台詞を言っちまった。

 とっさに今川の旗を持ち、笠兜をかぶる。こうして敵に紛れ、俺は今川本陣を脱出した。





 





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