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【50万PV突破】 戦国の世の銃使い《ガンマスター》  作者: じょん兵衛
第一部 2章 『尾張統一と桶狭間』
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第52話 浮野の戦い (5)

 俺は軍に先頭を馬でかける。そのわずか後ろに彦三郎と大吾が馬で追いかける形だ。


「我が主、すごいですね。こんな高い士気なかなかありませんよ」

「だろ?でも正直、結構不安だったんだよね。うまくいってよかったよ」

「がははは!さすが殿だ!なんか気分が高揚していると言うんかな?とにかくすごいぞ!!」


 彦三郎と大吾の2人も絶賛だ。


「殿は前世が詐欺師だったんでしょう」


 って急に失礼だな!!俺の前世は普通の銃オタクサラリーマンだよ。



「接敵します!!」


 敵軍は俺たちが突撃を開始したのを見て慌てて突撃を開始している。同じ棘のような陣が2つ、真正面から激突する。


「殿!!下がっとき!!」

「いや!俺に任せろ!!」


 彦三郎と大吾が前に出たところを俺が止め、再び俺が先頭に立つ。そして刀を抜き、構えた。


「先頭の奴が大将だ!!」

「殺せぇぇ!!」


 何か叫んでいた敵先頭の重装備の兵を2人纏めて薙ぎ払う。


「やっぱ“一之太刀”にはならないな」


 やっぱ一之太刀って難しいんだよな。出来たことはあるから筋力が足りないとかいうわけじゃないと思うんだけど。でも速さが出ないんだよな。剣の技術も足りないんだろうけど。っていうか出来たのってブチギレてたときと、3対1の戦闘でゾーンに入ってた時の2回のみ。まあもっと練習を……


「そんなこと言ってるー」

「場合じゃねぇ!!」


 彦三郎と大吾が俺の援護に入る。


「ないす」

「「よそ見してんじゃねー!!」」

「……すまん」



 敵は先頭が崩れ、勢いが落ちた。逆にこっちは勢いが落ちず、敵の海の中を突き進んでいく。


「やはり敵は多いですね」

「ああ、少なく見積もっても900ほど、それでも俺たちの1.5倍だ」

「どのくらいで抜けれるでしょうか?」

「そうだな、天弥!!」

「お呼びっすか」

「この敵がどこまで続いてるか見て来い」

「了解っす!」

「氷雨!!」

「何?あるじ様」

「一応、中央と右翼の戦場を見ていてくれ。何か思うところがあったら報告に来い」

「ん、任せて」


 天弥と氷雨が命令を受け、戦場の中をかけていく。



 突撃開始してから1時間が経った頃、俺たちの突撃した時の勢いは完全に失われていた。


「やっぱ、数の差はデケェな。いくら斬ってもキリがねえ」

「ですね、ですがもうそろそろ抜けても良い頃だと思うのですが」

「おっ、あれはこの軍の大将の山内盛豊の隊じゃねえか?」


 俺が旗印を指差して言うと彦三郎が冷静に返してくれる。


「そのようですね。あそこだけ明らかに守備が堅い」

「よし、じゃあ大将討ち取って士気を上げ直すか!」

「そうですね、では大吾を待って……」

「いや、今すぐ行くぞ」

「は!?いや無理ですって!せめて後ろの私の部隊が集まるまで……」

「いや、俺1人で行くから大丈夫。彦三郎はここでできるだけ兵をまとめておいて」

「行かせられませんよ!!犬死になります!!」

「いや余裕だって。あのくらい」


 俺にかかればちょっと高くジャンプしてリボルバーで一撃だろう。


「私は亡き奥様にあなたのことを頼まれているんです!!こんなとこで死なせられません!!」

「だから!!なんで俺が負けると思ってんの!?俺、特別上忍なんだけど!!忍びからしたらあのくらいなんの問題もないの!!わかったらここで兵を纏めとけ!!」


 俺が怒鳴りつけると彦三郎は驚いた顔をして、


「しょ、承知しました……」


 と小さく答えた。

 俺はその答えに「よし」とだけ言って、高めにジャンプする。そして中心にいた立派な鎧を装備した男に向けてリボルバーを発砲する。

 パァァァーーーン!!

 俺の弾丸は男の脳天を貫き、男は馬から落ちた。

 俺はそこに着地し、首をとる。大将を討ち取ったら首を取らないと士気も上がらないし、褒美ももらえない。

 敵の兵士が俺を囲む。その反応は主に驚愕だ。


「な、なんだあいつ!?」

「何が起きた!?」

「火縄銃か?」


 そんなしょぼいのと一緒にすんな。こちとらリボルバーやぞ?


「ほう、権三を殺したのか?わしのお気に入りだったのじゃが」


 兵の囲いが一部開き、そこから今討ち取ったやつと同じ鎧を着た大男が出てくる。

 つーか権三?っていうかこいつらなんで大将討ち取られて平然としてんだよ?そこから導き出される結論は……


「影武者か!!」

「ご名答。わしが本当の山内盛豊じゃ!!」


 髭を撫で、そう大声で宣言する敵将。


「……クソっ。しくじった」


 こんなのに引っかかるなんて。囲まれて、刀や槍を向けられる。そして正面には馬に乗って矛を持つ大男。この状況は……はっきり言って問題なし。


「せっかく助かったんだから姿を見せなきゃいいのに」

「ほう、それはどう言う意味じゃ?」

「その言葉の通りさ。姿を見せなきゃ生き残れたかもしれないのに」

「ほう、それはこの状況でも貴様が勝つと?」

「ああ、結果は見えてる」

「舐めるでないぞ!!やれ!!こいつを殺せ!!」


 その言葉と同時に俺を囲んでいた兵は一斉に襲いかかってきた。


「お前らじゃ俺を殺せねぇよ!!」


 俺は懐中から焙烙火矢を取り出し、左右に一つずつ投げつける。

 わずか0.3秒後に左右で爆発が発生し、何人かの敵兵が吹き飛んだ。それとほぼ同時に俺は正面の敵に刀を振り、後ろの敵にリボルバーを撃ち込んだ。

 数秒後には15人ほどいたの敵兵は1人も居なくなっていた。


「わっはぁ!!確かに強いのう」


 個性的な笑い声だな。初めて聞いたぞ「わっはぁ!!」って。


「仕方ない。わしが直々に切り裂いてくれよう」

「へえ、一騎打ち?そんな老体で俺を相手できんのかな?」

「舐めるでないぞ!!この矛はわしに楯突くものを全て切り捨ててきた!!お前もその1人になるのじゃ!!」

「まあ頑張ってくれ。俺も急いでるからそろそろ話はやめにしよう」

「死に急いだか!!よかろう!!そんなに早く死にたければその望みを叶えてやろう!!」


 この一騎打ちで左翼の勝敗が決まる。山内盛豊VS坂井大助、開戦。

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