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【50万PV突破】 戦国の世の銃使い《ガンマスター》  作者: じょん兵衛
第一部 1章 『少年期千代松の修行編』
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第16話 再会と賊の正体

 翌日、俺は木下藤吉郎と剣聖を伴い信長に謁見しに来ていた。


「信長様、お久しぶりです」

「おお!千代松!久しぶりだな!元気にしてたか?」

「はい、おかげさまで。あの家にいた美少女には大変驚かされました」

「はっはっは!そうであろう?それで、今日は何の用じゃ?わざわざ尾張まで」

「信長様と我が父・坂井大膳が戦をすると風のうわさで聞きましたので」


 利家から聞いたことは黙っておこう。


「なるほど、それを止めに来たのか」


 信長は複雑そうな顔をしている。


「はい」

「だが、遅かったな」

「へ?」

「つい先日、坂井大膳と織田信友が尾張の守護・斯波義統を攻め殺した。その息子である斯波義銀から俺の所に救援要請が来ている」


 ああ、遅かった。この国の守護を攻め殺して、信長様に救援要請が来ているということはもはや戦は避けられぬだろう。どうしよう。


「だが、お前が実の父を大切に思っていることもわかっている。その気持ちは俺にもわかる。だがこの俺を裏切るつもりもない。だからここに来たのだろう?」

「はい」

「では千代松、こうしよう。お前はこれから清洲に行き、坂井大膳を説得する。そこで大膳が俺の配下につくというならば、当然戦はなくなる。どうだ?お前にしかできぬことだろう?」


 俺にあの父が説得できるだろうか?いや、やるしかない。そうしないと戦になってしまう。


「わかりました。そうすることにします」

「そうか。俺も坂井大膳との戦がなければ俺も信安との戦に集中できるしな。ではすぐにでも清洲へ向かえ。戦は近いからな。あ、清洲へ行ったらそのまま那古野港へ向かって伊賀へ戻れ。まだ修業が残っているだろう?こっちに戻って、陸路で返るよりそっちの方が早いだろう」

「はい、わかりました」



「それで後ろの老人はなぜここにいる?俺に会わせたいから連れてきたんだろ?」

「はい。この老人は剣聖を名乗る者です。道中、護衛をしてもらい、信長様に会いたいというので連れてきました。あの、剣聖様、挨拶していただけますか?」

「ほっほ。さすがに信長様に名も名乗らんのは失礼じゃろうて。儂は塚原卜伝つかはらぼくでん。巷では剣聖と呼ばれている者じゃ」


 名乗っても全然誰だか知らない。だが信長の表情の変化は劇的だった。


「なにっ?塚原卜伝だと?あの鹿島神流と天真正伝香取神道流を修め、鹿島新當流を開いた天才剣士!そんな者がなぜここに!?」

「駿河の義元にせがれに剣を教えてほしいと頼まれてのう。その寄り道じゃ」

「そ、そうか。短い間ではあるがこの尾張那古野を堪能してくだされ」

「お気遣い感謝いたしまする」



「それで、なぜお前はここにいる?猿」

「は、猿めが信長様から住めと命じられた家にいたところ、この坂井千代松殿が来られてここは俺の家で猿めを賊だとおっしゃられたのです」


 猿?猿って呼ばれてる戦国時代の有名人といえば…もしかしてこいつ、豊臣秀吉!?!?いや、そんなまさか。全然教科書と似てねえぞ。似てないなんてもんじゃねえ!面影まったくない!


「なるほどな。説明しなかったか?その家は俺が千代松に与えた家だ」

「なんと!?」

「千代松が伊賀に修行に行っているからお前の家が見つかるまで貸してやってただけだ」


 なるほどね。そういうことか。って言うか信長、ちゃんと説明しろよ。


「千代松も悪かったな。こいつは猿。俺の家来になりたいというのでこの前拾ってやったんだ。なかなか面白い奴だ。おい猿、千代松に殺されなくて良かったな。千代松からすればお前なんて瞬殺だろ?」

「撃ち殺される寸前でござったな」

「はっはっは、そうかそうか。剣聖よ、お前から見て千代松はどうだ?」

「ほっほ、四日市で一度手合わせしたが、とんでもないの一言に尽きる。その若さでそれほどの実力を兼ね備えている者など儂の弟子にもおらん。加えて戦いを見極める冷静さも持ち合わせておる。加えて忍者の技術まで習得したらもう手が付けられなくなるであろうな」

「はっはっは!そうかそうか!よかったな千代松!剣聖に認められる者などなかなかおらぬぞ!」


 信長は愉快そうだ。


「それもこれも師匠・橋本一巴や忍者の里の先生方、そしてその方たちとめぐり合わせてくれた信長様のおかげですよ」

「そうか、ところで銃の研究の方はどうじゃ?わざわざ伊賀にも工房を作らせたからには何か成果があったのであろうな」

「もちろんです。これを」


 俺は腰に装備していたハンドガンより一回り大きい火縄銃を手渡す。


「ほう、これは?」

「小型に改造した火縄銃です。小型にしたことで持ち運びがしやすくなりました。通常、火縄銃は鉄砲隊という形で運用しますが、そのサイズならば槍隊や弓隊に装備させておくことで、状況に応じて槍隊や弓隊を鉄砲隊に早変わりさせることが可能でしょう。また、銃身が短い故、近距離でも十分戦えるかと」

「なるほど」


 信長はしばらく銃を見つめた後、


「また素晴らしいものを作ったな!設計図はあるか?職人たちに大量生産させる」


 と褒めてくれた。設計図と見本の銃も渡しておいた。


「そういえば利家はどこですか?姿が見えませんが」

「ああ、あいつは謹慎中だ。お前に手紙を送ったり、ほかにも少し、な」

「そうですか。俺に手紙を送った件なら許してもらえると嬉しいです。俺は明日発つので今回は会えないので利家によろしくお願いします」

「おうよ。また3人で遊ぼう」

「はい!!」

「では千代松、頼んだぞ。伊賀に戻っても元気でな」

「はい信長様もお元気で。父のことはお任せを」

「ああ」


 こうして俺は信長と別れ家に帰る。家には木下藤吉郎(おそらくのちの豊臣秀吉だと思われる)と祈が向かい合っていた。祈の手には俺の渡した銃が握られている。そして二人は俺が返ってくると同時に、


「ご主人様!ご主人さまの家に賊が!!」

「千代松殿!何とかしてくだされ!!」


 ここからまた一波乱あるのだが、ここでは割愛しよう。






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