螺旋階段…お仕事編とその後
黒森 冬炎様の企画で参加させて頂いたものに話を追加しました。あの後気になった方もいたでしょう。ん?いないって!まあ。そんな貴方でも楽しく読めると思います。多分…ご意見があれば感想で!
寝坊した。早く起きて準備したつもりだったのだが。今、バスに向かって走っている。リアルな夢の後。変な感じだ‥‥‥。
‥‥‥ああ…間に合わなかった…次のバスでいいか。仕事は間に合う。そこに息を切らしてやってきた男性が、
「ああー間に合わなかった~」
と情けない顔をしている。私もきっとさっき同じ顔をしていたんだと思うと思わず笑ってしまった。
「失礼ですよね。すみません! 私も同じなのでつい」
「そうなんですか。 こんなに早い時間のお仕事なんですか?」
「今日は早番なんです」
次のバスが来るまでその男性と話した。
「私、看護師なんです。今日は早番での仕事だったんです」
「看護師さんだったんですね! 素晴らしいお仕事です。」
「‥‥‥まあ。実際は大変ですよ」
「貴方もこんなに早くにお仕事ですか?」
「そうなんですよ。結構遠くに行くんです。注文のあった部品の数を間違って少なく発注をしていたようだったのです、足りなくて困っていたようなのでこれから届けるんですよ」
と重そうなバックを持っていた。
「それ、重そうですね」
「数はありますが、軽い素材なので見た目ほど重くないですよ」
とにっこりと笑う笑顔はイケメンさんだ。
「どこの病院で務めているんですか?」
「えっと〇〇病院ですよ。通勤時間を短くしようと最近この辺に引っ越したんです。私、方向音痴で‥‥‥バス停を間違えてしまって‥‥‥それで今のバスに間に合わなかったんです」
「大丈夫ですよ。ここのバス本数多いので」
と男性は、話す。
「ほら、次のバス着ましたよ」
と一緒にバスに乗る。バスの中でも話をした。
「仕事も残業多くて‥‥‥」
と、しょぼくれている私を見て。
「あの‥‥‥良かったら今日の夜、一緒に食事しませんか?」
ええーとこれって‥‥‥
「あっ! 迷惑ですよね。急に‥‥‥」
「そんな事ないですよ! 私美味しいお店知っているんですよ。ここです」
と、名刺を見せる。その店の名前を見た男性が嬉しそうな顔をした?
「そこ。美味しいですよね。それじゃあ19時に待ち合わせましょう」
「はい!」
私は満面の笑顔で返事をする。
その後、男性はバスを降りていった。やったー! なかなかのイケメンさんに誘われた! 今日はこれで頑張れる! そうはいっても現場は嵐のように忙しい。7時からの仕事、これは夜勤さんの仕事のお手伝いって感じと今日の日勤、私達の仕事の準備。早番だから今日は早く帰れるという事はなく‥‥‥。緊急入院の連絡が入る。‥‥‥まあ。私の仕事もうすぐ終わりですよ。私が手を挙げるしかないじゃない‥‥‥。
「私が受けますよ」
「それじゃあ! 宜しく」
入院の準備をする。指示受けしてカルテに入力すれば後は何とかなる‥‥‥と思っていたら。
「患者お願いしまーす」
と外来看護師が来る。
「はーい」
と私は向かう。おや?
「ちょっと! 患者さん痙攣してるけど! どうなってるの!」
外来看護師が慌てる。
「ええ! 外で転倒して通報があった患者なんです。検査で特に異常は無いけど転倒だから様子見のはずなんですが‥‥‥」
「どう見ても何処か異常があるでしょう。脳外の先生に連絡してもらって!」
「はい! 外来の担当医に連絡します!」
と連絡を入れる。ストレチャーに乗せられた患者が落ちないように私は押さえる。
「‥‥‥はい!」
と外来看護師が電話を切ると、
「このまま放射線科に向かいます! 先生が連絡してくれました。造影MRIをするそうです!」
「了解! さあ。行きましょう!」
と外来看護師と向かう。
「ごめんなさい! そんなわけで私も、一緒に行って来ます!」
と病棟にいるスタッフにそう言って患者を移送する。
‥‥‥‥‥‥。
結局出血が見つかってそのまま緊急オペになった‥‥‥これじゃあ、待ち合わせ時間に間に合わないなあと溜息を吐く。オペ後の用意をしていると。
「帰ってくるのは遅いだろうから、カルテの記入が終わったら帰っていいよ」
と、言ってくれた師長さん。神に見えた。
「ありがとうございます。カルテ記入と指示受け出来る所までやっておきます」
「助かるよ」
そこから、頑張ったよ! 待ち合わせは19時何としても終わらねば!‥‥‥終わった!
時計は18時を回っている。急がねば!!
何とか間に合ったのかな? ぎりだと思うけど。あの時の男性が店の中にいる! 慌てて店に入る。
「すみません! お待たせして!」
「大丈夫ですよ。俺も今来た所だから」
「ここの親子丼美味しいですよね!」
「そうそう!」
楽しく2人で食べた。
「美味しそうに食べるんですね」
やだ! そんなにがっついて食べてたかな? 恥ずかしい‥‥‥。
会計をしようと財布を出すと、
「会計は済んでいるから、いいですよ」
「それじゃあ。お言葉に甘えて。御馳走様でした」
「嬉しいですよ。美味しいって言ってくれて」
にっこり笑う男性、やっぱりイケメンだわ。
「ここの店、俺の店でもあるんですよ」
ここって、そこそこ大きなビルなんですけど‥‥‥?
「このビルのオーナーなんです」
なんと! こんな事って‥‥‥。
(しっかりつかむんだよ)
夢で見たおじいさんの言葉を思い出す。これの事ですか? おじいさん‥‥‥。
「この後。一緒に夜景でも見ませんか?」
と彼に誘われる。
「はい! 喜んで」
それから、その彼とお付き合いする事となりました。彼は本当にとても良い人で。それから話は進んで、今は彼と結婚して幸せに暮らしています。仕事は‥‥‥
「君が仕事に誇りを持っているのは分かるよ。無理はしないで、辛くなったら辞めてもいいからね」
という事で仕事は続けています。私はこの仕事が好きなので続けて行こうと思っています。でも常勤では家の事が疎かになってしまうのでパートに変えてもらいました。えっ? あのおじいさんですか?
気になりますよね。あれから時々夢の中で会う事があるんです。その時の話の内容は内緒です!