61.魔王城への寄り道 2
魔王城に行くまでは休息も必要だ。
シヤが隠れていた洞窟の中は思いの外快適で、人の姿に戻ったストレもゆったりとしている。
この機会に、少しは他の連中とも心を開いてくれればいいのだが。
「えーと、ストレ? って竜人? 自在に変身したりするのは平気?」
「何故?」
「一人が持つ力を別の力に切り替えるのって、結構疲れることだと思うんだけど、あなた魔力は?」
「……?」
「ルシナ、ストレは竜と人の姿になるのに大した意識はしていない。魔力については、まだ試していない」
「アクセリとパナだけが彼女のことを知っているのは仕方ないことだけど、戦力になるの?」
「竜というだけで十分だ。ストレがいるだけでショートカットが可能になるのだからな。ルシナは不安か?」
「それはそうでしょ。アクセリの賢者としての力はよく分からないし、パナは戦えないし……」
魔王は取るに足らないが、悪に染まった勇者をどうにかするとなると、さすがのルシナも不安を抱えるしかないのだろう。
このPTの中で、誰よりも冷静で誰よりも心配している薬師だ。
一番守らなければならない薬師なのは、間違いない。
「ほえっ? アクセリさまとルシナちゃんが別れ話を……!?」
「「付き合ってもいないっ!」」
パナセは不思議な性格に加えて、黒騎士の言う変異の力が潜在している。
それだけにある程度放って置いても、何かしでかしてくれそうなので心配はしていない。
「……全く、パナセは可愛い奴だな」
「えへへ~それほどでも~」
「そういうわけだ、パナセは俺の後ろにいてくれればいいぞ。合成で作った麻痺草も今では治せるようになったのだろ?」
「えっへん! そうなのですよ。痺れっぱなしだと、アクセリさまは泣いたままになっちゃうのです! そんなアクセリさまを見続けて喜ぶのは、わたしだけなのです」
「喜ぶのか……?」
何て悪気の無い笑顔を見せて来るというのか。
こういうパナセを見ていると、ついつい可愛がりたくなってくる。
「はひゃうぅ~~! アクセリさみゃ~痛いれす、痛いれすよ~」
「ふにふにしてて、なかなか柔らかいな。パナセの頬っぺたは俺の為の癒しかもしれんな」
「はみゃぅぅ……アクセリさまのお役に立てるのですよぉぉ」
「そうだな、これからも頼む」
「ほへっ? 何か……アクセリさま、もう会えないのです?」
「どうしてそう思う?」
「何だかお別れのような気がしたのです……わたしのことを愛して下さるなら、お一人でどこかへ行っちゃ駄目ですよ? 行くときは一緒に行くのです!」
そういうつもりは無かったが、こういう愉快な時のパナセでも、妙に勘を鋭くさせるようだ。
「……分かっているよ。誰も死なせるつもりはない」
「アクセリさまっ!」
「……ん?」




