子リスになったシオリちゃん 〜こたえはドコにいった?〜
ある日、シオリちゃんは子リスになりました。
子リスのシオリちゃんは木の上にあるお家に住んでいます。
台所にリビング、ベットに勉強机もあります。
子リスのシオリちゃんは、どんぐりの椅子がお気に入り。
上手に上に乗ってユラユラ、ゆらゆら
大きな尻尾と小さなお手てでバランスとってゆらゆら、ユラユラ
時々リスのママから宿題は?と聞かれた時には「うーん」といって生返事。
宿題できたらオヤツだからと言われた時には、大きな声で「はーい」と言ってお勉強。
でもね、
しばらくすると勉強机でユラユラ、ゆらゆら
ノートの文字もゆらゆら、ユラユラ
書いた答えも一緒に踊って
あっと思ったら文字が何処かに逃げちゃった
子リスのシオリちゃんは答えを探して回ります。
部屋の中をクルクル、くるくる
引き出しの中かな?
冷蔵庫の中かな?
机の下かな?
天井かな?
家の外にあるのかな?
家の外を探していると、イヌのお巡りさんが来て言いました。
「どうしたの?子リスのシオリちゃん?ワンワン」
子リスのシオリちゃんがカクカクシカジカ説明するとイヌのお巡りさんは「よしわかったワン」と言って、一緒に答えを探し始めました。
「きっと、答えは広場にあるよ。ワンワン」
イヌのお巡りさんは言いました。
子リスのシオリちゃんは広場がどこか分かりません。
「そこをまっすぐ言って、曲がったところだワン」
子リスのシオリちゃんはまっすぐ行って曲がってみました。
「あぁ、違う違う曲がりすぎだワン」
子リスのシオリちゃんは曲がりすぎました。
(曲がりすぎって、どれぐらい曲がればいいか言わなかったじゃない!)
子リスのシオリちゃんは泣きそうな顔で思いました。
でも、しばらくすると、いつもとはちょっと違った森の香で落ち着きます。
子リスのシオリちゃんは、今度からはどれぐらい曲がればいいか聞こうと思いました。
子リスのシオリちゃんが曲がりすぎた先にはキリンのおばさんがいました。
「どうしたの?子リスのシオリちゃん?キリンキリン」
子リスのシオリちゃんはカクカクシカジカ説明すると、キリンのおばさんは「わかったわキリン」と言って一緒に答えを探し始めました。
「きっと、答えはテッペン杉のテッペンにあるわ。キリンキリン」
キリンのおばさんは言いました。
子リスのシオリちゃんはテッペン杉がどれかわかりません。
「目の前の木の右から3つ目だわキリン」
「曲がらない?」
「曲がらないわキリン」
子リスのシオリちゃんは曲がらず、右から3つ目の木を登ってみました。
「あぁ、違それは2つ目だわキリン」
子リスのシオリちゃんは数え間違ってしまいました。
(低い木は数えないって言わなかったじゃない!)
子リスのシオリちゃんは泣きかけの顔で思いました。
でも、しばらくすると、いつもと違う景色の良さに落ち着きます。
子リスのシオリちゃんは、今度は間違えないように一つずつ一緒に数えようと思いました。
登った先には、コマドリのお姉さんがいました。
「どうしたの?子リスのシオリちゃん?ピピピピッ」
子リスのシオリちゃんはカクカクシカジカ説明すると、コマドリのお姉さんは「わかったわ。ピピピピッ」と言って一緒に答えを探し始めました。
「きっと答えは、池のそばにあるわ。ピピ」」
コマドリのお姉さんが言いました。
子リスのシオリちゃんは池がどこにあるかわかりません。
「お日様の方へ飛んで行った先よ。ピピピピッ」
「曲がらない?」
「曲がらないわ。ピピ」
「何番目の木まで?」
「池にたどり着くまで数えなくていいわ。ピピピピッ」
子リスのシオリちゃんは曲がらず、数えずにお日様の方へ飛ぶように走って行きました。
「あぁ、違う。それはお日様の登るほう。ピピッ」
子リスのシオリちゃんは間違えました。
(いつのお日様か言わなかったじゃない!)
子リスのシオリちゃんは泣きながら思いました。
言われた通りに走ってきたので、ココがドコか分かりません。
泣きながら、子リスのシオリちゃんは、今度はいつのお話なのか聞くようにしようと思いました。
しばらく、子リスのシオリちゃんが泣いているとリスのパパに会いました。心配で探しに来てくれたのでした。
「どうしたの?シオリちゃん?」
子リスのシオリちゃんは泣いていて説明できません。
リスのパパは「よしわかった」と言うと「一緒におやつを食べに行こう」とシオリちゃんと一緒に歩き始めました。
「きっと一緒に食べると美味しいよ」
リスのパパは言いました。
子リスのシオリちゃんはどこに行くのか分かりません。
「ほらもうすぐそこだ」
シートの上に置いてあるバスケットに入ったお菓子を指してそう言いました。
お菓子を食べた子リスのシオリちゃん
甘くて美味しいしいお菓子を食べました。
「心配したよ。でももう大丈夫。パパがちゃんと着いてるから」
リスのパパはそう言ってシオリちゃんの頭を撫でました。
「ママは?」
「大丈夫、家で待ってるよ。この辺りは森が険しいから、パパが来たんだよ」
怒ると怖いパパと一緒で、正直、放っておいて欲しかったシオリちゃん。
「ママが良かった」
「ごめんね、でもママはココまで来れないから」
しょうがないので、泣くのをやめて周りを見ると、とても景色がいいのに気づきました。
ポカポカ陽気の風がソヨソヨ吹いていて、気持ちがいいステキな場所でした。
子リスのシオリちゃんはこの場所が好きになりました。
でも今のままでは一人ではこれませんし、帰れません。
子リスのシオリちゃんは聞きました。
「ここはどこ?」
パパは言います。
「お菓子は美味しい?」
シオリちゃんは、もう一度聞きます。
「ここはどこ?」
パパはちょっと考えると言いました。
「家を出てお日様の方に歩いてきたよ」
子リスのシオリちゃんは聞きます。
「そのお日様はいつのお日様?」
パパはシオリちゃんを見ながら言いました。
「シオリが起きた頃だよ。朝、家を出て角を曲がったよ」
子リスのシオリちゃんは聞きます。
「何個目の角をどれぐらい曲がったところ?」
パパはシオリちゃんを見ながら言いました。
「3つ目の角を右に少し曲がったところだよ」
子リスのシオリちゃんは言いました。
「シオリが起きた頃に家を出て、日の出ている方に歩いて行って、3つ目の角を右に少し曲がればいいのね」
「そうだよ。よくできたね」
パパはうなずきながらシオリちゃんを褒めました。
今度は一人で来れそうです。
いつでもこの綺麗な景色を見られると思うと、子リスのシオリちゃんは嬉しくなりました。
「家に帰ろう」
二人は一緒に家に帰ります。
「どうしたの」
道を歩きながら、パパが聞くので、子リスのシオリちゃんはパパに今日何があったかカクカクシカジカ説明しました。
パパはウンウンとうなずきながら聞いていました。
「こんどは一人で来てみようと思うの」
「来れるかな?」
パパは少し不安そうです。
子リスのシオリちゃんは「来れるもん!」と背伸びしながら胸を張りました。
帰る途中でコマドリのお姉さんに会いました。
「どう?池にはたどり着いた?ピピピピッ」
子リスのシオリちゃんは言いました。
「池には行けなかったけど、大丈夫。ステキな場所を見つけたの」
コマドリのお姉さんはピピッと笑顔になると、良かったねと一緒に喜んでくれました。
シオリちゃんは大きな声で「いろいろ教えてくれて、ありがとう」といってコマドリのお姉さんと別れました。
パパも一緒に良かったねと言いながらシオリちゃんの頭を撫でました。
角まで来ると、パパが言いました。
「間違えないように、書いておこう」
パパは木の枝で、どの道から来たかを書きました。
子リスのシオリちゃんも、自分で大きく矢印を描きました。
と、そこにキリンのおばさんが現れました。
「シオリちゃん、ごめん、私背が高くて見えなかったわ。3本目の木じゃなくて4本目だったわ」
子リスのシオリちゃんは言いました。
「もう、大丈夫。折角教えてくれたのに、私の方こそ数え間違ってごめんなさい。次はよく聞いて間違えないから」
キリンのおばさんはキリンとシオリちゃんをみると、よかったわとホッとため息をつきました。
シオリちゃんは大きな声で、「ごめんなさい、ありがとう」といって、キリンのおばさんと別れました。
パパも一緒にお辞儀していました。
やがて、家の近くに来るとパパは言いました。
「道は覚えた?」
パパはなんだか心配そうに見ています。
「大丈夫、間違えたら戻ってくるから」
子リスのシオリちゃんは今度は背伸びせずに胸を張って答えました。
そんな時、今度はイヌのお巡りさんが慌てて飛び出てきました。
「シオリちゃん、答えを見つけたよ。教えてあげるよ」
子リスのシオリちゃんは、突然の言葉に驚きましたが、少し考えると敬礼しながらこう言いました。
「ありがとう。でも、自分で答えを見つけたいの」
イヌのお巡りさんはワン、と敬礼すると、困ったら声をかけてねと言いました。
シオリちゃんは大きな声で、「ありがとうございます」と言って別れました。
パパは少し離れたところで、お巡りさんにお礼を言っていました。
家の前に戻ったリスのパパと子リスのシオリちゃんは一緒に「ただいま」と言って家に入りました。
リスのママが「おかえり」とこたえました。
勉強机の上の問題は、シオリちゃんが自分で考えて、もう一度、答えを書きました。
そして、シオリちゃんは、パパとママから大きな丸を貰いました。
☆☆
子リスのシオリちゃんは思いました。
今度頑張って、一人であの景色が綺麗な場所へ行こうかな。
そして、その先にあるはずのもっと綺麗な場所にも行ってみよう。
きっと大丈夫、少しぐらい間違えても、もう一度戻ってやり直せばいいのだから――
おわり