時空漂流体ウラシマ
硝子体の旅人は
今日も今日とて旅をする
那由他の海を股に掛け
見果てぬ大地に胸焦がす
水面に揺蕩い、微睡めば
思い出すのは産業革命
空を見上げて海猫見れば
懐かしいのはライトフライヤー号
水面に揺蕩い、微睡めば
いつか夢見た黄金時代
空を見上げて雲見れば
忘れたいのはキノコ雲
がらんどうなその体に秘めるのは、
宇宙にも入りきらない壮大な物語
未来に夢見た双子の兄は、
宙の最果てで竜宮城を見る
月日でくすんだその体が護るのは、
五劫経っても色褪せない斬新な物語
過去を生きた双子の弟は、
年下の兄との昔話に花を咲かせる
「拝啓、今では無い何時かに住む君へ
私の今は君の過去であり、君の過去は私の今である
この時代の輝きは、君の時代でも観測できただろうか?
君達が望遠鏡を覗きこんだ時、
在りし日の星空に思いを馳せるのだろうか?
拝啓、今では無い何時かに住む君へ
私の未来は君の今であり、君の未来もまた私の未来である
君の生きている時代は、私のいる時代よりも輝いているだろうか?
未来の君達が望遠鏡を覗きこんだ時、
今の君達の放つ輝きに思いを馳せるのだろうか?」
硝子体の旅人は
今日も今日とて旅をする
那由他の海に別れ告げ
見果てぬ大地で「君」と会う
■詩を書くのはこれが初めてです。なので勝手も分からず、ただ真っ先に頭に浮かんできたイメージを綴りました。因みにこの詩は「A-B-B-C-C-D-D-A」方式を取っています。つまりどういうことかというと、一番目の段落と最後の段落は共通の文体で、二番目は三番目と、四番目は五番目と、そして六番目は七番目と、やはり同じスタイルで書いています。日本の詩にそういった形式が有るのかは分かりませんが、自分は取り敢えずこうやって段落をグループ分けしたほうがしっくりくるので、これからも(もし詩を書く事があったら)このスタイルを取っていくと思います。
■ここまで読んで下さり、真に有難うございました。感想・評価共に心よりお待ちしております。