脂肪売ります
ジムに入会する時、受付のかたから
「トレーニングをする励みになるように。」
と様々な仕掛けが用意されておりまして、その一つが
「ミッションをクリアするとご褒美があります。」
と言うものがありまして、
「自転車など有酸素マシンでどれだけ走ったのか?」
とか
「プールでどれだけ泳いだのか?」
とかある中で私が選びましたのは
【脂肪を1キロ減らすごとに商品券千円プレゼントします。】
と言うものでありました。その時はあまり気にも留めていなかったのでありましたが、入会後。初めてジムに足を踏み入れた日と言うのが金曜日。日頃肉体労働に従事している身としましては最も数値が落ちている曜日でありまして、しかも計測する時間が夜8時過ぎ。それまでの間、身体を持て余していたこともありまして自宅でスクワットを千回ほど……。この状況で計測してしまいまして……。
とは言え実際に量ってみますと自分の弱い箇所が如実に表れるものでありまして。特に胸や背中が平均値よりも低いことが分かったことは収穫。その後、イチからトレーニングの方法を学ぶことになるのでありましたが。問題は、ただでさえ数値が低いところに持ってきて、更に家で動いてきた後に計測した体脂肪を如何にして減らしていくのか。しかもその計測するのはジムに入ってすぐ。つまり運動する前の数値。初期設定は動き回ったあとの数値。
(……どうするべぇか……。)
でもジムのスタッフのかたの考えが正しいのだから……。と信じ、黙々と……続ける姿を見たスタッフのかたから
「頑張っていますね。」
と声を掛けられるも、
初期設定が初期設定であるため
(……そうするしかないんです……。)
と言う言葉を呑み込みながらリミットの2ヶ月後までにはなんとか……。
と続けていくのでありましたが。これがただ搾るだけでありましたら変な話。摂生をすればそれなりにはなるのではありますが、それをやったがために仕事に付いていくことが出来なくなってしまいましたらジムに通う意味がありませんので……。飲食に関しては
(……注意はするけれども……。)
時期も夏でありますので程度に留め、本当にジムでのトレーニング一本に絞り続けました結果。
【2.7キロ減】
これには注記しなければならないことがあるのでありまして……それは何かと言いますと、前日夜から減量中のボクサーのような生活を送っての。ジムの中では、まだトレーニングを始めていない数値ではありましたが……。
の数値マイナス2.7キロを見たスタッフのかたが、コンマ以下は切り捨てであることに加え、まだ期限が残っていることもありましてか。
「もう0.3キロ減らして3千円を目指しませんか?」
と言うごもっともなアドバイスを頂いたのでありましたが
(……死んじゃう……。)
の心の叫びを封印しつつ、コンマ7キロは寄付の形を採ることにしました。
この最初の2ヶ月の様子が様子でありましたこともありましてか。あとジムでのルール(有酸素マシンは30分。筋トレマシンは10回×3セット。セット間は1分程度)を守っていることもありますので。
(……この人は何を聞いても話さない人。)
と周りに思われていることは、トレーニングをする上では良いことなのではありますが。
(……やっていることは引きこもりとなんら変わっていない……。)
これは10キロのマラソン大会に出た現在も……。