走る人向けの情報番組
ジムに通い始める前は、自宅で自称自重トレーニングを行っていたのでありましたが、それと並行して行っていましたのが「ウォーキング」でありました。当初は普段着で歩いていたのでありましたが、時々通報を受けたでありましょう。お巡りさんと思しき出で立ちのかたが遠巻きにこちらの様子を伺われることがありましたので、それからはトレーニングウエアを身に纏いましてテクテク歩いていました。そんな時、よく目にしたのが道路を涼しい顔でジョギングされているかたがたでありました。試しに自分も走ってみようと試みるのでありましたが、
(……吉田大橋すら渡れない……。)
どうやったらあのように走ることが出来るのだろうか……。そんなことを思いながら歩いていたのでありましたが、似たような光景がハムスターマシンの上でも繰り広げられておりまして……。歩きながら横目で。もしくは動かない自転車やマシンを使いながら眺めていたのでありましたが。徐々に有酸素運動にも慣れ、もう少し負荷の強いものにも取り組んでみようかな?
と思い始めた時、有酸素マシンに備え付けられているテレビで目にしたのが某公共放送の走る人に向け発信している情報番組でありました。今でこそ、その番組は出演者の成長もあり、フルマラソンを3時間半を切るためには?など経験者向けの番組になってはおりますが、私が見始めた時はまだ初心者も初心者を対象にした番組でありました。そこで出演されています
……いつのまにか『元祖山の神』と称されることになられましたかたが、テレビの中で次のような意外なことを仰られておりました。
「別に途中で歩いても構いませんよ。」
学生時代。特に体育の授業や陸上はもとより、陸上以外の全ての部活動におきまして、こと走ることに関しての評価基準と言うものはただ一つでありまして、それは何かと言いますと勿論「タイム」。時間でありまして、速いものは尊まれ、遅いものは疎まれる。ただ苦しいだけ。歩くなんてもってのほか。と言うのが「走ることである。」としてこれまで生きてきたモノからしますと、目から鱗の言葉でありまして。続けて『元祖山の神』のかたが仰られたことは何であったのか?と言いますと
「その人その人のペースで大丈夫です。」
タイムが全てではない。その人その人に合った走りで問題ありません。
(……あぁそうなんだ……。なら今の脂肪を燃焼させるのに丁度良い脈拍数に合わせて走ってみることにしようか……。)
とテレビに乗せられました私は、自転車を漕ぎ終えた後、最初。ウォーキングに利用していましたハムスターマシンに再び足を延ばすのでありました。