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背広は重いが走りやすい

 年末年始となりますと仕事納めや仕事始めに絡めましての集まりと言うモノが全国各地で繰り広げられることになるのでありまして、私もその例に漏れることなく今年も無事。勤め先の会に参加する運びとなりました。で。その会が催された場所がホテルのパーティールーム。そうなりますと困ることになりますのが服装でありまして。勤め先の案内にはそんな畏まった格好でなくても。くだけた出で立ちで構いません。との有難い文言が記されているのでありましたが、平素。トレーニングウエア。仕事では作業服でほぼ1年を通している私にとりましては

(……そのくだけていい範囲がよくわからない……。)

で上司なりに相談しましたところ

「下がそれなりであればよいと思いますよ。」

と助言を頂きまして、そうしようかな……。と準備をしていましたところ、家で不意に手に取りました将棋雑誌の中に、とある作家のかたのコラム(今は連載されていません)が目に留まりまして、そこに記されていた内容は?と言いますと

「知り合いのご家族のかたの話で、そのかたの勤め先のお偉いさんの慶事を祝うパーティに、帰国して即であったこともありまして、ラフな出で立ちで会場に行ってしまったがため、その後。会社での居心地が悪くなり、最後辞めることになってしまった。それだけ服装。特に式典の場においては気を付けなければいけません。」

と言うことを将棋の棋士のかたがたの普段から行き届いている礼儀作法を思い浮かべながらその作家のかたが認められておりましたものを目にしてしまいまして……。

たとえくだけて居ても構いませんよ。と記されていましてもホテルと言う場所で開かれる催し物であることを勘案しまして、皆正装で参加する中、独りだけ略服で……。は松の廊下のようなことにもなりかねないな……。で結局私が選択したのは背広上下にネクタイと言う姿で会場へと向かうことにしたのでありましたが。その行き帰り。その日。自由に使える時間が限られていたこともありましたので、この移動の時間を使って有酸素運動をすることにしました。背広姿に革靴で。もちろんジョギングであります。最初。靴が馴染まないこと馴染まないこと。何処に足を置けばスムーズに進むのか全く持って掴むことが出来ない状態に加え、会場は風上。

(……バスに出会ったら飛び乗ろうか……。)

(……でもまだ集合時間には余裕があるのだから……。)

と慌てずにジョギングを続けることにしていく内に、

(……話題のミッドフット走法が革靴にも合うんだ……。)

と言うことがわかり、徐々にリズムが生まれ、無事。会場入りすることが出来たのでありましたが。一方、

(……これはフォームを固めるには最適なのかも?)

と思ったのが背広の上。でありまして、とにかく重くて窮屈極まりない服なのでありますが、その窮屈であることにより、無意識のうちに背筋は伸び、脇を締める格好になりまして……。その出で立ちのまま公園でジョギングする勇気はありませんが。

(……調整法の1つとしては……有りなのかもしれません……。)

で。会場入りしまして周りのかたがたの出で立ちは?

と言いますと、9割以上のかたが

「通勤時と同じ。もしくは通勤時よりもラフな格好で参加される。」

と言う……

(……ホテルの前で止められても文句を言ってはいけないよ。)

の格好で来場される。

そんなかたがたが多くいらっしゃる一方、

ホテルの。会社の。の時は。のかたがたは正装で来場される。

私の立場的にはラフな格好の側で全く持って問題無いのでありますが、


会場で会うかた会うかたに

「くだけていい基準がわからなかったんです。」

「皆が正装の中。僕だけがラフな格好は許されないけど、逆ならば間違いにはならないと思いましたので。」

の掴みに使うことが出来たことを思いますと


(……この選択で良かったかな……。)

そんな年末の一コマであります。

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