5話 家臣紹介だよ!全員集合!
少女に呼ばれたので返事をしてドアを開ける。
するとそこには妖精がいた。その正体は釣り用ドレスとは別のドレスを着た少女だ。
物凄く似合っている。どれぐらい似合っているかというと、街に巨乳派や彼氏持ちのゲイも含む100人が
いたとすればそれが全員振り返るぐらいだ。思わず見とれていると
「ふふふー、似合ってますか~?」
と嬉しそうな声で聞いてきた。その通りなのでこちらも笑顔で
「ああ、似合っているよ。」
というと、ただでさえ可愛い顔が満開の花のようにパァーっと笑顔になった。
うぐ、年齢=彼女いない歴には眩しすぎるっ!お前は俺に新たな属性を付与する気か!!
ふー、ふー、平常心平常心俺は巨乳派断じてロリコンではない!!!
見えない何かと戦っている俺を見て不安そうにしているので大丈夫だと伝えると
食堂に案内してくれた。
食堂もそれなりに豪勢なものだった。貴族とかだと使用人とかとご飯を食べない人もいそうだが、
少女大好き国王や家臣と思われる知らない人たちや使用人が揃って座っていて、
机の上には同じワインや料理が乗っているグラスと皿が置かれている。
流石異世界と言うべきか、俺や少女のグラスにもワインが入っている。
「では、ここに座ってくださいね」
眩しい少女の顔をなるべく見ないように、それでも失礼に思われないように振る舞うという微妙な
動きをしながら俺は指示された席に座った。というかここ真ん中じゃね?
俺が着席したのを見届けると、国王が家臣の紹介をしてくれた。
30歳ぐらいの女性が果樹栽培を担当しているエリー。
20歳ぐらいのさわやかな男性が漁業を担当しているアレク。
50歳ぐらいだが背筋のピンとしている人が財政を担当しているケビン。
20歳ぐらいの巨乳美女が国王を補佐しているカーラ。
40歳ぐらいの男性が外交を担当しているジョニー。
50歳ぐらいで筋骨隆々な渋いおじさまが治安維持や軍を担当しているゲルバルト。
だそうだ。
この6人は起立して一礼すると、着席した。
俺も名乗って一礼して着席した。ふー、メッチャ緊張した。なんせ使用人も全員が
こちらを見ていたのだ。よくやったぞ俺。
お互いの紹介が終わったところで国王が全員に起立を促し、グラスを掲げると、
「では、勇者様とエリカの釣果に、乾杯!」
というと、
「「「「「乾杯!!!」」」」」
と他の人たちが元気よく復唱して、食事に手を付け始めた。少女もノリノリだ。
あの釣果でここまでするのだろうか。そう思っていたため
小さな声で乾杯としか言えなかった俺はコミュニケーション能力が低いのだろうか。
いやいや、俺は慣れていないだけだと誰に対するでもない言い訳をしていると、
早速アレクが話しかけてきた。
「君が魔王を釣ってくれるっていう勇者かい?
にしても今日の釣果はすごいよな。
あの時間なら僕でも6匹釣るのが限界だよ。
それに面白い道具を使っていたようじゃないか。
ぜひそれを僕に見せてくれないか?」
俺は質問に一つ一つ答えていく。
「勇者何て大層な存在じゃないですよ。
今日の釣果は姫様の呑み込みが
早かっただけです。道具は
今ベランダで干しているんで
部屋まで来てもらえませんか?」
「まあそう謙遜しなくたっていいじゃないか。
じゃあ食事が終わればすぐにそちらに向かうよ。
あと敬語も丁寧語も使わなくて大丈夫だよ。」
「わかりま...わかった。」
俺は慌てて言い直す。
「うん、それがいいよ。」
アレクは笑顔を浮かべると、食事に手を付け始めた。
俺も食事に手を付けるが、いまいち物足りない気がする。原因はすぐにわかった。
コメがないのだ。食事の内容はキスの塩焼きとワカメのお吸い物とワインとミカンだけだ。
確かにうまいが、貴族の食事だとは思えない。あと塩焼きとお吸い物は醤油ではなくナンプラーを
使っているように思える。この国の人たちにも俺のためにも、この国の食糧事情は何とかしなければ
ならないな。
食事が終わり、食堂から出ていくと、後ろからアレクがついてきた。
「ほんとは一度部屋に帰ってから行こう
と思ったんだけどね。そちらの部屋まで
ついて行ってもいいかい?」
爽やかな笑顔でそう言われては断れない。苦笑しながら了解すると、ガッツポーズをしていた。
部屋に戻ってくると、ベランダに干してある竿を見せて、流石に実演はできないが
昼間少女にしたのと同じような説明をする。
最後にキラキラした目でどこで手に入れたのかを聞いてきたが、スキルだと説明すると、
一瞬がっかりしたがすぐに立ち直り、スキルは無理にしてもどうすればそのスキルで入手
出来るのかとしつこく聞いてきたのでお金が必要だと伝えると、猛ダッシュで自分の部屋へと
戻って行った。
口を開けたまま首をかしげていると、ダダダダダという物凄い音とともにアレクが帰ってきた。
するとポケットの中から5枚のミスリル貨を取り出すと、これで足りるかと聞いてきた。
足りるどころか多すぎるので一番いい投げ竿とリールと天秤の一番重いやつと仕掛けを購入し、
後のお金は返却した。
竿をケースから取り出してリールをセットして、先端に天秤をつけ、仕掛けを渡すと、
ちょっくら投げてくるといって飛び出していった。
その5秒後に何を思ったのか戻ってくると、俺の手に強引に4枚のミスリル貨を握らせ、
今度こそ飛び出していった。なんか廊下を走るなと小学生のようなことを怒鳴られていたような
気がするが。気のせいだということにしておこう。
それにしても嵐のような人だった。コンビニにいくような感覚で釣りに行ってよくそれで家臣が務まるな、と思っていたが、すぐに掌の中にあるミスリル貨の存在を思い出す。
どうしようかと迷っていると、タイミングよく大丈夫ですかという声とともに少女がやってきた。
これまでの経緯を説明すると、苦笑しながら、
「確かに私でもあの竿を見た瞬間身分も
忘れて飛び出していきそうでしたよ。
ミスリル貨はもらっておいてもよい
のではないでしょうか。」
といっていたが、流石にこんな大金は持っているだけでも怖いので、
使用人も含めて城内の希望者に竿を買ってあげることにした。
流石にあの竿を買うわけにも行かず、豪田釣具店も売り切れになるので、
アレクには悪いが、売ってあった竿を全部買って配った。
その結果、手元に残ったお金は金貨5枚となった。
俺がちゃっかり自分の分のシーバスロッドと投げ竿を買ってもその金額なので、
金貨3枚分で疑似餌や仕掛けを購入した。
アレク以外は暫く出てきません(笑)
なんで特に覚えてなくても大丈夫です。




