4話 ファザコンと親バカ
呼んでいただけると幸いです。
行き当たりばったりのため矛盾点などがあるかもしれません。
結局その日の釣果はキス15匹カレイ3匹だった。
午後(大体3時)から始めて夕日が沈むまででこれぐらいなら上出来だろう。
ちなみに他に釣っていた人はキスとカレイで3から5匹ぐらいだったように思える。
二人という点を除いてもかなりいい釣果であるということに変わりはないだろう。
道具とだと言われれば認めざるを得ないが、
やはり他人よりも釣果が多い時に感じる優越感はたまらない。
性格が悪い?素晴らしい個性だと言い直したまえ。
話が変わるが今日一番驚いたことは少女が纏っていたきらびやかな衣装を
ほとんど汚さずに釣りをしていたと言うことだ。本人によると、これは釣り用のドレスで汚れにくく出来ている上に、潮風に当たっても大丈夫な素材で
出来ているそうだ。
釣り用のドレスってなんだよ。
そう思いつつ天秤と仕掛けが入っていた袋に仕掛けのカスと魚を入れる。
クーラーボックスがあればいいのだが、後先考えずに買ったせいでもう銀貨一枚ぐらいのお金しかない。
おかげで袋はパンパンだ。破れないように気をつけながら、少女と話しつつ来た道を戻っていく。
城に帰ると、最初召喚された時は喋らなかった国王が
入り口で待っていた。そして低めの声だか耳に残る
声でこういった。
「エリカと異世界の者よ。魚は釣れたか?」
俺がその威圧感に押されて敬語で報告しようとする前に少女か口を開いた。
「うん、沢山釣れたよ、パパ!!」
ファザコンかよっ!!と叫びたくなるが、それをじっとこらえる。少女の年齢は見た目的には
地球では調度反抗期に入るかどうかぐらいの年齢だが、異世界に反抗期という概念が存在しないのだろう。それでも《パパ》はやりすぎな気がするが。
「おお、よかーったなーエリカ(ナデナデ)じゃない、人前でパパと呼んではいけないと
言っただろうに...」
「うん、ごめんね、パパ!」
「だからパパって呼んじゃ駄目だって...ああ、そんな目をしないでくれ、
ごめん、パパが悪かったからぁぁぁ!!」
——————何時になったら終わるんだコレ。
とりあえず魚だけ渡して竿でも洗うか。
「あ、あの...今日の釣果はこれでキスが15匹とカレイが3匹です。では竿でも洗ってきますね。」
おずおずと聞いてみると
「竿ならばそこをまっすぐ行って左に曲がったところで洗うとよい」
と一瞬だけ王様モードに戻って場所を教えてくれた。礼を言うとまたすぐに少女といちゃつき(?)
始めた。切り替えはえーなオイ。
教えて貰った場所につくとそこには井戸があった。
その場所にいたメイドさんに断りを入れてから水を汲み上げ、置いてあった桶に入れた後、
天秤と仕掛けを外し、キャップとリールと竿尻も外した。天秤と仕掛けと竿尻は水につけておく。
竿も水につけて伸ばしたり縮めたりしながら洗っていく。リールは水につけると油が出ていくのでさらっと
流すだけにしておく。
しばらくして天秤と仕掛けを水から取り出して、拭くのに使うタオルを探しているとメイドさんが
持ってきてくれた。感謝しつつ天秤と仕掛けの針の部分以外を拭き、天秤はそのまま、仕掛けは
もともと入っていたものに入れてからそれぞれポケットに入れる。
竿を拭こうとした時に後ろから足音がするので振り返ってみると、イチャイチャ(?)し終えた少女が
来ていた。
「すいません、遅くなってしまって...あ、私も手伝います」
「いいっていいって。それよりも、これを拭き終わった後にどこかに干したいんだが、
どこか干せる場所はないのか?」
「勇者様には2階に個室が用意されているので、そこのベランダではどうですか?私たちが預かると
壊してしまいそうなので...」
うわ、俺ってば今日泊まる場所のことも考えてなかったな。あと勇者呼びはやめてほしい。
「勇者様じゃなくて庄司だ。では、ありがたくそこを使わせてもらうことにするよ。」
「では、案内しますね。食事ができたら私がお呼びしますのでそれまでくつろいでおいてください。」
すぐにどこからともなく現れたメイドさんが竿をお持ちしましょうかと聞いてきたが断っておいた。
というかいくら俺が勇者(?)でもわざわざ姫が迎えに来なくてもいいと思うんだが。
それこそメイドさんを使えばいいだろうに。まあいい、部屋についたら竿でも干しときますか。
案内された部屋は予想以上に広かった。20畳ぐらいだろうと思っていたが、軽く50畳ぐらいある。
家具もなかなか豪華だ。くつろげる気がしない。
ベランダもそれなりの広さだった。2階なので眺めはあまりよくないが、それでも
釣りに行くときには通らなかった城下町的なものが見渡せる。
5分ほど眺めを堪能してから竿を干す。今日は晴れていたし、明日までには乾くだろう。
それから中に戻ってボーっとしていたが、落ち着かないので、スキルでも見てみることにした。
使えるスキルは<鑑定>と<豪田釣具店>だけだ。<金の泉>の使用条件を確認すると、
≪明日の午前零時になる≫と書かれてあった。ほかのスキルの使用条件を確認したり、
鑑定をかけたりしていると結構な時間がたっていたらしく、
「庄司さん、お食事が出来ました!」
と少女の元気な声がドア越しに聞こえてきた。




