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3話 不敬罪?なにそれ美味しいの?

今日は短めです。

明日は多分更新できません。

 

 城を出ると、そこには一面の海が

 広がっていた。奥の方に大陸っぽい

 ところが見えることを考えると、


「ここは島ね。把握把握っと。

 砂丘がありそうだな。」


 ここで地球のネタを出しても、

 理解してくれる人はいない。

 少女は首をかしげている。


 庄司はもうここは地球ではないのか、

 と哀愁を感じていたが、

 彼は気づいていない。

 そう、砂丘は鳥取にあるのだ。

 断じて島根ではない。


 城が建っている丘を降りて

 海岸線を目指すこと数分、

 目的地の砂浜についた。


 釣り人は10人ほどいる。

 離島とはいえ、王城がある場所なので、

 それなりの人は住んでいるのだろう。

 みんなオモリを手に持って投げている。

 投げるときに手に刺さらないのだろうか。

 そう思い少女に聞いてみると、


「ああ、小さいときに何度も

 やらかしましたね。

 最初のは痛かったなぁ...」


 と遠い目をして言った。


「まあ、そのうち慣れますって。」


 全身の力を使って投げたオモリに

 先導された針が体に突き刺さることに

 慣れれる気がしないのだが。

 まあ、俺はそんなものに慣れる必要はない。


 少し歩くと、釣り人と釣り人との間隔が

 12メートルほど離れている場所についた。

 ここならば竿を2本出しても大丈夫だろう。


「ここの間に入ってもよろしいでしょうか?」


 少女は前にいた釣り人二人に聞く。


「ああ、いつもの嬢ちゃんさね。

 今日は逢引かえ?」


「おお、いいぞ。お互い頑張ろうな。」


 60歳ぐらいに見えるおばちゃんと

 20歳ぐらいの男性がそれぞれ

 肯定の意思を伝える。


 よかった。二人とも敬語は

 使っていないみたいだ。


 ち、違いますよぉ!

 と必死に弁明する少女を

 温かい目で見ながら(庄司は

 自分も当事者だという事に気づいていない)

 心の中ではものすごくほっとしていた。


 俺は少女を最初に見たときは

 超絶機嫌ハイパー斜めだったので

 タメ口だったが、王女様だと聞いた時には

 内心焦っていた。だが、身分を知ってから

 態度を変えるとそんな人間だと思われそう

 なのでで変えなかった。

 変えるタイミングを逃したともいう。


 この二人が敬語を使っていれば俺も直そう、

 と思っていたが、どうやらその決意は

 無駄だったようだ。これからも

 ジャンジャンタメってやるぜ。


 

 え?不敬罪?なにそれ美味しいの?



「この道具はどのようにして使うの

 ですか...って聞いてますか?おーい」


 少女は俺の目の前で手を必死にぶんぶん

 動かしながらそう言った。黙りこくって

 しまっいたようだ。すぐに振り出し竿の

 使い方を手とり足とり教えた。

 一通り教え終えると、天秤と仕掛けをつける

 (この時も驚いていた)。サルカンに

 興奮する人は初めて見たぞ。

 冗談はさておき、針にアオイソメをつけると、


「それでは投げてみますね。えーい」


 少女の可愛らしい掛け声とともに、

 シュルルと仕掛けが風をきって飛んでいった。

 ドボンという音とともに着水する。

 周りの釣り人達が目を見開く。

 

 それもそのはず、飛距離が最初に

 投げていた人の1.5倍ぐらいあるのだ。


 少女に続けて俺も投げると、

 少女よりも10メートルぐらい奥に着水した。

 少女はorzポーズで飛距離で負けたことに

 凹んでいたが、俺とて振り出し竿歴10分の

 少女に負けるわけにはいけないのだ。こ

 っちには10年のキャリアがあるからな。


 大人げないといいたければいくらでも言え。

 否定はしないがな!


 10秒ほどでorzポーズから立ち直った

 少女は思いっきり竿を地面に突き刺そうとする。

 俺はそれを慌ててとめると、

 <豪田釣具店>で1000円の三脚を一つと

 50円の鈴を二個購入する。


「これは、こうやって使うんだ。」


 三脚を広げ、その上に竿を置き、鈴をつける。


「よし、あとは待つだけだな。

 鈴がなればアタリだぞ」


 といい終わると同時にチリンチリン、

 という可愛らしい音が鳴った。

 これは...俺の竿だな。

 だが、少女にやらせてみたほうが

 いいだろう。


「よし、アタリだぞ。鈴を外してあわせろ。

 あわせた後はそのハンドルを巻くんだ。」


「でもこれは庄司さんの竿...

 いえ、頑張らせていただきます!」


 最初は渋っていたが、

 俺の笑顔で察したようだ。

 少女は鈴を外して竿を立て、

 思い切り引っ張った。

 竿先を見てみると、

 ブルブルと震えている。

 これはいいサイズだろう。

 しばらく巻くと、海の中から

 白く輝く魚が近寄ってきた。



 ―――――キスだ。


 少女は満面の笑みで釣ったキスを

 眺めている。にしても大きいな。

 一尺はないだろうが、27cmはある。

 俺も少女の笑みと予想外の大きさに

 釣られ、口元が緩んでしまった。


「よくやったな。大物だぞ。」


「こんなに大きいのは久しぶり

 です...やった!」


 釣れた喜びで気付かなかったが、

 もう片方の竿についた鈴も鳴っている。


「このキスは俺が外しておく。

 もう一本のほうも姫様が上げろ。」


 今日は忙しくなりそうだ。




サルカン…糸と糸を接続する金具

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