30話 撃墜王
あれ...何でだろ...節分が終わってからテレビ画面にヒビが入っている...
そう言えば100発ほどぶち込んだのにinde○dの人はピンピンしてたな。
液晶を盾に使ったか。おのれ!孔明!
そういえばinde○dのCM変わりましたね。
※この前書きはフィクションです。実在の企業・個人とは全く関係ありません。
俺2切れしか食べれなかった...
「まあ、そんなこともあるさ」
とアレク。
「お前のせいだろうがよおおおおおっ!」
俺の叫びは海を震わせ、のびのびと飛んでいた
海鳥が数羽墜落してしまった。
実際にはバランスを崩しただけだが、そうなって
然るべき怒りを抱いていたことに変わりはないだろう。
その後すぐにアレクに腹パンした。
「ぐふッ!...しょうゆが美味し過ぎるのがいけないんだよ」
腹パンした。
Mの人が俺にもやってくれと言ってきた。
「わかった」
助走をつけて...
突き飛ばすっ!
バッシャーン
Mの人は波の奥へと消えていった。
冗談はさておき、浮き輪的なアレを投げて救助する。
ガリムとは違ってしっかりと浮き輪を掴んできた。
・・・息が荒いな。流石にやり過ぎたか。
「ハア、ハア...ハアッ!アーンッ!」
喘いでいるだけだった。
もう一度突き飛ばそうとしたところで、
アレクに止められる。
あー、流石にやり過ぎか。
「ちっちっちー」
アレクは芝居がかった動作で顔の前で人差し指を
左右に振る。
そして一歩下がって...
「どっせいっ!」
ヒューン
バッシャアアアアンッ!
「こうだよ」
なるほど、こうやって突き飛ばすとよく飛ぶ
のか。勉強になるな。
「・・・ならねえよッ!」
庄司は叫んだ!
アレクはどや顔だ!
してやったりと顔に書いてある!
Mの人が戻って来た。
また喘いでいたけど面倒くさかったので誰も
相手にしなかった。
Mの人はちょっぴりだけ寂しそうな顔をしていた。
それからは、ワイワイガヤガヤ。
みんなで食糧を確保することにした。
一晩航行していて陸地についていないことや、
ガリムのことは各々のタイミングでハッと
気付いていたが、場の雰囲気を悪くするまいと
何も言わなかった。
「そういや一晩走ってまだ陸地モゴッ!」
アレクを除いて。
アレクは全員からのつららのような視線を喰らいながら
俺に口を塞がれていた。
その後暫く俺に口を聞かなかった。
子供かよ。
結局釣りは3時間ほど続けられ、
釣果はカサゴ26匹、ソイ11匹、アジ47匹だった。
アジが一時回遊してきてどんちゃん騒ぎになった。
漂流だなんて普通なら主人公豹変一直線なものだが、
不幸中の幸いは餌がなくなるとすぐに<金の泉>で
沸いた金を使って<豪田釣具店>で購入できたこと
だった。
なにそれずるい、と皆から言われたので合わせて600
ポイントだと言うと顔を青ざめていた。
しかし、『魔闘魚を食べる』と『漂流』、
『ガリムの件』はそこそこの経験だったらしく、全員が
出港前に比べて120ポイント獲得していた。
そして俺以外の全員が<金の泉>を購入した。
レアスキルらしく今までは選べなかったが、
今回出てきたので取得したらしい。
ガリムのお陰でレアスキルが取れるとは、
なんとも皮肉なものだ。
そうこうしていると、お昼時になったので昼食だ。
全ての魚の内で大きいもの(カサゴ3、アジ5、
ソイ1)を刺身に、
カサゴ10匹とアジ15匹とソイ5匹を素揚げに、
カサゴ13匹とソイ5匹を吸い物に、
アジを10匹塩焼きに、
最後に残ったアジ17匹に
塩を塗りたくって船にロープを張り、そこに
干して保存食にすることにした。
疲れた後の飯はうまかった。
アジを干していると、
海鳥が寄ってくるのでバリスタで撃ち落とす。
え?そんなもんあったかって?
まあ、存在を忘れられてたからな。
今まで出番もなかったし。
ちなみにこの海鳥は美味しいやつらしい。
しかしバリスタは便利だ。
ロープがついているので撃った鳥は直ぐに
回収できるし、矢の再利用もできる。
両舷に設置されたバリスタはこれまで5匹の
海鳥を落としている。落としたものは
血抜きをして置いてある。
抜いた血も栄養たっぷりらしいから、
樽に入れてある。水分補給にもなるしな。
若干嫌悪感はあるけど、一口飲むと
喉が潤って思考がクリアになったので
そんなものは吹き飛んだ。
そしてそのバリスタを撃っているのは俺だ。
この一週間の間に射撃訓練もしていたので、
射角ギリギリ(完全に上には撃てない)まで引き寄せて、
若干の余裕を持って...
パヒュンッ!
ちっ、外したか。
俺が放った矢はロープの尾を引きながら馬鹿正直に
真っすぐ飛んで行った。
命中率は3割ほど。
第一防衛ラインを突破した海鳥は急降下して...
「ヒャッハー!」
世紀末の人に追い払われた。
これが第二防衛ライン。
この二つをすり抜けた玄人(?)達だけが
アジの元へとありつける。
今のところ被害は2匹のみだ。
最終的に日が暮れるまでに14羽を撃墜した
ので、釣り午後の部は行われなかった。
というか忙しくて釣りどころではなかった。
第二防衛ラインは交代制だが、第一防衛ラインの
俺は日中ずっとだ。もうヘトヘトで、日が暮れる前には
撃墜率は1割ほどまで落ちていた。
それでも14羽を撃墜したことを褒めてほしい。
戦闘機だったらエースパイロットだぞ。
・・・対空砲火は違うんだったけ。
まあいいや。




