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2話 1200ポイント

 

「では、スキルを選んでください。

 スキルセレクトと心の中で念じてみると

 選択画面が出てきます。庄司さんは

 世界線を越えたので、スキルポイントが

 たくさんあるはずです。取得する際は

 そのスキルを強く念じてください。」


 スキルって選べるのかよ。そう思いつつ

 スキルセレクトと心の中で念じてみると、


 所持ポイント:1200ポイント


 以下のスキルが取得できます


<釣竿作成>   10ポイント


<釣り糸作成>  10ポイント


<オモリ作成>  10ポイント


<竹竿作成>   10ポイント


<火魔法>    10ポイント


 という画面が頭の中に浮かび上がってきた。

 ほかにも<投網作成>や<釣り針作成>

 などもある。おすすめのスキルを聞いて

 みたが、人によるそうなので、なにに

 しようか随分と迷ってしまった。

 すると、あるスキルを見つけて思わず

 吹いてしまった。その名前は<豪田釣具店>。


 明らかにスキルではない上に、

 この名前は今日行った釣具店と

 同じ名前なのだ。しかも店主は

 豪田とは正反対の人のよさそうな

 おじいちゃんである。品ぞろえもいいが、

 あんたはマグロ漁師と商売しているのか

 といいたくなるようなものも売っている。


 ここまではまだいい。

 問題は、所得に必要なポイントが

 500ポイントだということだ。

 だが、ずっとお世話になってきた

 釣具店だ。少しは地球にゆかりの

 あるものがあってもいいだろう。


 帰れるかどうかすら分からないしな。

 それに無駄に高いスキルポイントを

 使って取得しても、まだ70個もの

 スキルを取ることができる。そう思い、

 取得するために強く念じた。

 豪田釣具店...豪田釣具店...豪田釣具店

 ...豪田釣具店...豪田釣具店...

 吹く一歩手前でやっと脳内に

 <豪田釣具店>を取得しました、

 という文字が現れた。


 それからしばらく考えた後、ほかにも

 11個のスキルを取得した。

 1つだけ100ポイントで<金の泉>と

 言うスキルがあったが、他は全て

 10ポイントで所得できた。

 残りの500ポイントは貯金だな。

 貯ポイントといった方が

 正しいのかもしれないが。


「どうですか?いいスキルを取得

 できましたか?あっ、他人のスキルを

 聞くのはマナー違反でした。

 その人しか所得できないスキルも

 ありますので、よほど親しい関係

 でない限り、人には聞かないように

 してくださいね。私も人のことを

 言えませんけど...王族だから

 みんな親切に教えてくれるので

 忘れてました...」


 少女はちょうど選び終わったタイミングで

 そして最後のほうは小声で俺に聞いてきた。

 もう心の中では少女呼び確定だな。

 さっき聞いた名前覚えてないし。


「ああ、面白そうなスキルを手に入れたよ。

 だがこのスキルってどうやって使うんだ?」


「ではスキルアクティベーションと

 念じてください。スキルが使用可能か

 どうかと不可能ならば使用可能に

 するための条件が出てくるはずです。」


 スキルアクティベーションと念じると、

 使用可能なスキルがあらわれた。

 今使えるのは8つだな。

 とりあえずあれを使うか。

 100ポイントで購入した<金の泉>を

 使ってみる。すると虚空から金貨が一枚現れた。

 まばゆい光を放ちながら落下してくる金貨を

 危なげなく片手でキャッチ。

 少女が白目を剥いて泡を吹いていたが

 気にしない。


 続けて10ポイントで取得したうち、

 今使用可能なスキルの一つの<鑑定>を

 <豪田釣具店>に使う。取得した理由は、

 なんでも鑑定できたら開運な気がしたからだ。

 鑑定結果は以下の通りだった。


 スキル<豪田釣具店>


 地球日本国にある豪田釣具店を

 利用することができる。

 この世界の硬貨も使用可能である。

 返品不可。


 おお。これならいい釣り具が

 揃えられそうだ。

 正直この世界は現代ほどは

 釣り具が発達しているとは思えない。

 ネタでトローリング用の竿や

 ハリス50号(マグロを釣る時の糸)を売っているあの店ならば魔王を

 釣るときの道具もそろえられそうだな。

 問題は俺の筋力だが...

 モブキャラの俺に筋肉はそこまで

 ついていない。


 実は着やせするんですよ俺~

 服を脱ぐとムッキムキなんで~


 ・・・・となったりはしない。


 ・・・・鍛えようかな。


「ではいいスキルも手に入ったようですし、

 早速釣りに行きますか?

 道具はこちらで用意しますので」


 それには大賛成だな。

 もともと今日行く予定だったし。

 でも道具はいらないな。

 豪田釣具店で購入すればいいし。

 

「ああ、そうだな。だが道具は不要だ。

 用意できるめどが立った。

 ここからの距離と狙う魚は?」


「ここから5分ほどで行ける砂浜です。

 そこで釣れるのは今の時期だと

 キスとカレイです。キスとカレイの

 魔闘魚はもうすでに釣られているので、

 それなりに釣れるでしょう。

 では行きましょうか。」


 あれ?釣りに少女も来るのか?

 というか<リール作成>なんていう

 スキルはなかったから、

 延べ竿を使うはずなのだが...


「しょうz...姫様も来るのか?

 というかキスのいる場所まで

 仕掛けが届くのか?」


 現代の釣り人として

 最もな質問をぶつけた。

 しかし少女は微笑んだ。


「変なことをおっしゃるのですね。

 脚立を使うのが理想的ですが、

 あそこは人が多いので

 迷惑になりますよ。

 仕掛けを投げた後に糸を流木に括り付けて

 木を地面に差し込み、それが倒れたら

 魚の反応があった証です。

 あともちろん私も行きますよ。」


 原始的な方法だが、確かにそれが

 一番よさそうだな。延べ竿だと届く距離に

 限界があるしな。



 ――――リールというものがなければ。

 俺は即座に頭の中でスキルアクティ

 ベーションと念じ、豪田釣具店を開いた。

 すぐに、3000円程度の竿を二本と、

 2個入りのジェット天秤を二袋、

 2セット入りの仕掛けを2組、

 アオイソメを500円分購入した。


 代金は<金の泉>で手に入れた金貨だ。

 <金の泉>は便利だが先ほど

 使用可能なスキルの中にはなかった

 から、一日一回といった制限が

 あるのだろう。


 思考がそれたが、

 目を見開いてフリーズしている

 少女に買った竿のうちの一本を渡す。


「安物だからすぐ壊れるかもしれないが、

 今日のところはこれを使ってみろよ。

 使い方は場所についたら教えるぞ。」


 少女は俺の言葉でフリーズから

 立ち直ると、申し訳なさと嬉しさが

 混じった複雑な表情をしながら

 こう言った。


「これは...すごいです...竿が伸びるだ

 なんて...しかもこの糸が巻かれている

 ところは初めてみました。

 ...このような素晴らしいをいただいても

 よろしいのでしょうか?」


 こんな安物で感動されてもな...

 いつか投げ竿セットをフルで揃えて

 やろうかな。


「ああ、いいぞ。エギングロッドは

 失われたとはいえ、勉強にとらわれず

 釣りばかりしてても誰に何も言われない

 世界に招待された礼でもあるしな。」


 道順を聞くと、庄司は迷いのない

 足取りですたすたと謁見の間を

 出て行った。

 

 勉強?あれは楽しいもののはずですが...

 とブツブツ呟く少女を置いて。



 「え、ちょ、まってくださいよぉ~!」



 そんな声が聞こえたとか

 聞こえなかったとか。

 





ジェット天秤・・・着水後に絡みにくく出来て

い金具が付いているオモリ

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