22話 SMプレイ(勘違い)
—――――次の日
あれからは普通にご飯を食べて体を拭いて寝た。
今は朝食の時間だ。
「なあ、我が親愛なるアレクよ。そんなに俺を恨んでたのか?」
「普通に人手が足りなかったんだ...」
「最後悔しそうに見えたんだが?」
「境遇の差というものを思い知ったよ...」
境遇の差とは何だ。
悲しそうに俯いても無駄だぞ。
「境遇の差って...アレクは漁業担当の一番のお偉いさんじゃないか。俺の上司だし」
「上司だと思ってるのならそれにふさわしい言葉使いをだね...」
「敬語も丁寧語も必要ないと言ったのはどこの誰だったかな?」
「僕です本当に申し訳ございませんでしたッ!」
「うむ。苦しゅうない」
それでよろしい。
—―――その一方、少女と国王は...
「父上、あの二人立場逆転してません?」
「庄司がSでアレクがMのSMプレイか...」
「寝ぼけないでください」
「というかそろそろ父上呼び〈嫌です〉最後まで人の話を〈嫌です〉ソンナー」
父上呼びはまだまだ続くのであった。
「バリ、バリ、バリスターッ!」
食事が終わった後、庄司は訳の分からない歌を歌いながらスキップしていた。
すれ違いざまにメイドから白い目で見られているが、当の本人は気づく素振りも見せない。
知らぬが仏とは言い得て妙である。
「おはよう!」
最近の中学生ではめったに見ない音量で挨拶する。相手はドルク・ケビン・スコットだ。
「「「おはようございます!」」」
3人もこれまた大きな声で挨拶を返す。
挨拶するとすぐさま作業に取り掛かっている。どうやら矢に返しをつけて抜けないように
しているらしい。
「こんなものかな」
10分ほどで早くも試作一号が完成したようだ。
早速発射している。的は固めた土だ。
矢は綺麗に刺さった。だが、抜くときに抜けなかったのはいいが、
最後に体重をかけて引っ張ると返しが折れたようだ。
直ぐに4人で話し合う。
今度は返しを大きくすることにしたようだ。
—―――30分後
ようやく満足のいくものが出来上がったらしい。
全く。私だって暇じゃあないんだぞ。早く帰って録画したドラマを消化しなければ...
ごほん。
そうこうしているうちに試作二号が発射されたようだ。
試作二号は返しが大きすぎたのか、的から1mほど離れた場所に着弾する。
だが、肝心の抜けにくさは十分なようだった。
4人は再び話し合い、矢を削り始めた。
—―――さらに15分後
あ、終わったのね。
ちょっと待って。今いいところだから。あと五分だけだから!
あー、あの会話は伏線だったのか。ふむふむ。なるほど。
ってかもう試作三号発射されてるぅ!
今度は的に吸い込まれるようにして飛んで行った。
庄司が回収しているが、見たところ抜けにくさも十分だろう。
それからは数十回の試射をした後、昼食のために訓練場を後にした。
「今日こそは釣りに行ってやる」
昼食を食べた後、俺は決意を固めた。アレクは誘うけど雲行きが怪しくなれば速攻退避。
今日こそは絶対に行かなければならない。今日行かなければノイローゼになりそうだ。
まあ、2日前に行ったばかりだが。
だが、釣りの楽しさに味を占めた脳細胞が脅迫してくるんだ。
俺は悪くない。ないったらない。
そうと決まれば早速二人を誘おう。
「姫様、今日は釣り行くか?」
「うーん、今日は勉強の日ですのでいけません。すいません」
「いや、別に謝らなくてもいいさ。勉強頑張れよ」
「はい、頑張ります!」
勉強の日などというものがあるとは。もうオラ勉強したくねえだ。
3年生の間に一生分したと言っても過言ではないぐらい勉強したからな。
これ以上あの面倒くさい日々を思い出すのはやめよう。うん。
気を取り直してアレクを誘う。
「今日は釣りに行けるか、アレク」
「昨日手伝ってくれたおかげで行けるよ」
「よし、そうと決まれば即準備だな」
うっし、仲間一人ゲットだぜ。
流石にぼっち釣りは楽しさ半減だ。
ぼっち釣りはシャリのない寿司みたいなものだ。
え?それは普通に刺身だって?
・・・やだなあ、俺がそんな間違いするわけないじゃないか。
「さっきから喜んでは目を泳がせてとどうしたんだい?」
「いや、何でもない。じゃあ30分後に王城を出たところに集合で。
場所はどうする?」
「島の南側はどうかな。イカが釣れると聞いているよ」
「そこで決まりだな。争奪戦の時にエギングロッドは取ったか?」
「もちろん取っているよ」
「ならそれを持ってきてくれ」
「わかった」
早速、部屋に戻って準備しなければ。
この世界に餌木(エビに似せた疑似餌)はないはずだ。
スキルにもなかったしな。
きっとアレクも驚くだろう。
部屋に帰り、エギングロッドを今日の<金の泉>で得た金貨で購入する。
少し質が落ちるが、今日は仕方ない。
餌木は初日に買っているのでそれを持っていく。
その他必要な物を持ち、部屋を出て、外を目指した。
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