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17話 姫様とベッドイン

書く時間が少し確保できたため投稿します



扉を開けると...


そこにはまっ平らになった訓練場をバックに、誇らしげに仁王立ちしている国王がいた。

もちろん服は着ている。


———ただ、時々不快そうな目で下半身を見ていることから、

ブリーフ一丁の時についた砂が服の下に居座っていることが予想できる。


全く不潔な男だ。体ぐらい拭けよ。

ガ○ラスに下品な男は不要だ、と何度言ったら分かるのかね。


「父上...終わった、のです...か?」


どこぞの総統閣下のようなことを考えていると、

少女が信じられない、といった声で国王を見る。


「父上呼び1時間突破、だと...?」


お前は黙っておけ。


「ああ、もちろんだとも。」


国王はそう言い、頭を下げる。


「今回のことは本当に申し訳なく思っている。自分がしたことの重大さも

 理解できたつもりだ。この通りだ、3人とも、俺を許してくれないか」


頭を下げきる前に「さきほどのことは内密に」的な一瞥を俺に浴びせた

ことには気づく様子もなく、少女が感嘆の声を上げる。


「父上...」


「父上呼び1時間10秒突破だと?何だ、何が起こっている...」


核爆発を見るような目で少女を見るな。


感動の再会、的なムードの中申し訳ないが、

俺は国王の後方のまっ平らな土に違和感を覚えた。

普通、あれだけの爆発にさらされれば土の色も変わりそう———事実、俺たちが埋めた

ときには大分変色していたのだが、今ある土はどこからどう見ても黄土色一色だ。


<鑑定>


不思議に思いながら土を凝視していたからか、スキル<鑑定>が発動する。

その結果は...


スキル:空間偽装


その名の通り、空間を使用者がイメージしたとおりに偽装することができる。

1時間経てば、その空間は劇的な変化でない限り偽装した通りの場所になという優れたスキル。


例:更地に家を建てる→不可能

  川幅を1メートル広げる→可能


但し、偽装した空間に

・1立方メートル以上の生物が侵入する

・人間が侵入する

・何らかのスキルが使用される

等の条件が一つでも満たされれば偽装は解けてしまう。


脳に入ってくる情報に仰天している間にも、偽装が少しずつ解けていき、

4割ほどしか埋められていないクレーターがあらわになる。


途端に、少女の目に怒りが宿る。


「ちィーちィーうゥーえェー‼‼‼」


1時間前より怒り5割増しの声で少女が怒鳴りつける。


「これは<偽装>ですね?」


「ハイ、スイマセン...」


もうそこには国王の威厳などというものは露ほどもなく、

典型的な娘に頭が上がらない父親が存在していた。

しかし、今回の件は全面的に国王が悪いので、誰も救いの手を差し伸べるものはいない。


「もう晩御飯は抜きです!そして約束通り私は庄司さんと寝ます!」


あの約束って結構本気だったのな。

.........ん?


「「「えええええええええッ!?」」」


俺、国王、そして父上呼びの秒数を数えていたアレクまでもが驚きの声を上げる。

国王に至っては、白目をむいている。猫だましをすればすぐに気絶しそうだ。


「い、いくらパパが悪かったとはいえ、それはないんじゃないの、かな...」


国王が逝きそうになる意識を必死に引き寄せながらうねるような声を出す。


「いいえ、私は本気です!」


「いや、でも庄司が許可するとは限らんぞ」


国王が必死に抵抗する。

俺に頼む、という懇願の視線を向けてきたため、

そろそろ勘弁してやれ、と言おうとしたが


「ダメ、ですか?」


「お、おう。決してダメなんかじゃないぞ」


少女の上目遣いには敵うはずもなかった。

俺は悪くない。だから歯ぎしりしながらこちらを睨むな。


それから少女の説教は1時間にわたって続いた。


「さて、帰りましょうか」


ただの屍と化した国王を放置し、訓練場を出る。


「なあ、俺と寝るって...本気か?」


「おふこーす、ですよ庄司さん」


最後の希望を込めて聞いてみたが、帰ってきたのはカタカナ英語だった。

アレクの部屋の前を通り、アレクと別れたが、少女はついてくる。


俺の部屋の前に来たが、少女は入る気満々だ。

近くにいた執事に穏やかな笑みを向けられながら部屋に入る。


「おー、ここが庄司さんの部屋ですかー」


少女は俺の部屋を見回す。

—―――とはいっても、釣竿が数本置かれていること以外はもらった時と変わっていない。


「時刻は...もう8時ですね。少し話をしてから寝ましょうか」


「じゃあ、俺は床で寝るから。姫様はベットで寝てくれ」


諦めが悪いにも程がある庄司だったが、

次の瞬間には上目遣いをされてその言葉を撤回していた。


歯を磨いた後、ベットに入る。

もちろん少女も一緒だ。


「あの、いきなりで申し訳ないんですけど、庄司さんが生まれた世界の話を

 お願いできますか?」


「ああ、そうだな。俺が生まれた世界は————」


俺は地球のことを語る。

この世界よりもはるかに文明が発達していること。

この世界にはない美味しい食べ物があること。

この世界にはあるスキルがないこと。


3つ全てのことについて根掘り葉掘り聞かれた後、少女は遠慮がちにこう言った。


「元の世界に帰りたいですか?」


「確かにあっちに未練はある。だけど、俺は今の生活を楽しめている。

 戻りたいなんて思わないさ。姫様やアレクもいるしな」


少女が何を聞きたかったのかを理解した俺はそう答えた。

————少女は優しい。無理やり連れてこられた俺のことを考えてくれているのだろう。


「そうですか...」


先ほどより少し安心した声でそうつぶやいた後、

すやすやと気持ちよさそうな寝息を立てて眠ってしまった。


体が密着していたためロリコン属性を危うく付与されそうになりながらも、

5分後には俺も眠ることができた。





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