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15話 ファザコンはついにキレる

<鑑定>の結果を二人にも伝える。


「よくわからないですね」


少女は爆発と水蒸気爆発がわからなかったらしい。

俺も違いがわからない。

原理の違いとかは理解できるけど実際に見てみると違いが分からない。

だって全部ドカーンだったもん。


え?男のぶりっ子キャラは需要がないって?


閑話休題


「これは表に出せないよな」


「「そうだね(ですね)」」


こんな高威力なものを表に出したらアメリカザリガニも住めない泥沼戦争待ったなしだな。


「というかこのクレーターどうするよ」


「「あ...」」


俺が指した先には、直径30メートル以上のクレーターが出来ていた。

表に出せない威力だったため兵士に手伝ってもらうことは出来ない。


三人の中でいち早く現実世界に戻ってきたアレクが呟く。


「これはやるしかない...ね...」


二人は黙って頷いた。


————1時間後


「クロエ 、クロエ 、クロエ 、クロエ 、クロエ 」


「さとみ、さとみ、さとみ、さとみ、さとみ」


「えっほ、えっほ、えっほ」


一番上はアレクだ。

うつろな目で土を戻している。

どこがとは言わないがたっているので、例の娼婦の名前だということは容易に想像できるだろう。


真ん中は俺だ。

こうなった経緯はというと...


————1時間前


最初にクレーターに突撃しながら叫び出したアレクを見て少女が叫ぶ。


「アレクさん!?」


「ありゃカモだ」


「鳥さんのカモですか?」


「そうだよ。アレクは鳥さんになっちゃったんだ」


俺はかつてないほど穏やかな声で言った。


「そうですか...?」


微妙に納得できていなさそうだ。

全くアレクの奴め。少女の教育に悪いだろ。


「さとみさとみさとみさとみぃぃぃぃぃ!」


なんともひどい経緯である。


教育に悪いの定義をもう一度学びなおして来い。

そう言われてもおかしくない豹変の仕方だ。


ちなみにさとみとは庄司の初恋の人だ。

知らねえよ。


一番下は常識人代表こと少女だ。

至って普通の掛け声だ。


以上。



—————3時間後


「「「終わったぞーー」」」


三人が拳を突き上げる。

漫画かよ。


「疲れたー」


「いやー、いい汗かいたね」


「体がポカポカします」


三人がそれぞれの感想を述べる。

直径30メートル以上のクレーターを埋めたのだ。

疲れて当然だろう。


地面に座り込んでしばらくすると練習場に三人以外の足音が鳴る。

三人が一斉に振り返る。


そこには———国王がいた。


「ほう、これを見ると派生スキルとやらの威力は大したことがなかったようだな。

 私も魔闘ヒラメを食べたからな、どれ、<ファイヤーボール>!<ウォーターボール>!

 <ウィンドボール>!<アースボール>!」


三人の殺意が国王に向けられた瞬間であった。


俺とアレクだけならば動じなかっただろう。

だが三人、ということは少女もいる。


できたクレーターを見て、ギギギ、と音を立てるかのようにして国王の首がこちらに向く。


「ちーちーうーえー‼」


少女がついにキレた。国王は顔面蒼白だ。


「いつも姫様は国王様のことをパパって呼んでいるだろう?

 今まで父上と呼んだのは国王様がうっかり気に入っていた人形を踏んだ時だけだよ」


アレクが耳元でささやく。

こりゃあシ○バニアファミリーシリーズ全部そろえて土下座しても収まりそうにないな。


「誠に申し訳ございませんンッ‼」


国王が土下座している。

後でツ○ッターに投稿しておこうっと。


「私だけじゃなくてアレクさんと庄司さんにも謝ってください‼」


「アレクさん、庄司さん、許してください何でもしますからぁ‼」


こっちに捨てられた子犬のような目線をむけるな。


...そうだな、日頃の行いだ。あきらめな。

たたみかけろ!第一第二主砲、発射!


「まあエリカ、そう怒るなって。一時間でこのクレーターを()()()で埋めれたら許そうじゃないか」


一人で、という言葉に血の色を戻しつつあった国王の顔が再び青く染まる。


「そうですね。人の努力を水の泡にするような奴ですからね。

 まだこれでも足りないぐらいです。感謝してくださいよ、父上」


少女は国王をゴミを見るような目で見ている。

これで普段はファザコンだというのだから驚きだ。


「頼むエリカ、私が悪かった。だからそれはやめてくれ...」


「このクレーターを埋めなけらば反省したとはみなしません。

 一時間で埋められなければ今日は私は庄司さんお部屋で寝ます」


何か大変なことを言っていたようだが国王はそれどころではない。


「頼む、本当に反省しているんだ」


「反省して済むならば警備兵はいりません。一時間後にまた来ます。

 行きましょう、庄司さん、アレクさん」


後半はこれまでの怒りからは想像できないような無邪気な声だった。


「「お、おう」」


出口へと向かって行く少女を俺とアレクは急いで追いかけた。







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