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12話 漁業担当本部

結局アレクに追いつくことはなかった。向こうも身体強化を使っていたらしい。

何故分かったかというと...


「これ‼廊下は走る所じゃないぞ‼王城の中で走るなど、言語道断じゃ‼

 国王様の臣下としての意識が足りぬわ!!」


「「ハイ、スイマセン...」」


絶賛絞められ中です。

怒っているのはゲルバルトさんだ。まあ当然か。

というかアレクは20歳ぐらいの見た目のくせに小学生みたいな怒られ方してやんの。うぷぷ。

あ、俺もか。


めっちゃ反省nowなのでその鋭い視線を向けないでくださいお願いします


廊下は走っちゃいけませんよね。今回は身に染みてそのことを感じております。


だからその平手打ちの体制をやめていただきませんか。


いや反省しているのでどんな処罰もお受けいたします誠に申し訳ございませ...


パシンッ‼


平手打ちは俺の頬に直撃し、そのまま皮膚が歯に食い込み血を流す。

鉄の味とともに思い出す。そうか、ここは異世界だったのか。

異世界で体罰が禁止されているわけありませんよね。

あー日本に帰りたい。


初日に「ここは天国か」と思ってた奴と同一人物とはとても思えない。


というかこの傷放っておくと口内炎に進化しそうだ。

ここでようやくゲルバルトさんのお叱り状態から解除される。


「とにかく分かったな、廊下を走るんじゃないぞ。俺は異世界の勇者とて手加減はせんぞ」


人類平等主義デスネワカリマス

良いとは思うんだけど、自分がそうされるとなるとな...


「口から血が出ているけど、大丈夫かい?」


先ほどまでプルプル震えていたが、何とか震えを抑えながらアレクが言う。

さっきのダッシュの時の勢いはもうない。


「というか聞きそびれていたが、お前って部下いたのかよ」


「ああ、いるよ。直属の部下だけでも500人はいるんだぞ」


アレクはない胸を張る—————男だから当然だが。

というか直属の部下500人もいんのか。直属でなければ何人いるんだろうな。

伊達にこの国の漁業を担当しているわけではないんだな。

これまでの言動・行動からは考えられない。だって廊下走ってるし。俺もだけど。


というか補佐ってどんな人だろ。


「一応ここは僕の部署のすぐそばだから、補佐の人たちはこの奥にいるよ。

 決して追われているのを部下に助けてもらおうだなんて言う考えは一切ないよ」


なるほど、そういう考えだったのか。


金貨一枚のために部下に助けてもらうって...

あれ?アレクって王城に勤めているにそんなに金に困っていたっけ?


ミスリル貨5枚をポンと出してきたし。ん?ミスリル貨?


「アレクって金欠だったのか?少なくとも金貨一枚に固執ほど金には困ってなさそうだが?」


するとアレクはうつむきつつうねるような声を出した。


「あれが全財産だったのさ...」


あ(察し)


ミスリル貨で竿を買ったときに残ったお金を返した方がよかったっぽい。


そうか、すまなかったな。その金貨はやるよ。


「ありがとう...はあ、これで給料日まで生き延びられる...」


生き延びられるって...ここは衣食住は保証されているはずなんだが...


「娼館にかわいい子がいてね。きっと彼女は僕のことが好きなのさ」


俺は黙ってアレクの手から金貨を取り上げた。


「わ、ちょっと、それはないんじゃないのかい?」


そう言うアレクを置いて俺は奥へと進んでいった。


娼婦のカモになるのは自由だが、俺の金をそんなこ

とに使うな。


懇願してくるアレクを無視して歩いていると、

大勢の喧噪とともに「漁業担当本部」という看板と扉が見えてきた。


アレクは金貨をあきらめきれないのか、俺の手をチラチラ見ながらも胸を張りつつ、扉の前に立ってこう言った。


「ようこそ、僕たちの漁業担当本部へ‼」




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