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11話 廊下は走るでないぞ

更新遅くなりました。すいません

小説情報を色々と変更しました

取りあえず今日は遅いからよく眠れと言われた。国王は笑顔だった。

言外に明日からはキリキリ働いけよ、という意味が含まれている気がしてならない。

俺って一応勇者だよな...

気が付いたら日本人初(当社調べ)の中学3年にしてブラック企業に就職させらてた人になってたぜ。

ははは。全く嬉しくねえよ。何のために異世界に来たってんだ。


とはいえ、眠いのは事実だ。ヒラメを釣り上げた時のアドレナリンはすっかりなくなっている。

渋々部屋まで帰る。道順は倉庫を守っていた兵士が教えてくれた。


部屋に入った後は、吸い込まれるようにして眠りについた。


ガバッ...朝か。誰かが来た痕跡は...ないな。朝食の時間より早く起きれたのはいいが、

昨日が夜遅かったため眠気はまだ抜けきっていない。

ああ、今日からあの男のロマンを改良しなきゃいけないのか。

というかバリスタにこだわる必要なくね?神格化でもされてんのかな。

バリスタで行き詰ったらほかのやつも作るか。


するとノックの音とともに、少女に呼び出される。朝食の時間だそうだ。


「おはようございます!!朝食の時間ですよ!!」


笑顔で挨拶をしてくるので、俺も笑顔で返す。


「ああ、おはよう。さてと、今日は何の料理かな」


「今日はヒラメですよ。魔闘魚が釣られたおかげで供給量が一気に増えましたからね。

 あ、魔法の件なのですが、衛兵の訓練場を使う許可が下りました。言ってくれれば

 いつでも貸し切りにしてくれるそうです。」


魔法の件のところは若干小声で少女が言う。

ヒラメについては薄々気付いていたんだが、魔法の件については良いのだろうか。

訓練場って結構使う人がいると思うのだが。そのことを聞いてみると、


「なにせ前代未聞の大発見ですからね。魔闘魚を食べるとスキルが強化されるなんて、

 聞いたことがありませんよ。」


それもそうか。ゴミスキルだと思っていたものがとんでもないものかもしれないのだ。

今回派生したなんちゃらボール系は初歩的な魔法かもしれないが、それでも男の血が騒ぐのは間違いない。

そして食堂につく。出されたヒラメ料理は確かに絶品だが、それによってさらにコメが恋しくなる。

カーラさんに鼻の下を伸ばして国王にニヤニヤされたりしながら、朝食の時間は過ぎていった。


部屋に帰ろうとしていた時に、また国王から呼び出しを喰らった。アレクも一緒にだ。

アレクと一緒なら怖くない。さあ、俺とともに来るのだ。俺はそんな視線を送ったのだが、

アレクは事情を聞いていたのか、すぐに返事をしていた。俺は聞いてないんだが。

というか国王の呼び出しという時点で嫌な予感しかしない。おい。アレクも一緒になって微笑むな。

さわやかな笑顔を向ければいいってもんじゃないから。なぁ。とっとと俺にも事情を説明しろよ。


結局最後までさわやかな笑顔を崩さず、「まあ、国王様の部屋についてみればわかるさ。」と

しか言わずに国王の部屋の前についた。ノックをすると「入り給え」と帰ってきた。

威圧感のある扉は相変わらずだが、アレクはそれをもろともせずに扉を開ける。

結構これ開けるの勇気いるぞ。すごいな。ここまでアレクを尊敬したのは初めてかもしれない。

奥にいた国王は口を開く。


「今日呼び出したのは、他でもない、あの兵器のことだ。改良するにしても一人ではできないだろう。

 というわけで、補佐をつけることにした。人員はアレクのところから出す。改良の経過については

 アレクに報告すればよい。まあ、異世界の者...庄司といったか。お主は事実上アレクの部下になる」


うえええええええええ!?

まさかの部下入り。勇者、部下になるってよ。しかもアレク。なぜにアレク。

兵器なら軍担当のゲルバルトさんがいたはずなんだけどな....


「おぬしも部下になるなら知り合いのほうがよかろう?」


わー国王様のお言葉ダー(棒)

絶対からかっているよね。ねえ国王様。その笑みはもう飽きましたってば。


「異論がなければ帰るとよい」


異論しかないんですが。

笑顔で俺を押し出すのはやめてください。

口を開こうとした瞬間に口に指をあてて「シー」とか言わないで下さい。

おっさんがやっても可愛くねーぞ。

もうカオスの領域に片足踏み込んじゃってるよ。


国王に押し出され、「シー」をされ、その間ずっとアレクにずっと微笑まれる。

俺の精神力がガリガリ削られていく中必死に抵抗したが、

ついにはアレクも一緒になって押し出してきて、俺は押し出された。


威圧感のある扉が閉まる。俺は盛大にため息をついた。

アレクは聞こえないふりをした後、満面の笑みでこういった。


「国王の部屋についたらわかる、って言った意味はわかったかい?」


ここでアレクを殴らない人がいるだろうか。いや、いない。

反語を使ってまで自己正当化(?)を完了した俺だったが、殴るには少し遠い。

ん。そういやいいのがあったな。今日はまだあれを使っていないはずだ。

スキルアクティベーション!!<金の泉>!!

虚空から金属特有のきらめきを放ちながら金貨が現れる。

俺はすぐに金貨をキャッチすると、投擲のモーションにはいる。

金貨は日本円で一万円相当だが、そんなことを気にしている暇はない。

一万円か。ふむ、それならば...


「諭吉スラッシュ!!」


俺はそう叫び、アレクめがけて金貨を放つ。

金貨は一直線に風切り音を立てながらアレクの頭に吸い込まれていき...


スカッ


アレクがしゃがむと、金貨はそのまま通り過ぎ、十数メートルはなれたところに落ちる。

何故だ。狙いは完璧だったはずだ。身体強化も使った方がよかったのではないか。

くっ...アレクを甘く見過ぎたか。あれを避けられるとは思わなんだ。

そんな考えが頭をよぎる。すると、アレクは若干余裕のないウインクをしながらこう言う。

足も少し震えている。


「知ってるかい?スキルアクティベーションって頭の中で言ったときに、誰もが若干目を

 見開くんだよね。何らかのスキルが発動するのは確実だから。後は避けるだけだよ。」


ビビってるクセに自らの手の内を明かしていくスタイル。良いと思うよ。

呆れているうちに、俺の怒りはスーッと引いて行った。


その間にアレクは落ちている金貨を拾う。


「これは授業料だよ。ちなみに、相手に悟られたくなかったら常にスキルアクティベーションの

 状態にしておくといいよ」


へえ、結構役立ちそうだな。早速スキルアクティベーションの状態にしておこう。


ん?待てよ、授業料!?


俺が何かを言おうとすると、アレクは即座に地面を蹴り、日本代表になれそうな速度で

王城内を駆け抜けていった。


俺もすかさず追う。早速アレクの知識が役立つときが来たな。<身体強化>!!


先ほどまで庄司とアレクがいた場所には


「廊下は走るでないぞ...」


という国王のつぶやきが空しく響いた。(扉の隙間から事の端末を見ていたらしい)





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