10話 しょうじ は イエスマン に しんかした!
2話 1200ポイントた通りに王城を進むこと3分、国王の部屋の前についた。
素直にノッカーでノックをすればいいのだろうけど、安易にノックはさせまいという雰囲気が
扉から漂ってくる。精巧な、それでいて少し不気味な彫刻がされているこの扉を見ているだけで
扉恐怖症になりそうだ。トイレいけなくなるじゃん。あ、窓から出ればいいか。
そういう問題じゃないって?まあ気にするでない。
っじゃなくてさっさとノックしなきゃな。
意を決してノッカーでノックする。
「入り給え」
国王の声だ。失礼しますと言い、校長室に入るときより慎重に扉をひらく。
「今日は見せたい物がある。本当は初日に見せるべきだったと思うが、なんせ国家機密
なのでな。そなたの容姿からはとても魔王を釣り上げられるとは思えなかったが
魔闘魚を釣り上げたのならば本物だろう。ついて来給え」
国家機密云々とか言いながらさりげなく俺のことディスってますよね。
自覚していてもわりと傷付くんすよ。
心の中で愚痴りながら国王についていく。ってかあの扉開けた意味なくね。
しばらくすると倉庫らしき場所についた。かなり複雑な道を進んできたので、並大抵のことでは
見つからないだろう。見張りの兵士を遠ざけてから、国王が扉を開く。
ギギギ、という重厚感のある音とともに現れたのは固定式の大きな弓のようなもの、
前世で言うバリスタが現れた。
何故こんなものがここにある。まさか戦争を仕掛けるのか。
非難する視線を向けたが、国王は首を振り、こう言った。
「これは前の魔王を釣り上げるときに使った兵器だ。流石に竿一本で魔王が釣れるわけなかろう。
浮いた所を船で包囲し、一斉にこれを打ち込んだ、と伝えられている。
200年の月日が流れ、若干の改良が加えられたが、それだけだ。」
なるほど。浮いた時にこれを打ち込めばそれなりの効果がありそうだ。
歴代国王もこれを戦争に使うような愚かなことはしてないようだ。
なんだ、案外国王っていい人かもしれないな。
「というわけで、勇者にはこれを改良してほしい」
前言撤回。国王親バカで煽り厨でキチガイだった
ようだ。
「何か今失礼なことを考えなかったかね?親バカとか煽り厨とかキチガイとか」
ねえねえ、心読んでるよね、おい。笑ってないで返事しろ。
「この国には不敬罪というものがあるのはご存知ですかな?」
あ、詰んだ。ちょっとセーブデータをロードするんで待ってください。
「そういうことなんだが、頼めるか?」
イエス‼マム‼
おめでとう!!
しょうじ は イエスマン に しんかした !!
こうして兵器マニアでもない俺は、なんかバリスタを改良しろと言われ、過労死するのでした。
めでたしめでたし。労災保険はいっときゃ良かったな...
じゃなくって、どうすんだよ俺ぇえええええぇ‼‼‼
俺の心の中の叫び声に全細胞が震えた。




