表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/52

9話 派生スキルってなんだってばよ?

釣り場で十分な血抜きをした後、持って帰る。

血抜きしている間にも、ヒラメを釣っている人がいた。

いままで魔闘魚に率いられてただけだったので、リーダーがいなくなると何もできなく

なるのだろう。軍隊だと致命的だな。

城につくと、すでに多くの人が前に立っていた。なんでも、俺を祝ってくれるらしい。

ありがたいんだが、前の世界で経験がないため、どうしても挙動不審になってしまう。

本気で心配してくれる少女の視線が痛い。


城の中を通っていても、今まで話したことがない人にも祝福された。

すると国王がやってきた。俺を祝福し少女とハグをした(もうツッコまない)後、

すれ違いざまに、こういった。


「そのヒラメの処理が終われば私の部屋に来るがよい。場所はメイドに聞けばいいだろう」


なんか嫌な予感がするのは気の性っすかね。そういう意味を込めた視線を向けたが、

俺のほうを見ることはなかった。


取りあえず面倒くさいことは放っておいて厨房を借りてヒラメを捌き始める。

水でぬめりをとり、胸ビレを切り落とす。

続けざまに両側の背鰭と臀も切り落としておく。

邪魔なものがなくなると、表も裏もウロコをスキビキする。

魚体が大きいのでひっくり返すのも一苦労だ。

そしてエラとはらわたを出し、水で洗う。

ウロコをはいだ後でも、ヒラメは淡く光っていた。

これで下処理は終了だ。前の世界でヒラメを何回か捌いていてよかったと思う。

そしてそれを五枚おろしにする。

出来たうちの一つを、皮引きして切り分ける。

適当な大きなにカットし、後ろで見守っていた少女とアレクに渡し、同時に口に入れる。

最初の一口に調味料は必要ない...うまい。前に食べた時も感動したが、

今回はその倍...いや、3倍はあるであろう旨味が口の中を駆け巡る。

さすがは魔闘魚といったところか。よく噛んで味わい、飲み込むと...


スキル<魔法強化Ⅰ>を取得しました


スキル<火魔法>から<ファイヤーボール>が派生しました

スキル<水魔法>から<ウォーターボール>が派生しました

スキル<風魔法>から<ウィンドボール>が派生しました

スキル<土魔法>から<サンドボール>が派生しました


という文字が脳内に浮かび上がった。何これ。派生とか初耳なんだが。

少女とアレクの顔を見てみたが、二人とも何も起こっていないようだ。

話そうと思ったが、いったん踏みとどまる。俺がとったスキルが影響しているのではないのか?

3秒ほど考えて、ある一つのスキルの存在を思い出す。

それは<スキル強化>だ。鑑定の内容は

『特定の条件を満たすとスキルが強化される』だ。

このスキルが見つかったのは100年ほど前で、王国の調査によると

『特定の条件というものが曖昧で検証したが発見できなかった』となっているスキルだ。

じゃあ、何故とったのかと聞かれると良さそうだったからという理由しかない。

そもそも先ほどの情報はさっき釣っていた時にアレクが話していたことであり、

スキルを取得するときには教えられなかった。その時はジト目で少女を見たが、

今となってはその事に感謝しなければならない。

真剣に考えすぎていたのか


「「大丈夫かい(ですか)?」」


と聞かれた。よし。せめて二人には先ほどの情報を教えておくか。

大丈夫だと伝えた後、<スキル強化>についてはあくまで推測だと前置きしたうえで、

全てのことを二人に話した。もちろんメイドさん達には外に出ていてもらう。

二人とも驚いていたが、それでも鼻で笑ったりせず真剣に聞いてくれた。

すると早速ものは試しとアレクが<スキル強化>を取得した後、ヒラメを一切れ食べると、

アレクも<魔法強化Ⅰ>を取得でき、~ボールが派生した。

少女も恐る恐るやってみて、結果は同じだった。


話し合った結果、明日は時間があればどこかで~ボールの威力を確かめ、

その結果によってこのことを公にするかを決めることで意見が一致した。

メイドさんたちにヒラメを預けた後、二人はそれぞれの部屋に帰って行ったが、

俺は行かなければならないところがある。国王の部屋だ。

場所は聞いている。どうなるのかは分からないが、取りあえず行くべきだろう。

そう決心して、厨房から外へと一歩を踏み出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ