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異世界空戦記  作者: ハクロウ
プロローグ&プロフィール
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松麿のプロローグ

主人公、羽雁はがり 松麿まつまろが異世界へ転移される前のお話。

子供は誰でも絵本やアニメ等の影響で別の世界を信じ、同時に夢を大きくする。でも、大人になっていくにつれて現実を思い知らされ、大きかった夢が次第に小さくなり、やがて将来の夢とは違う仕事場に就く。

それが夢を持った人生のオチなのかもしれない。

最初の夢は戦闘機のパイロットだった。地元の航空ショーであったブルーインパルスのアクロバットに魅せられ、いつかはあの人達のようなパイロットになりたい、自分もあの飛行機に乗って空を飛びたい。そう思いながら目を光らせ、ずっとその軌跡を追うようにパイロットを目指した。

しかし、現実は厳しい。 航空学生として自衛隊に入隊し、どうにかパイロット候補にまで漕ぎついたものの、最終的には整備士に回された。それでも配偶的には良かったし、航空機や車両等を弄るだけでもやりがいはあった。でも、演習やスクランブル等で飛んでいく航空機を見るとパイロットになれなかった悔しさや劣等感等が込み上げてくる事に耐えきれず、しまいには辞めて地元に帰った。

とはいえ、生きる為には仕事に就いてお金を稼がないといけない。自衛隊で取得した整備士の資格とそのキャリアを武器にする事で無事に整備工場へ就職し、機械弄りの毎日を過ごしている。そこは航空機の巡回コースから離れているから飛ぶ姿を見ることなく仕事ができる為、自衛隊の時よりマシだ。でも、毎日同じ事の繰り返しだと退屈になるので、あるネトゲーに刺激を求めている。


松麿「よし、6機撃墜…!」


第二次世界大戦前後の航空機・戦車等を題材にした某MMOコンバットシミュレーターゲームに熱中しており、旧日本軍の機体「N1K2-Ja」こと「紫電二一型甲」を専用のジョイスティックで操縦し、次々と敵機を撃ち落とす。

しかし、戦闘機が活躍するだけで戦況は有利に傾く程甘くない。


松麿「戦力ゲージがあまり変わってない。ったく、爆撃機の連中は何して、って…もう全滅!?」


敵戦闘機の相手をしてる間に味方の爆撃機は全滅されたらしく、敵の爆撃機と護衛の戦闘機達がその上を通過しようとしていた。


松麿「マジかよ…。」


空戦ではより上空にいる方が基本的に有利。上から攻め込めばより多くの位置エネルギーが得られる為、高度を落としたとしても得られた位置エネルギーを利用する事で速度を落とすことなく元の高度へ上昇して戻ることができる。

逆に下から攻めようとすれば上昇していく度に速度が低下していき、敵と同じ高度までたどり着いた頃にはかなりの低速で護衛の敵戦闘機からすれば絶好の的。蜂の巣になるのがオチであり、余程の馬力や位置エネルギーを持った状態でなければ下から攻めようとはしない。つまり、囮とも言える敵戦闘機と戦っていた紫電二一型甲はそんな状態であり、下から攻めても上で待ち構える敵戦闘機にやられるのが目に見えている。

制空権及び主導権を握られれば、勝敗は着いたも同然であり、味方チームの航空機地が敵爆撃機による高々度爆撃で無残なまでにゲージが削られていく。


松麿「負けた…。」


相手の戦術に嵌められ、そして何より味方のチームワークの無さがより敗北へと染めてしまった。どれだけ個人的に活躍したとしても負け戦となれば報酬は雀の涙である為、がっくりと肩を落とす。


松麿「他の連中は何してたんだ、役立たずめ…。」


味方の下位クラスに愚痴を溢しながら次の戦闘に備えるも、こういった戦闘はしばらく続いた。


───────────────


翌日。


「おいマロ、何かやけにはらけて(腹が立って)ねぇか?目がおぜぇ(怖い)ど。」


松麿「いえ、別に何も…。」


高齢の先輩達にゲームで敗北続きだったなんてのは色々とみっともなくて流石に言えない。でも、昨日の戦闘が酷かったからか無意識に顔から出てしまっているんだろう。昨日の味方、ランクの割にはド素人そのものばかりでいい思い出をしたことがない。


「まぁ、あんま無理すんな。せめておきゃっさん(お客さん)に手ぇ出す事はせんといてぇ(しないでくれ)よ。」


松麿「分かってます。」


とはいえ、行き場のないこの怒りを収めるにはゲームで無双して大勝での1位に輝かない限り、ずっと続くだろうな。そう思いつつ、故障車を修理するのだった。

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