隣人
「困った事があったら何でもいってね」
春、これから始まる大学生活の為越して来たアパートで隣人の彼女の部屋に挨拶に行くとこう言った。
僕は、その時何故そうしたのかわからない。半分藁をもすがる思いで、半分冗談のつもりでだったのかもしれない。僕は、彼女の部屋を訪ねた。
金に困ってるんです。もしよろしければ幾らか借して頂けませんか?
彼女は、少しも考える素振りもせず
いいわ、どれ位必要かしら。
もし、借金か何かで困ってるのなら全額お支払いするわ
挨拶でしか面識の無い、しかも急に金の話をする隣人の僕に彼女は、二つ返事で承諾した。
最初は、冗談だと思った。僕からこんな事を言っておきながら。
だが、彼女は少し微笑みながらそう言ったのだ。
それが、彼女と僕との奇妙な関係の始まりだった。
僕は、少し困った事がある度彼女を訪ねた。
勉強が分からず困っている、友人との関係に困っている。
様々な事を彼女に相談した。
彼女は、その度にあの微笑みをたたえながら相談にのってくれた
不思議な事に彼女は、そのどの困り事も解決してくれた。
数ヶ月が経ったある日、ふと彼女はどんな事でも断らないのではないかと思い、少し悪戯を仕掛けて見ようと考え
僕は、隣人の彼女の部屋を訪ねた
女に困っているんです。
僕は、恥ずかしい話今迄女性と付き合った事がなくキスやましてやSEXなんかした事ありません、こんな事頼むのは非常識かつ勝手な事だとは承知してますが一度僕とSEXしてくれませんか?
これはもう流石に、呆れを通り越し怒りさえ湧いてきてもおかしくはないなと自分で言っておきながらそう考えていた。
すぐに冗談だと白状するつもりだった。
だが、彼女はいつもと変わらず微笑みながら いいわ と。
あがって少し待っててもらえるかしら、シャワーだけでも浴びたいの。
それからでも、いいかしら?
僕は、目の前で起きている事についていけていなかった。
その後、事ある度に彼女の体目当てで部屋を訪れ何度も何度も抱いた。
何時しかそんな事を続けている内に少し僕は、恐ろしくなった。
僕は、快楽に溺れ彼女の部屋を訪れ続けて、大学もさぼりがちになった。
金に困れば彼女に頼めばいい
腹が減れば彼女に頼めばいい
SEXしたければ彼女がいる
僕は、知らず内に彼女に依存していった。
僕は、意を決して彼女に言った。
あなたに困っているのです
僕は、あなたに依存してしまっている
これ以上は、もう無理だ。
彼女は、あの微笑みを浮かべ少し待っててと言って奥へと引っ込んだ。
戻ってきた彼女の手にはナイフが握られていた。
安心して、すぐ済むから。
僕は、逃げ出そうとしたがその場から動けなかった。
彼女は微笑みながら近づき、僕の目の前で自分の胸にナイフを突き立てた。
何が起きているか、理解できない僕に彼女は、言った
これから、誰か困っている人がいたら助けてあげてね……




