第二話 新たなる出会い1
俺が新と凉香に出会ったときのことは、正直覚えていない。家が近く、親同士の仲がよかったため、物心ついたときにはすでに毎日のように3人で遊んでいた。幼稚園に行くときも、遊ぶときも常に3人でいた。
新はスポーツが得意で、そのなかでも特に野球が得意だった。よく3人で野球をやった。俺がピッチャー、新がキャッチャーでバッテリー組んで甲子園に行こうなんて、言ってたなぁ。
凉香は最初の頃はおとなしくて、可愛いコだなぁなんて思ってたのに、それは最初だけで慣れてきたらすごく口うるさくて、よくケンカをしたものだ。
この頃のおれはこの2人が全てだった。
おれはずっとずっとこの3人で一緒にいたいと思っていた。いや、当然ずっと一緒にいられるものと思っていた。
しかし、おれは小学校に入ってすぐ夏休みに親の都合で、ここ、福岡県逢魔市から佐賀県古野市引っ越す事になった―
― 引っ越しから2年(快人、古野小3年生)
キーンコーンカーンコーン。
「よっし!終わりー!!快人ぉさっさと練習行こうぜー」
「おーう。ちょい待ち和真」
寺坂和真、こいつは俺が入っている野球クラブのチームメイトで隣のクラス。がっちりした体型のまん丸顔。調子のいいやつだけど、義理人情に熱い、いいやつだ。俺が入学して初めてできた友達だ。
「よし、じゃあ行くか。」
外に出ようとして靴箱へと向かった。
「はははブース、ブースこっち見てんじゃねーよ。」
「へへへ」
靴箱の前でクラスメイトの歩と一樹が女子をからかっているみたいだった。
「おぉ、快人、和真、今から練習?」
「うん、そーだよ」
和真が答える。
「そっかー。じゃ、コイツいじめんのも飽きたし帰るかー。じゃーなー。」
「おーぅ」
そう言って歩と一樹は帰っていった。
先ほどの女子は無表情でつったていた。
「ん?どーしたの?帰んないの?」
俺がそう聞くとその女子はいきなり走って去って行ってしまった。
その女子は身長は男の俺と同じくらいの高さで、背が高く、ショートカットの綺麗な顔立ちをしていた。
「なぁ、さっきの誰?」
「おいおい、かいとー」
「お前ほんと感心ないんだなぁ。」
「お前のクラスの岸本優香だろ!」
「え!?あんなのいたっけ?」
「お前はほんとクラスメイトの顔覚えないよなぁ笑」
和真が呆れ果てた顔で言った。
「ははは人の顔覚えるの苦手なんだよなぁー笑」
俺たちはそのあとすぐ練習に行った。