94/116
ミント
数週間前、我が家の近所を水害が襲いました。
数十年ぶりの大水害でしたが、幸いにして我が家には被害は有りませんでした。
しかし、自分のお気に入りだった場所は無傷では有りませんでした。
半ば野生化し、雑草のように逞しく鬱蒼と茂っていたミントの畑も、半ば打ち捨てられても尚、毎年凛とした花をつけてきた水仙の生える空き地も、蛍が少しづつ戻ってきていた沼も全部瓦礫の下に埋もれてしまいました。
――形あるものは何時かは滅す。
頭では分かっていても、何時もはその事を忘れてしまっている物。
自分も災害が起きる前は永遠にその場所が有ると思っていました。
でも、その場所がイザ無くなると世の真理をヒシヒシと痛感させられました。
永遠に有る事なんて何もない……――だからその一回の出会いを大切にしたい。
全ては、一期一会。
きっと小説を含めて全ての事がそうなのでしょうね。
ミント畑だった河原の上に立ち、吹き抜ける灼熱の風をうけながらそう感じました。




