ヘクソカズラ(屁糞葛)
ヘクソカズラと言う植物をご存知でしょうか?
漢字で書けば『屁糞葛』、いかにも匂ってきそうなネーミングの植物です。
実物を見た事が無い方は、ラフレシアの様な花が咲く蔓を想像するかも知れません。
――若しくは歯が生えた如何にも凶暴そうな容姿で、配管工のオヤジを丸かじりにするパック〇フラワーを想像する方も居るかもですが……。
実物のヘクソカズラは名前からは程遠い可憐な姿をして居ます。
細い蔓の先にラッパの様な小さな花をたわわに付け、花弁の真ん中に赤紫の彩りを添えるその姿は藪の小さな花畑の様です。
名前も妖精のラッパと付けて居て、小さな鉢植えで楽しんでも誰も疑わないような美しい姿です。
――なのに『ヘクソカズラ』、これじゃ身も蓋も有った物じゃありません。
名前からして手に取る人は居ないでしょう。
(まあ、潰して悪臭が出るから仕方が無い所なんですけど……)
ラノベ小説も同じでは無いでしょうか?
めでたく書籍化され店頭に並ぶ時に真っ先に目につくのは本の表紙、そしてタイトルです。 ――中身なんて封がされて見る事が出来ませんから。
読み手がどうやって選択するとか言うと、まずは表紙の絵とタイトル。
そこが良ければ、お客さんは手に取って買おうと言う気になるのではないでしょうか?
作者には表紙の絵は描き手には如何ともし難い場合が有りますが、タイトルは自分で思うように付けれます。
適当な作品名ではなく、読者が読みたいと思うようなタイトルを付けて読んで頂く。
幾ら内容が良くても読んで頂けなければそれ以前の問題ですから……。
名前の付け方は大切――いや、最優先課題かもしれません。
身も蓋も無い名前が付いて居る屁糞葛がそんな事を言って居るような感じがします。




