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マツバウンラン 

 春先、何もないグランドや枯れ果てた花畑、そして線路の敷石から霞のように突如現れる淡い紫の花畑。

 しかし、奇妙なことに本体の植物は見あたりません。

 でも花の下をよく見ると高さ数センチにも満たない細長い小さな葉が地面を這っている。

 もしそんなそんな花畑を見つけたら主人公は松葉雲蘭マツバウンランです。


 地面にはいつくばる葉は松の葉のように細長く、花は海蘭ウンランに似ている事から『松葉海蘭まつばうんらん

 ひねりも何も無いまんまの名前です。


 マツバウンランの葉は数センチにも満たないけれど花軸の高さは50センチ近くにもなるという結婚式豪華主義の植物で、原産地は名古屋……では無く、北アメリカ原産の帰化植物だったりします。


 実はこの植物は意外な強みが有ります。

 それは乾燥に相当強いと言う事です、葉っぱが松の葉のように細長く水分を逃がさないようにするのにくわえて本体にも水を蓄えれるお蔭で乾燥には相当強く、過酷な環境でも生き延びれるようになっています。

 そのおかげでふつうの植物がネをあげるような乾燥し灼熱地獄のようなグランドや敷石の隙間にもちゃっかり居着いています。

 炎暑の翌年なら、周りのライバルが枯れた事も幸いしてか、さんさんと浴びる日光を全身で受け止め養分を蓄えることで、春先には普段より多くの花をつけ見事な花畑を見せてくれる事になります。


 過酷な環境を生き延びてこその絶景です。



 小説も同じではないでしょうか?

 過酷な環境でも生き延びて蓄えて居れば何れチャンスは来る物です。

 好機の時にちゃんとストックがあれば美しい花を付けることができるのですから。


 国破れても我は在り、死した英雄ただのゴミ。

 生きててナンボのこの世界、華が咲けば我が天下。

 

 そんな詩が枯れ果てた花壇に我が物顔で咲き誇り、風になびくウンラン達から聞こえて来るようです。

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