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ミツバチ

 今年の夏、ご近所に珍客が住み始めました。

 その名も日本ミツバチ。

 日本に昔から居る在来種のミツバチさんです。


 ミツバチの何処が珍しいのかと言われるかも知れませんが、彼らの住み始めた場所が奇想天外でした。

 巣の場所は擁壁に有る塩ビ管で出来きた水抜き穴の中、

 しかも西日がガンガン当たり温度は凄まじく高くなる場所でした――この猛暑の最中に……。

 さらに水抜き穴なので、入口は広く防御にはまったく向いて無い様に思える劣悪な場所です。

 案の定、巣の中は凄まじい温度に上がる様です。

 彼らは一斉に羽を震わせて風を送り込み必死で巣を冷やしているようでした。

 ご苦労な事です……。


 ミツバチが好んで巣を作る場所は、樹の洞のような入口は狭く中は広がって居り、冬あたたく夏涼しい直場所を好むようです。

 ――近所に引っ越してきたミツバチ達の巣とはかけ離れた環境じゃん。

 何故そんな場所に?

 

 暫く経ったある日、彼らがそんな場所に巣を作った理由を知る時が来ました。

 天敵の襲来です。


 オオスズメバチが蜜蜂の巣を襲うと、西洋ミツバチはなす術も無くやられるだけですが日本ミツバチは違います。

 敵に一斉に襲い掛かり、蜂団子状態でスズメバチを取り囲む。

 そして飛翔筋を激しく震わせることによって内部の温度を上昇させ、敵を蒸し殺す。

 一方ミツバチの方は熱に耐性が有るので彼らの方は死ぬ事は有りません。

 巧みな戦法です。


 でも余りに襲撃が激しいと巣を放棄して蜂たちは逃走してしまいますが……。

 普通の巣では数匹のオオスズメバチが来たらお手上げの様です。

 近所の蜂たちは違いました。

 彼らの巣入口には5~6匹のスズメバチ、こりゃダメだなと思っていると数日後でも彼らの巣は健在でした。

 どうやら天敵の撃退に成功した模様。

 その理由は直ぐに判りました。

 巣が有る場所に秘密が有る様です。 西日がガンガン当たり温度が猛烈に上がる場所の為チョットの発熱でもスグにスズメバチには致命的な温度に上がったのでしょう。

 更に風が抜けない狭いパイプの中では尚更です。

 ――つまり、彼等にとっては自分たちに有利な条件で戦える場所に巣を作って居たから撃退に成功できたのでしょう。

 これが樹の洞や墓の中では勝てたかどうか微妙な所です。


 小説も同じではないでしょうか?

 作家なら、誰しも自分が得意な分野、不得手なジャンルはあります。

 わざわざ苦手な物を書くのではなく、得意なホームグラウンドに引き込んで書き上げる事で実力以上の力が出せるのでは無いでしょうか?


 自分の特性を見極め其処を生かした作戦を立てる。

 きっと他の人には無い何かが最大の武器になるのでしょうね、まるで熱に強い日本ミツバチの蜂球攻撃のように。

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