苦しみも、楽しみも
俺は、救急車に乗っている。救急車の中には、救急隊員と母さんが乗っている。
「母さん」
【なに?どうしたの?】
「ごめんね、迷惑かけて」
【なにをいってるのよ】
「健伸にまで迷惑かけて。駄目な兄貴だな」
【そんなことないわよ。健伸のことよく見てるじゃないのよ】
「そうかなぁ?」
【そうよ】
15分後、柏木大学病院に着いた。すぐに、レントゲンをとったり色々検査をしました。俺は、その日は一日ストレッチャーでの移動でした。いくつ検査したのかわかりません。
そして、先生の診察が来ました。先生との約束のノートは忘れないで持ってきました。
「陸人くん。久しぶり」
「久しぶりです!!柏木啓太先生」
「今日は、歩けなくなっちゃったのか」
「はい。先生、ノートです」
「拝見します。うんうん」
柏木先生は、俺の書いたノートを見ています。
「よくかけてるね?陸人くん」
「いや、正直に書いただけです」
「そうか。じゃあ、今日から陸人君の相棒はこの青い車椅子だよ」
「お~!!」
「先生の自腹で買ったから大切に使ってね?」
「はい!!」
「じゃあ、お母さんとお話あるから、待ち合い室で待っててくれる?すぐ、終わるから」
「わかった」
そういって、俺は新しい車椅子に乗って待ち合い室に向かいました。
【先生、あの子はどうでしょうか?】
「非常に、申し訳にいくいことなのですが、陸人君、進行が速いです。」
【えっ。そんな】
「最初は、手に力が入らないとノートに書いてありました。これは本人も気づいてるはずです。ですが、先に足が来たということはしかも、突然。これは、進行が速いと思われます」
【陸人はどうなるんでしょうか?】
「お母さん、落ち着いてください。陸人君は一生懸命頑張っています。なので、私たちも陸人くんを全力でサポートしますので、もちろんお母さんの負担にもならないようにします」
【はい。今後、どうしたらいいですか?】
「そうですね。寝ている時、呼吸を見てあげてください。呼吸が止まっていたら、すぐに起こしてあげてください。それでも、連続的に起こる場合はまた病院に来てください。」
【わかりました】
「はい。今日は以上です。お大事になさってください」
【ありがとうございました】
母さんが診察室から出て来た。母さんの顔は、落ち込んでいる様子だったが、俺の顔見たら、笑顔になった。
「先生、なんだって?」
【異常ないって】
「マジか!!薬の効果効いてるんだなぁ」
【そうね!!頑張ろうね】
俺は、母さんのいる前では元気の姿を演じている。だけど、一人になると怖い。俺の命は、あとどれくらいあるかわからない。
俺は何のために、生まれて、何のために死ぬのだろうか?俺は、それをすごく考えてしまう。家族の愛はもちろん、食事を作ってくれる人がいる、一生懸命笑わせようとしてくれる弟がいる。そんな、家族の愛を病気になって改めて感じることができました。
次の日、学校に行き、学校を辞めることにしました。結局はねぇ、担任の先生とも話、やめる決断をしました。クラスの皆には、申し訳ないけどでも、こんな体で看護なんてできないし、人の役にも立たない。一層、やめた方がいいと思いました。
そして、俺が学校を去ろうした瞬間、友達の卓也がやってきた。
「なんで、何も言わずに消えるんだよ」
「はぁい?」
「はぁい?じゃないよ」
「うん」
「ねぇ、本当にやめるのか?」
「やめるよ」
「なんで?」
「こんな体じゃ、なんもできないじゃん」
「そんなことないよ」
「はぁ~。お前は生きろよ。」
「なに、いきなり」
「俺死ぬんだ」
「なにいってるの?」
「俺の病気難病でさぁ」
「そうなんだ・・・・」
「だから、生きて?またね”」
「おっおい!!」
俺はそう言って学校から去りました。俺は、残りの期間なにをしようか考えていました。てか、命って思ったより短いよなぁ~。みんな、長いと思ってるから明日を大切にしない。有意義な時間が取れないんだと思います。
「なぁ、健伸」
『なに?うざ兄貴』
「うざをつけるな。お前にとって生きるってなに?」
『えっ?生きる?動いてることかなぁ?』
「ふ~ん。じゃあ、死ぬことは?」
『う~ん。この世からいなくなることかなぁ?』
「そうだよなぁ。俺もこの世からいなくなるもんなぁ~」
『なにいってるの!!兄貴は生きるの!!』
「そうかそうか。あっ、明日から暇になったから健伸の学校行くね」
『マジで来るのかよ!!』
「おう」
そして、次の日車椅子を使って、健伸の通ってる学校に行った。健伸のクラスに早速ついて、教室の中に入った。俺は、小声で健伸を呼びました。
「健伸!!」
『うわ~。きやがった』
俺は健伸の教室内を見渡すと、公園であった女の子を見つけました。
授業が終わり、そんなの女の子が俺のところに近寄った。
「あっ。先輩・・・」
「おう。久しぶり」
「なに?私をストーカーしにきたんですか?それ、マジでキモイです」
「やめい!!あっ、健伸の兄です。よろしく」
「やっぱり、そうでしたか。私、姫乃です」
「姫乃ちゃんかぁ~」
「ちゃんづけやめてください。キモイです」
「お前、先輩に向かって」
「おほほ。」
「そういえば、花火大会行くのか?」
「えっ?なんでですか?」
「一緒に行かないか?」
「ごめんなさい。無理です」
「即答すぎるだろ」
「だって、先輩と言ってもつまらないし、てか健伸と行けばいいじゃないですか」
「はい?弟と?」
「はい。似合ってると思いますが?」
「なにが?」
「いや、なんでもない~」
「そうか。ねぇ、姫乃お金ちょうだい?」
「いいですよ!!」
「わ~い」
(紙に書いて、一千万と書いた)
「先輩どうぞ!!」
「どれどれ」
「にやり」
「なんだこりゃ!!なに、ただの紙に書いてるんだよ」
「だって本物って言われてないし~」
「うぜ~」
「先輩、国語能力ないですよね」
「うるさい」
「ちゃんと、本物ってつけてくださいよ」
「わかりました~」
「私の勝ちね」
「うざ」
「うざいですよ?私は、だって私はうざ女だもん」
「はいはい。かわいいね」
「キモイです。先輩にかわいい言われると、じんましんができます。本当に二度使わないでください」
「ひで~」
「では、私はこの辺で」
「おう」
姫乃は去っていきました。
『兄貴、姫乃と友達?』
「うん」
『俺の元彼女なんだ』
「へぇ~」
『なに、その反応』
「あいつはやめとけ、性格悪いぞ?」
『もう、ふられたからいいの』
「そうか」
『どう?懐かしい?』
「懐かしいよ」
『そうか。兄貴はどうする?お昼』
「家で食うからいいや。じゃあ、家で待ってるわ!!」
『おう』
俺は、車椅子をおしながら家に帰っていきました。
「今日は楽しかったなぁ~。いい夢見れそう」
俺は、この日は気持ちよくなれました・・・・・・・・・