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ありふれた毎日

「おはよう!!」


『おはよう~』


「あれ?お前、なんか変だぞ?」


『えっ?』


「いつもは、バカっていうのに」


『あっ。忘れただけだ。バカ兄貴』


「そうか」


 当たり前に明日があり、明日が来ない人もいるだろう。当たり前に、家族や兄弟とおしゃべりできたり、当たり前に、ご飯を食べたり、学校に行ったり、学校に行けば、友達にも会える。そんな、ごく当たり前の生活が俺には幸せだなぁって病気になってからわかるようになりました。


「健伸!!」


『なんだよ、朝からうざいんだよ』


「うざい?お前の学校にのりこむぞ?」


『のりこめるならやってごらんよ』


「わかった。あとでのりこむから」


『うん』


「あっ!!やば、こんな時間。いってきます」


【いってらしゃい】


『いってらしゃい』


「お前も行くんだよ!!」


『は~い』


 俺は、学校に行っていつも通り授業を受けました。その日は、校内実習もありました。実習の内容は、車椅子の移動という実習でした。


<それでは、実習を始めます>


「はーい」


 俺は、事前学習の通りやってきたことを生かし、ベッドから車椅子を移動させるその時でした。患者役の卓也を床に落としてしまいました。


「いて~よ」


「ごめん・・・」


<どうしたのですか?これは!!>


「陸人が、急に!!」


<川口さん!!どうしたんですか!!患者さんだったらどうするんですか!!真剣に取り組んでください>


「はい・・・・」


 卓也は幸い、打撲ですみました。


「卓也、ごめん」


「ごめん。こっちこそ。重かったよな」


「いや、そんなことは」


「いいよ。気にするな!!俺も患者さんの気持ちになれたぜ。痛みとかなぁ!!ありがとうよ。陸人」


「うん」


 俺は、そこで病気が一歩ずつ体をむしばんでいることを知ります。頭で割っていても受け止めたくないという、自分の精神面。俺はいったいどうしたらいいのだろうか。このままやり続けていいのだろうか。本当に、悩んでしまいました。


 その日の帰り道、一人で公園に行きました。一人で数分、ブランコをこいでいると、健伸と同じ制服の女の子が一人で、公園にいました。そして、俺の方向にその女の子はやってきた。


「こんばんわ~」


「こんばんわ」


「はぁ~」


「どうしたの?」


「いや、なんでもないですよ」


「いや、なんでもなくないでしょ!!」


「えっ。言うのめんど」


「うわ。性格わる!!」


「もともとですぅ~」


「その言い方」


「じゃあ、しかたないから話しますね」


「こいつ、妹だったらなぐりて~」


「話しますよ?」


「おう。」


「私、恋をしてるんです。好きな人がいるんだけど、片思いでうんで、その好きな子が男好きで、いつもその子のことしかみないんです!!どうしたら、ふりむいてくれるのかなぁって」


「ほうほう」


「って、そういえばあなた誰ですか?」


「今頃ですか!!」


「はい」


「君が来てる制服の卒業生だよ」


「へぇ~。で?」


「で?てか、何年生?」


「はい?なんで、あなたに言わないといけないんですか?てか、私を口説いてます?」


「口説いてません~。君のこと、好きじゃないし」


「うわ。なんですか、それって私がブスみたいじゃないですか」


「そこまでいってねぇ~よ」


「ちっ。じゃあ、中学三年生だけど」


「え!!俺の弟と同じだな」


「へぇ~。先輩の名前は?」


「教えねぇ~よ」


「え~。お・し・え・て・♥」


「可愛くないぞ~。あとでわかるよ。」


「なんでです?」


「今度、弟の学校行くから」


「ほんとですか!!楽しみですね」


「おう。」


「じゃあ、その時分かりますね。誰のお兄さんか」


「そうだなぁ」


「で。解決方法は?」


「ない。」


「えっ?教えて」


「無理。めんどい」


「はぁ~。私自殺しちゃいますよ?いいんですか?」


「わかったよ」


「やった」


「じゃあ、まず手紙書いたら?」


「えっ。手がつかれます」


「じゃあ、手作りなものをあげるとかは?」


「たとえば?」


「料理」


「めんどくさいです。材料自分で考え場ないといけないし。」


「じゃあ、毒見してやるから」


「ほんとですか!!」


「うん」


「ありがとうございます。ライン交換しましょ?」


「おう」


(送信)


「できましたね」


「うん」


「じゃあ、またね」


「おう」


 こうして、健伸と同じ学校の女子生徒とライン交換し、家に帰りました。


「ただいま」


【おかえり】


「疲れた~」


【すぐ、ご飯にするからね】


「うん」


 一通り、荷物を自分の部屋に置き、食卓があるリビングに向かいました。


「いただきます」


【召し上がれ】


「あれ?健伸は?」


【友達の家でご飯食べてから帰るって】


「ふ~ん」


【今日は体大丈夫だった?】


「筋肉が、手の筋肉が弱まってるみたい。車椅子の実習の時、友達のこと怪我させてしちゃった。」


【えっ。その子骨折してなかった?】


「うん。打撲ですんだ」


【陸人、学校やめる?】


「えっ」


【だって、お母さん心配だもん】


「俺は、頑張りたい。体が動かなくなるまで、最後まで頑張ってみたい」


【そう?】


「うん」


【頑張りなさい】


「うん!!」


 俺は、身体が動かなくなるまで学校に行くことを決心しました



 そして、次の日・・・・


 俺は、とうとう歩けなくなってしまった。







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