病名と悲しみ
ある日、俺は弟の健伸と買い物に出かけた。
「次どこ行こうか」
『どこにしよう。てか、兄貴買いすぎ』
「いいじゃん。べつに」
『まぁあ、いいけど。兄貴は、物事を何も考えないで突っ走るタイプだし』
「まぁあ、それほどでも~」
『ほめてないわ!!』
俺たちは、楽しい会話をしながら買い物をしました。お昼は、寿司を食べて、最後にはデザートでクレープを食べながら帰っていきました。家に帰ってきて、数分も経たないうちに、俺は歩けなくなっていた。足の力が入らないのだ。
「立てない」
『大丈夫かよ』
「だめかも。」
『母さんは、仕事だしな』
「救急車呼んで?」
『わかった!!』
弟の健伸は、119番に通報しました。そして、10分後救急車はきました。俺は、柏木大学病院に搬送されました。俺は、すぐにMRI検査や血液検査をしたり、たくさんの検査をしました。いくつ検査をやったのかわかりません。問診票を書いて、問診をやって今日のところは帰宅し、一週間後検査を聞きに来るという形になりました。
家に帰宅してからは、足も力が入り、歩けるようになりました。きっと、筋肉痛か何かだと思いました。たぶん、検査の結果もたいしたことはないと思っていました。
そして、一週間後・・・・
俺は、母さんと病院に行きました。どうせ、たいしたことないと思っていました。そして、名前が呼ばれて、診察室に入りました。
「こんにちは」
「こんにちは」
【あの、先生。陸人の検査の結果はどうだったのでしょうか】
「はい。まず私は陸人君の担当の柏木啓太と申します。陸人君の検査の結果はあまりいいものではありませんでした」
【っといいますと?】
「陸人君の場合は、もしかしたら難病のALSだと思います。」
【ALS?しかも、難病!?】
「はい。ALSとは聞いたことありますか?」
【あまり、ないです。】
「簡単に言うと、運動神経(大脳からの運動の命令を筋肉まで伝える神経)が選択的に障害され、運動神経以外(感覚神経や自律神経、脳の高度な機能)はほとんど障害されない進行性の神経変性疾患ということですね。原因は何かまだはっきりしたことはわかりません。もちろん、現在の医療では治療が見つかっていません」
【そんな・・・】
「陸人君、大丈夫?」
「いや・・・なんだかわからない」
「そうだよね。一応それだけ。陸人君には今後、進行を遅らせる薬をのんでもらいます。」
「はい。飲めば治るんですよね?」
「治るに決まってるじゃないか!!」
「よかった。俺薬飲んでれば死なないんだ」
「そうだよ」
「わかった!!俺頑張る。」
「うん。頑張れ。定期的に病院には来てもらうよ?あと、何か変なこと起きたら、このノートに書いて?」
「わかりました。」
「陸人君は、また来週。家の人は残っててください。話したいことあるので」
「わ~い。母さん、廊下で待ってるね」
【うん】
(陸人は出ていく)
「さて、私は陸人君に嘘をいってしまいました。お母さんの方には本当のことをお話しますね?辛いかもしれませんが聞いてください。」
【はい・・・】
「まず、陸人君の場合、治りません。進行によって個人差はありますが、いつとはなしに手足に力が入らなくなり、筋肉がやせてきます。典型的には片側の手の先に力が入らなくなり、徐々に全身に広がります。口やのどの筋肉が障害されると、ろれつが回らずうまくしゃべれなくなり、食事でむせ込み(嚥下えんげ障害)、咳せきが出るようになります。呼吸筋が障害されると呼吸がしにくく、痰たんも出しづらくなります。」
【そんな・・・】
「そして、長く生きられたとしても余命は2~4年の間です」
【えっ。】
「もちろん、発症してから2~4年なので。進行が速ければ、半年もつかもたないか」
【そんな、まだあの子18ですよ?】
「はい。でも、私たちも全力で進行をおくらせますので、頑張りましょう」
【はい。】
「陸人君にはこのことは」
【絶対に言わないでください】
「わかりました」
【なんで、あの子なの…どうして、私じゃないの】
「お母さん、大丈夫ですか?」
【はい】
「では、お大事に」
【はい・・・・】
母さんは、必死で涙をこらえながら俺のところに向かっていった。何も知らない俺は、のんきにスマホのゲームをしていた。やっている最中に母さんは来た。いつもの母さんだった。俺に辛い顔見せずに、でも、心の中では苦しかった悲しかったと思います。
そして、病院から家に帰宅して、すぐに健伸が迎えてくれた。
「ただいま。健伸」
『どうだったの?』
「ALSっていう難病だって」
『えっ。兄貴、難病なの?』
「うん。でも治るから心配するなだって!!だよね?母さん」
【うん】
『よかった。でも、無理するなよ』
「おう」
俺は、これからたくさん迷惑をかけることも知らずのんきにしていたけど、でもやっぱり自分の体は自分自身が分かっているわけで、俺も何となく危ないのは知っていました。
その夜、母さんは泣いていたらしい。それを見た健伸が声をかけて、健伸までが本当のことを知ることになる。
『なんでだよ!!なんで、兄貴が』
【母さんだってわからないのよ!!】
『兄貴にはいったの?このこと』
【言えるわけないでしょ!!】
『わかった。俺は黙ってる』
【うん】
こうして、俺はなにもしらずに少しずつ病と闘いながら生きていくのです。




