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第一話……ウチの領地は危険地帯?

この世界のミドルネームは領地持ち貴族の領地名ということで。

嫡子以外は15歳で成人するまではミドルネームありで呼ばれますが、成人と同時に使えなくなります。

以後、領地を賜るか領地持ち貴族に婿入り若しくは嫁入りしない限りミドルネームを使用する事は出来ないという事で。

この俺、アルフォンス・ネサリス・フォン・ベルンハルトは転生者である!



……いや、ネタに走らないとやってられないというか。



とりあえず俺は所謂転生者、しかも前世の記憶持ちという奴だ。


オギャアという自分の声で自分の身に起きた事を理解した時はパニックになったねぇ……


体の方はパニック起こした精神に引きずられて酷く泣きわめいてたから周りも大変だったみたいだし。


さて、落ち着いて記憶を確認したところ、生前の俺は北陸地方在住で卒業間近の大学生だったらしい。


生憎と名前の方は思い出せないが割と要領の良い人間だったようで、早々に就職を決めて卒論も粗方纏めた後は、趣味に没頭する毎日を送っていたようだ。


で、卒業式当日に母親の車を借りて大学へ向かおうとした所でぷっつりと記憶が途切れている。


その後は視覚……と言って良いのか分からんがPCの液晶画面のようなモノに出てきた説明に沿って必要事項を入力したらオギャア、という訳で。


確かにもう少しで新生活だったんだけど、こんな形の新生活になるとは考えもせんかったわ!



ところで俺の転生した世界……に似た世界を舞台にしたゲームである『クロス・クロニクル』がどういったゲームだったかというと、アルフェイム王国の迷宮探索者養成学園を舞台とした3Dダンジョン探索・戦闘パートアリのファンタジー系恋愛ADVゲームである。


『大いなる災いを封じた迷宮を踏破し、汝、災いの再来を防ぎ英雄へ至れ』

この題目を掲げ、平民、貴族の別無く才ある者全てに修学の義務を課す王立迷宮探索者養成学園[トラベラーズアカデミー]。


精霊歴1588年、一人の少年がこの学園の門を叩くところからゲームは始まる。


主人公の生まれは北方、王都及び南方出身の平民・貴族と国外からの留学生の内から選べ、生まれ毎に若干各ヒロインのストーリー展開が変わるという凝りようだった。


1週間7日の内5日を訓練に費やし、1日をダンジョン探索に、1日を休養という名の自由行動日として過ごすのが基本サイクルだ。


その上で各ヒロインの好感度を上げて行けばイチャコラするイベントやらストーリーにおいて重要なイベントも発生し、最終的には災厄の源である復活した魔王を倒して好感度の最も高いキャラとEDというよくある形式のお話である。



ゲームの自キャラの能力を基本特典として貰ったって事は絶対にゲーム内容に関われって事だよなぁ……


何しろこの国、数えで成人1年前の年始になると該当年齢の全国民に職業適正判断を行い、戦闘系職業に適正のある者は平民も貴族も関係なく強制的に学園に入学させているのだ。


学費を払えないような貧しい家の場合、学費や寮費などが無償になる上に実家に対しての生活保証まで行われるため、平民主人公で始めた場合の判断会の場面では、会場の外で神に祈る参加者の家族の描写があるほどの人気ぶりである。


貴族にしても学園に入学出来るという事は非常に名誉な事という風潮があるため、拒否するのは事実上不可能と思われる。



とはいえ、メインストーリーに関わる事件解決はゲーム主人公としての運命を持つ奴にでも任せておけば良いだろう。


一部の地域を除けば災いたる魔王が復活しても倒してしまえば直接的な被害は少ない訳だし、先の展開が読めなくなる危険を犯してまで別の筋道を模索する必要もあるまいさね。


ハーレムという名のカルマルートや、大陸各国を巻き込む戦乱となるゲヘナルートに入りそうならフラグを叩き折る必要はあるだろうが、それ以外なら適度に主役級の連中と距離を取って意外と強い探索者やっていれば身の危険も最小限で済むだろうし。


よーし、今生は実にイージープレイだぜHAHAHAHAHA!!







……何て考えてた事もありました……







駄目やん!


ベルンハルト家ってどこかで聞いたと思ったら、ウチの治めるネサリス辺境伯領ってどのルートでも魔王の復活と共に活性化して未開地域から南下してきた魔物の群れに襲われて壊滅的な被害受ける上に、当主以下一族郎党は避難する領民を守るために最後まで領内に残って玉砕して御家断絶するやん!


しかも俺って殆どのルートで主人公の親友ポジションに収まるキャラやん!


ゲームだと優秀な兄へのコンプレックスで学園では姓を名乗らず平民を装ってて、友情エンド行かない限り愛称の「アル」としか呼ばれないから気付くのが遅れたよ!


よっぽどストーリーから外れた行動しない限り主人公と関わらざるを得ない因果が見えるよ!



どーする、どーするよ。


最初に考えてた主役級に出来る限り関わらないってのは却下だろう。


あの液晶の説明によると歴史の強制力ってのはある程度存在するようだし、強制力から外れるために下手に主人公から離れるように行動すると今度はストーリーに干渉する事も出来なくなる可能性がある。


また、領地への魔物の襲来の時期の問題もある。


魔王復活のトリガーは王都の迷宮を使用した最終試験で迷宮を完全制覇する事なのだが、実はこれが曲者で3年に進学して単位が足りているなら4月から直ぐに挑戦出来るのだ。


避難を呼び掛けるにしろ強固な防衛線を敷くにしろ、事の起こるタイミングが分からなければ効果的な動きなんか出来やしない訳で。



……なにがなんでも主人公パーティーに参加しなきゃならんなコレは。



あと問題なのは、ウチの領軍の装備品の貧弱さか……


ゲーム内で迷宮探索を行う際は、定員の6名に満たない場合迷宮を管理している各貴族領の領軍の担当部署から派遣された人員1人を加えられるというシステムがある。


ここで派遣される人員というのが各領軍の質を如実に示しているのだが……ネサリス辺境伯領の派遣人員はレベルやスキルの熟練度は高いのだけれど、能力に見合ったランクから2~3枚落ちたものしか装備していないのだ。


要するにウチの辺境伯領はビンボーなのである。


初代様による調査で鉱山資源は豊富らしいのは判っているのだが、いざ開発というところで南方貴族と癒着しまくった中央の財務担当の法衣貴族連中から北方にある辺境伯領への援助金制度の適用を渋られるわ、通ったと思ったらあちこちで横抜きされまくるわで、辛うじて鉄鉱石の鉱山は開発出来たものの設備更新もままならず発掘効率が非常に低い状態が続いている。


他の産業にも見るべき特産も無く、農業面では寒冷な気候もあって慢性的な冷害に悩まされている始末。


この状態も改善しなけりゃ、例え防衛線の構築が間に合っても数で抜かれて突き崩されるぞ……


ええい、悩んでも仕方ない。


とりあえず時間は10年以上あるんだし、まずは問題点のまとめをしたらあの入力画面で獲得したユニークスキルの検証をしていくところからだな。


「あぶぶぶぶ……(大体にして……)」


ろくに回らない口から出るのは意味の無い音だけ。


ご覧の通りまだ俺は乳幼児なわけで。


実際に行動を起こせるのは4~5歳くらいからかね?


やれやれ、この歳から意識がハッキリしてるってのはある意味辛いよなぁ……

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